子ども大学グローバル
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【国立科学博物館 井手竜也先生より】質問の回答が届きました!

【第10期 夏の特別講義】
「刺すハチだけがハチじゃない?~ハチと生き物の関わり合いを学ぼう~」

国立科学博物館
動物研究部 研究員
井手竜也 先生

お待たせいたしました! 2023年8月10日に実施した「夏の特別講義」にご登壇いただいた、国立科学博物館 動物研究部 研究員 井手竜也 先生より、皆さんの質問に対する回答が届きました!
学生の子どもたちから、たくさんの質問をいただき、ほぼすべてに丁寧にご回答いただきました。 井手先生の追加の特別講義、ぜひ読んで学んでみてください!

【国立科学博物館 動物研究部 研究員 井手竜也先生が、みんなの質問に答えます!】

★質問1. 先生がハチの研究をしていて、一番楽しかったことはなんですか。

ハチの研究をしていると、本や論文の中で初めてその存在を知ったハチというのに出会うことがあるのですが、そんなハチに実際に野外で出会ったときが一番楽しいですね。最近一番楽しかったのは、論文で読んでずっと見てみたかったアメリカのタマバチの跳ねる虫こぶを見たことです。ハチは日本中、世界中のいろいろな場所にいて、名前がついているだけでも約15万種もいるので、楽しさが尽きません。初めて足を踏み入れた場所でハチを探すとき、初めて見るハチに出会うとき、いつも新しい驚きや発見があって楽しいです。

★質問2. 井手先生がタマバチにご興味を持たれたきっかけを教えてください。 また昆虫の生態を研究をされることで、将来さらに社会にどう役立てていく予定でしょうか。

とても昆虫が作り出したとは思えない、不思議な形の虫こぶをつくるという、「生態のおもしろさ」がきっかけです。あと、ほかのハチとは全然違う、丸くて、かっこよくもかわいくもある見た目も好きになったきっかけです。研究ではそんなタマバチの生態を解き明かしながら、その分類学的研究について取り組んでいます。分類学は、たとえば新種のハチを見つけて世界共通の名前をつけたり、どのハチとどのハチが同じ仲間なのかといった関係性を探ったりする学問です。一見すると、社会にどう役立つのかわかりにくい学問なのですが、人間社会と自然を結びつけるうえでは、分類学はとても大事な役割をもっています。そのひとつが人が「生物多様性を認識」できるようにすることです。『なんだかたくさんのハチがいて、刺すハチもいれば刺さないハチもいる』という認識を、『世界には名前がつけれれているだけで約15万種のハチがいて、人を刺す危険性が高いのはスズメバチ科スズメバチ亜科などの社会性のハチであり、毒針をもたない寄生バチ類や直接手で捕まえない限り人を刺すことはないハナバチ類や狩りバチ類などがハチの大半を占めている』という認識に変えることができる研究が分類学です。生物多様性が大事、といわれても、知られていない生きものは守れることすらありません。なので、研究を通して、存在が知られていないハチたちをたくさん知ってもらうことで、自然との共生を考えたこれから社会づくりに役立てばいいなと思います。

★質問3. 先生は今まで何種類の蜂を見ましたか。

わかりません…!図鑑や標本でしか見たことがない種類のほうがはるかに多いですし、名前も知らない種類のほうがはるかに多いです。

★質問4. 先生がハチという昆虫に興味を持って研究をするようになったきっかけは何ですか。

専門のタマバチもそうですが、とにかく生態がおもしろいということを知ったことがハチに興味をもつきっかけになったかなと思っています。もちろん昔は、人を刺すこともある危険な生き物とか、ハチミツをつくるミツバチのイメージしかなかったので、ほかの昆虫やクモを獲物とする寄生バチや狩りバチ、特定の花を好むハナバチのような存在を知れば知るほど、つくづくおもしろい昆虫だなと思うようになりました。

★質問5. ハチに少し興味をもちましたが、近づくのがまだ怖いです。観察するときに服装や行動などどんなことに気を付けたら安全に観察できますか。

ちゃんと怖がって注意深く観察することが大事なのでそれで大丈夫です。まずほとんどのハチは人が近づいたら逃げます。怖がりながらゆっくり近づくくらいが、近づいて観察にはちょうどいいくらいです。近づいても、手で触ったりして驚かさない限り、人を刺すことはありません。危険とされるスズメバチやアシナガバチでも、巣の近くなどで走り回ったりして驚かさなければ、人をおそってくることはありません。とにかく大事なのは驚かさないこと。こっちにその気はなくても、ハチの目の前で急に手を振ったり、様子を見に来たハチを追い払おうとしたり、巣に気づかずに近づいたりすると、ハチは巣をまもるために立ち向かってきます。攻撃態勢に入った本気のスズメバチやアシナガバチハチを相手にすると、太刀打ちできませんが、ハチの観察に限らず、昆虫を外で観察するときはゆったりとした長袖、長ズボンでなるべく肌の露出を少なくすると安心です。

★質問6. 私たちでハチを絶滅危惧種にしないようにできることはありますか。

じつはチョウやコウチュウに比べて絶滅危惧種に指定されているハチは少ないんですけど、なかでもハチの半分以上を占める寄生バチについてはほとんどいなくて、環境省のレッドリストで1種が掲載されているだけです。でもそれは決して、寄生バチをはじめとするハチの仲間に絶滅の危険が迫っていないというわけではなさそうです。チョウやコウチュウに比べてハチを調べる人は多くありませんでした。そのため、これまでどんなハチが、どこに、どれくらいいたのかという情報が少なく、判断が難しいようです。おそらく知らず知らずのうちに絶滅の危機が迫っているハチもいるはずです。実際、絶滅危惧種のバラだけに虫こぶをつくるタマバチの新種を報告したこともあります。私たち一人一人ではあまり大きなことはできません。残念ながら昆虫学者ができるのは、ここにこんなハチがいるということを皆さんに伝えることくらいなので、まずはいろんなハチがいるということをみんなが認識して、伝え広げていけたら、多くのハチが絶滅危惧種にならずに済む道も見つかるのかなと思います。

★質問7. 蜂に刺されたら、僕も寄生されますか。

今のところ幸いなことに人に寄生する寄生バチは見つかっていません。でも人に寄生するハエはいるので、それに寄生する寄生バチはいてもおかしくないのかも?

★質問8. ハチが一匹残らずいなくなったらどうなってしまうのですか。

ハチがいきなりすべていなくなったらどうなってしまうのかは誰にもわかりません。少なくともはハチミツは手に入らなくなりますし、野菜や果物も簡単には作れなくなります。それだけではなく、生き物と生き物の関わり合いのバランスが大きく変わってしまいます。ハナバチは、多くの植物で、花粉を運び、タネを作るために欠かせないパートナーになっていますし、狩りバチや寄生バチは、ハチ自身を含め、さまざまな昆虫やクモなどを獲物としています。ハチ自身が他の動物の食べ物となっている場合もあります。なので単純に考えれば、多くの植物がタネを作れなくなり、ハチの獲物となっていた昆虫やクモが増え、ハチを食べていた生き物はおなかをすかせてしまうかもしれません。生態系のなかにはもちろん人も含まれるので、バランスが変わった世界で人がうまく生き残っていくのは大変そうです。

★質問9. アメリカのタマバチは、虫こぶごと幼虫が跳ねて、落ち葉の下へ行くとおっしゃっていましたが、その虫こぶは腐らないのですか。また、そのタマバチは、どのようにして落ち葉の位置を知るのですか。

アメリカで見られるタマバチの一種(ジャンピング・ゴールワスプ)の跳ねる虫こぶのことですね。もちろん湿度が高すぎるところにたどり着いたら腐ることもあるかと思いますが、基本的には大丈夫なのでしょう。中のタマバチの幼虫によって虫こぶは跳ねるわけですが、タマバチの幼虫は外は見えないですし、跳ぶ方向を自分でコントロールすることは(たぶん)できません。大事なのは温度と湿度です。ある研究では、この虫こぶは温度が高く、湿度が低いほどよく跳ね、温度が低く、湿度が高いほど跳ねなくなることがわかっています。温度が高くて湿度が低い場所に長くとどまると、中の幼虫も死んでしまうので必死に跳ねるものの、落ち葉の下のような比較的温度も低く、湿度の高い場所へとたどり着いたらおとなしくなるということのようです。

★質問10. ハチに2回刺されたらアナフィラキシーショックでアレルギー症状が起こされ、最悪の場合死んでしまうと聞きました。細菌やウイルスによる病気に対しては、免疫がつきます。例えば、一度おたふくかぜになったら次はムンプスウイルスに接触してもおたふくかぜになることはありません。ハチの毒の場合はなぜそうならないのでしょうか。

まずハチに2回刺されたらというのは半分ほんとで半分嘘です。ハチにアレルギーがある人は1回目でも危険な場合もあります。ハチの毒に対してももちろん免疫が働くのですが、アナフィラキシーショックはまさにその免疫が過剰に反応することによるショック症状です。2回目刺されたら・・・というのは1回目で免疫がつくことで、2回目に免疫が過剰反応するという意味だと思います。実際には3回目、4回目でなる人もいれば、ならない人もいると思います(医学的な部分は専門ではないので、このあたりはお医者さんの言うことを参考にされてくださいね)。なおアナフィラキシーショックでなくても大量のハチに刺されると、それだけでハチ毒中毒となり、危険な場合があるようです。とにかく不用意に巣には近づかないことが大事ですね。

★質問11. ハチのご先祖さまは何ですか。

ハチの仲間は恐竜がいた中生代にもいたのですが、そのころのハチの姿に一番近いといわれているのが「ヒラタハバチ」や「ナギナタハバチ」というハチです。特にヒラタハバチは、頭が大きくて、体も細くなく、毒針も持っていないので、ハチって言われないと、ハチだとわからないかもしれません。

★質問12. 蜂はどうして生まれて来たのですか。

一番最初に生まれたハチは、ハバチやキバチのような、幼虫が植物を食べるハチだったと考えられています。そのなかからほかの産卵管という針をつかって昆虫などに卵を産み付ける寄生バチが生まれました。さらに、寄生バチのなかから産卵管を毒針に変え、毒針でほかの昆虫などの獲物をとらえて幼虫の餌とする、狩りバチが誕生しました。そして最後に、幼虫の餌を昆虫から花粉に変えたハナバチが生まれました。ハチがどうして生まれたかはわかりませんが、ハチにたくさんの種類が生まれた理由には、ハチの子育て方法が深く関わっています。

★質問13. 蜂を飼い慣らすことはできませんか。

なつく、みたいなことはあまりないかもですが、セイヨウミツバチのように飼い慣らされたハチはいます。竹筒を使った巣を用意してあげて、飼うこともできます。

★質問14. メンハナバチは花粉を飲み込んで持ち帰ると聞きましたが、運んでいるうちに消化されないんですか。

ミツバチが花のミツを持ち帰る蜜胃と同じように、消化されないみたいです。

★質問15. “虫こぶの標本を見させていただいてそれぞれ形と大きさがちがいました。 植物やハチの大きさとかで変わるのですか。 虫こぶを作る種はどれくらい前から地球にいますか。”

ハチの種類ごとに虫こぶの形や虫こぶをつくる植物は決まっています。逆に虫こぶを見るとハチの種類がわかります。恐竜がいた時代よりも古い時代の地層から虫こぶの化石が見つかっていて、少なくとも3億年前には虫こぶを作る昆虫はいたようです。

★質問16. 蜂の針の長さはどれくらいですか。オオスズメバチとミツバチを教えてください。

オオスズメバチで6mmくらい、ミツバチで2mmくらいですかね。

★質問17. 一番変な産卵管があるハチは何ですか。

ウマノオバチの産卵管は長くて不思議ですね。産卵管の使い方でいうとシリアゲコバチというハチの仲間も面白いです。

★質問18. アトボシキタドロバチとアカリナリウムのような関係でほかの虫にもお互いがwinwinになる関係性の虫はいますか。お願いします!

winwinに見える関係性の虫はいろいろいますが、一番身近なのはアリとアブラムシですね。アブラムシは植物の汁を吸い、余分な糖を体外に排出します。アリはそれを栄養源にすることができ、アブラムシはアリによって天敵から守られます。

★質問19. 毎年ぼくの家の近くにハチの巣が作られて、お母さんは外に洗濯物が干せなくて困っています。なせ同じような場所に作るのですか。

おそらくアシナガバチの仲間ですね。雨がしのげて日当たりがいい場所を好んで巣をつくるみたいなのですが、環境がちょうどよかったのかもしれません。巣をつくる場所の環境を変えてみると効果があるかも。

★質問20. 先生は講義の中で労働寄生のことについて述べていましたが労働寄生をする蜂にはめんどくさいという感情があるのですか。それとも本能的に動いているだけですか。

労働寄生については感情というよりは、労働寄生することで生き残るように進化した種なので、本能的なものと考えていいと思います。でもハチに感情があるかないかということについては議論の余地があるかもです(そういう研究例もあります)。

★質問21. ハチの体の黄色と黒にはどういう意味があるのですか。

警告色といって、あえて目立って覚えやすい色をもつことで、毒をもっていることを周りの生物(特に捕食者)に学習させる効果があると考えられています。

★質問22. “ハチの体についた花粉は、すべて取り除くことができるんですか。 ミツバチやハチバチなどは人間にとって、益虫と言っていましたが、害虫になることはありますか。また、それはどんなときですか。 虫こぶをつくる幼虫が出す植物ホルモンは植物特有のものですか。それとも、ほかの植物には効果がありますか。また、そのホルモンを利用して植物の治療などはできますか。”

花粉は大体きれいに取り除けています。よく見るとかなり丁寧にグルーミングしています。益虫か害虫かは完全に人から見た場合の判断ではあるのですが、毒針をもつハチはもちろん人を刺すこともあるのでそういう意味では害虫ともなります。虫こぶをつくる幼虫の唾液に含まれる植物ホルモンはオーキシン、サイトカイニンなどとよばれるもので、もともとの植物中にも存在して、その成長を制御しています。植物が傷ついたときに傷口が修復される仕組みにもオーキシンがかかわっているようです。

★質問23. “オーストリアの昆虫学者ハーバート・エランさんの実験で鏡のゾーンに入ったらハチは墜落するらしいのですがそれは何故ですか。 又、講義の際、蜂のバランスを取る小さな部位を紹介していた時にその部位を蜂から切るとどのような飛行をするようになるんですか。”

ミツバチが飛行するときは、自分の腹側(地面側)の視覚情報を頼りに、高度をコントロールしていることが実験によって示唆されているそうです。鏡の上を飛ぶとその地面側の視覚情報が失われ、墜落するようです。 バランスをとる小さな部位というのは、たぶんアブのところで紹介したこん棒状に退化した後翅の平均棍(へいきんこん)ですね。両方とも除去すると飛べなくなるそうです。ジャイロスコープのようなはたらきがあるという説があります。

★質問24. 蜂は、宇宙に行くと、どうなるんですか。

ハチも酸素を必要としているので宇宙では生きられません。宇宙ステーションなどの中では生きられますが、上手に飛べなくなることがNASAの実験で観察されています。

★質問25. 違う種類のハチ同士で助け合ったり、協力し合うことはあるんですか。(花粉を一緒に運んだり、一緒に巣を作るなど)

もしかすると一見協力し合っているように見えるものもあるかもしれませんが、違う種のハチが協力し合うことは基本的にはないと思います。たとえばアリの仲間でサムライアリはクロヤマアリ等と一緒に暮らしていますが、じつはサムライアリはクロヤマアリを奴隷として使っています。

★質問26. ハチが飛ぶときに前羽と後羽を連結して二枚にするのはなぜですか。

連結して一枚の大きな羽とするわけですが、単なる1枚の翅ではなく、連結している部分がしなやかにたわむことで、小回りの利く飛行ができるそうです。逆に使わないときは重ねて背中にしまうことができます。

★質問27. ハチが巣を作る場所には、何か決まりがありますか。

それぞれのハチで好みの場所が決まっていることが多いですが、基本的に巣は子育てのためなので、カリバチなら獲物の昆虫が多くいる場所、ハナバチなら好みの花が咲く場所など、幼虫のためのエサがとりやすいような場所fであることもポイントになっているかと思います。

★質問28. イチジクコバチが虫こぶをつくったイチジクは食べられますか?

まず、通常食べるイチジクは雌株の実で、虫こぶがつくられるのは雄株の実だけです。雄株の実は食べられなくもないかもですが、当然中にはイチジクコバチの虫こぶができているので、おいしくはないかなと思います。

★質問29. 蜂の女王は(スズメバチやアシナガバチ)次の世代になるとまた新しく巣をつくるけど、前に使っていた巣をもう一回使ったら新しく巣をつくる手間が省けるのにどうして使わないのですか。

なんででしょうね。1年使った巣は耐久性も落ちますし、雑菌が発生して病気にもかかりやすい可能性もありますし、前の持ち主の匂いなども残っていたりするでしょうし、いろいろと理由はありそうです。

★質問30. コマユバチは、寄主操作をどのようにおこなっているんですか。

詳しいメカニズムはまだわかっていませんが、ある論文ではコマユバチの幼虫が寄主の体から脱出するときに、寄主はそのストレス等で眠ったような状態になるとともに、体内では昆虫の行動の活発化などに関係するオクトパミンという神経伝達物質が上昇しており、それによって寄主を守るような行動が見られるようになるという可能性が指摘されています。

★質問31. “一番身近な所にいるスズメバチは何という名前ですか。 ぜつめつきぐしゅにしていされているハチは、ハナダカバチ以外にもいるのですか。 さんらんかんは、いつからどくばりにかわったのですか。”

一番身近なのはキイロスズメバチやコガタスズメバチかなと思います。絶滅危惧種として取り上げられているハチはほかにもいます。ウマノオバチもその一つです。産卵管が毒針に変わったのは約2億年前、寄生バチから狩りバチやハナバチの祖先が誕生したころです。

★質問32. “1.女王バチは普段昆虫を指す以外になにをしているのですか。 2.巣のどこに蜂蜜の元の六角形みたいな物ができるのですか。 3.毒針を持っていない蜂はどのようにして身を守るのですか。”

ミツバチの女王バチは、卵を産むことに専念しています。六角形の部屋は巣の中に並べて作られます。毒針をもっていないハチは大あごが武器です。

★質問33. ハチは動物に食べられると先生が言っていましたが、逆にハチが食べる虫(動物)は何ですか。

チョウやガの幼虫、ハエやアブ、バッタやコオロギ、セミ、クモなどなどハチの種類によって獲物はさまざまです。

★質問34. イチジクコバチが虫こぶを作ったイチジクはその後何か害はないのですか。

実やタネがつくられる雌株には虫こぶは作られないので問題ないようです。

★質問35. ウマ丿オバチの産卵管はなぜあんなにも長いのですか。

ウマノオバチは木の中のカミキリムシ(ミヤマカミキリ)の蛹に寄生することがわかっています。カミキリムシの幼虫が木の中にあけた縦穴にこの長い産卵管を差し込むようにして産卵しているようです。

★質問36. なぜハチの成虫は葉っぱを食べないのに幼虫は食べるのですか。

ハバチの幼虫ですね。これに限らず、完全変態の昆虫では成虫と幼虫で食べ物が違うというのはよくあります。そうすることで、成虫と幼虫の間で食べ物を奪い合う必要もなくなりそうです。

★質問37. 女王蜂は巣の中で何をしているんですか。

とにかく卵を産んでいます。

★質問38. “蜂の巣は、固いですか。 蜂の寿命は、どのくらいですか。”

スズメバチやアシナガバチの巣は木をかみ砕いて唾液と混ぜてつくった紙のような素材なので、壊れやすいです。特にスズメバチの巣は樹皮が材料なので、触ると簡単に崩れます。ミツバチの巣はワックス等でできているので、弾力がありますが、やはりそれほど丈夫ではありません。ハチの寿命は数日のものもいれば、女王バチのように数年生きる者もいます。

★質問39. オオスズメバチとかは、最長でどのくらい飛べるのですか。

行動範囲は大体1~2kmとされています。ただほかのスズメバチの実験では30kmほどの連続飛行が可能だったという実験結果もあるようなので、はるかに1~2kmよりははるかに遠くへ飛べる能力はあると思います。

★質問40. 小さなハチを紹介してくださいましたが、そのハチは何を食べて生きていますか。

寄生バチの場合、何も食べない場合や寄主の体液をなめる場合、アブラムシなどの甘露をなめる場合などがあります。

★質問51. 蜂の味が知りたいです。あと、食べられない蜂と、食べられる蜂でも食べられない部位が知りたいです。よろしくお願いします。

ごめんなさい。ハチは食べたことがないです。生では絶対に食べない方がいいです。

★質問52. シタバチが集める匂いに共通点はありますか。

基本的にはランの花の匂いで、そのタイプは様々です。甘い匂いもあれば、くさい匂いもあります。

★質問53. 寄生蜂の話が出ましたが、スズメバチも他の蜂に寄生するのですか。

寄生バチが行うのは、正確には「寄生」ではなく「捕食寄生」とよばれるもので、基本的には寄生した相手を食い殺すものです。スズメバチの仲間で見られるのはチャイロスズメバチによる「労働寄生」で、キイロスズメバチなどの巣を乗っ取って、働きバチもろとも自分のものにする寄生です。

★質問54. コマユバチはどこに生息しているのか知りたいです。

たくさんの種類がいるので、日本全国どこにでもいます。5、6月ごろキャベツ畑や菜の花畑など、桜並木などでよく探すと、コマユバチの小さなマユをつけて死んでいるイモムシが見つかることがあります。

★質問55. 何でハチには針があるのですか。

もともとは卵を狙った位置に産み付けるための産卵管としての針でした。それが獲物をしとめるため、身を守るための毒針となりました。

★質問56. “ 先生が蜂を研究しようと思ったきっかけは何ですか。  ミツバチは一回刺したらしんでしまうといっていましたが、生き延びられるミツバチはいますか。”

タマバチがとにかくおもしろい生き物だったからです。タマバチをよく知るためにはほかのハチのこともよく知らないといけないのでたくさん調べました。セイヨウミツバチは一回刺すと、針が抜けず、針ごと内臓がはずれて死んでしまうことが多いのですが、ニホンミツバチはゆっくりと体をねじりながら針を引き抜くことができるそうです。

★質問57. 巣を作らないハチはいるのですか。

ミツバチやスズメバチのような集団で暮らす巣をつくるハチはむしろ少ないです。寄生バチは巣をつくらないですし(寄生した相手の体が巣のようなもの)。おもしろいものだと植物の茎を加えて寝るハチもいます(アオスジコシブトハナバチとか)。

★質問58. オスのハチが刺さないことは分かったのですが、飛んでいるハチがオスかメスか分かる方法はありますか。そもそもオスは普段外勤に行かないのですか。

種によっては明らかに姿が違いますし、行動パターンも違ったりします。が、これを見れば確実というのは共通してはいないので、覚えるしかないです。ミツバチ、スズメバチ、アシナガバチあたりは、基本的に飛び回っているのはメスです。

★質問59. ツリアブの口吻が卵を産みつける為にあるなら、蜂の口吻も卵を産みつける為にもあるのですか。

ちょっと説明がうまく伝わっていませんでしたね。ツリアブの口吻はハチと同じく、花のミツを吸うためのものです。産卵するときには使ってません。

★質問60. 蜂の巣を作るのに何年何か月何日かかりますか。

例えばスズメバチやアシナガバチの場合は、初期の巣をつくって働きバチが生まれるまでには1か月もかかりません。最初の働きバチが生まれてからも増改築を繰り返します。

★質問61. なぜ寄生バチは社会性昆虫ではないんですか。

じつは寄生バチにも社会性をもっているとされているものがいます。キンウワバトビコバチという寄生バチがそれで、寄生したイモムシの体内で働きバチにあたる兵隊幼虫と女王バチにあたる生殖幼虫がうまれて、イモムシの体内でともに暮らしています。

★質問62. 寄生蜂も僕たちのことを刺すんですか。僕たちにも寄生しますか。

無理に手でつかめば刺そうとするのもいますが、ふつうは刺さりませんし、人間に寄生はしません。

★質問63. ハチが人間に寄生することはないんですか。

ないはずです。

★質問64. 世界最小のタマバチはどれくらいの大きさですか。

1mmくらいです。ゴマ粒より小さいです。

★質問65. タマバチうち、どんな虫コブが好きですか。

選べませんが、クヌギハナワタフシというクヌギの雄花に春にできる綿毛のような虫こぶとか?

★質問66. “なぜ、虫こぶは跳ねるんですか。 「ある環境じゃないと跳ねない」というのは、どんな環境じゃないといけないんですか。”

温度が高くて乾燥していると跳ねるそうです。そんな場所に長くとどまると虫こぶの中にいても死んでしまうので、跳ねて移動できるのは便利ですね。

★質問67. ハチは、植物のくき以外に、葉にも虫こぶを作りますか。

葉にも芽にも、花にも実にも、根っこにもつくる種類がいます。

★質問68. たまばちが虫瘤を作るのにかかる時間はどれぐらいかかりますか。 

長いものでは卵を産んでから約1年、早いものでは数週間でできます。

★質問69. きれいな色をしたハチは、ゴキブリバチだけではなく、ほかにもいるんですか。

エメラルドシタバチやコガネコバチ、セイボウなど、青や赤にキラキラ輝くハチはたくさんいます。

★質問70. 全部の種類のハチにも毛が生えているのですか。

蜜蜂やマルハナバチほどではなくても、必ずどこかに毛は生えています。センサーの役割があるので。

★質問71. ミツバチのような社会性昆虫はほかにどのような種類がありますか。

ハチ以外だと、シロアリが有名です。(ちなみにアリはハチの仲間ですが、シロアリはハチやアリとは全く異なる昆虫です)

★質問72. はちがどんな種類があるか知りたいです。

生態に基づいて大きく分けると、キバチ・ハバチ類、寄生バチ類、狩りバチ類、ハナバチ類の4つがいます。いちばん種類が多いのが寄生バチです。スズメバチやアシナガバチは狩りバチ類、ミツバチはハナバチ類に含まれます。

★質問73. “他に意外なことをする蜂はいますか。 名前のない蜂は何種類いますか。”

クモヒメバチの仲間による寄主操作もおもしろこわいですよ。寄生したクモをあやつって、ハチの幼虫のためのゆりかごを作らせるという・・・。名前のないハチは日本でもまだまだたくさんいて、海外も含めれば果てしないのでわかりません。

★質問74. 今回の講義でお聞きした型と全く違う型のユニークな蜂はいますか。

同じスズメバチでも種類ごとにいろいろ生態が違うように、1種1種がユニークです。まだまだいますよ。生態が面白いものだと、海外の寄生バチで、アリの巣の中で暮らすチョウの幼虫に寄生する寄生バチ、みたいな驚きの生態をもったものも知られています。

★質問75. 寄生するハチに寄生するハチは何種類くらいいるのですか。

たとえば植物に寄生するタマバチに寄生するハチだけでも、コガネコバチ、オナガコバチ、カタビロコバチ、タマヤドリコバチなどがいて、そのそれぞれにたくさんの種がいます。正確な数は集計しないとわかりませんが、何に寄生するのか生態が全く分かっていないハチもたくさんいるので、思っているよりもいるはずです。

★質問76. 世界一小さなハチの名前はなんですか。

ホソハネコバチという寄生バチの仲間で、エクメプテリギスホソハネコバチです。世界最小の昆虫の記録はそのハチのオスで、0.139mmとされています。

★質問77. ハチはあそこまで多くの種類があるのに、すべてが同じハチ目に分類されるのはなぜですか。「大きく分ける」分類をもう少し細かく分けては問題があるのでしょうか。

昆虫の「目(もく)」は主に翅(はね)の形態で分けられてきました。ハチ目の翅の特徴は、膜状の翅をもち、前翅と後翅が翅鉤(しこう)とよばれるフック上の毛で連結する機構を有することです。DNAにおいてもそのグループ分けの妥当性が確認されています。

★質問78. いちばん大きい蜂の巣をつくるのは何バチですか。

スズメバチやミツバチの巣は条件が良ければ大きくなるものもあるようです。1mを超える場合もあります。

★質問79. 日本にいるはちで1番強いはちって何ですか。

オオスズメバチは世界最大のスズメバチであり、ほかのスズメバチの巣も襲うことがあることから最強とよばれます。ただそんなオオスズメバチに寄生するカギバラバチもいるので、強さだけがすべてとはいかないのが生態系の面白いところです。

★質問80. 先生の一番好きな蜂の種類は何ですか。

もちろんタマバチです!特にタマバチの研究を始めて最初に取り組んだクヌギハケタマバチの両性世代は、オレンジと黒のツートンカラーの見た目も含めて好きです!

★質問81. ハチはもっと新種がいると思いますか。

絶対にいます!

★質問82. “はちは不完全変態と言っていましたが、セミも不完全変態での抜けがらが、夏にとれますが蜂にも抜け殻はありますか。あるなら見てみたです。  はちに二回刺されたことがあります。いつか捕まえてみたいです。刺されずに捕まえ方法ありますか。”

うまく伝わりませんでしたね。ハチは完全変態です。さなぎを経て成虫になります。さなぎの殻は脱ぐときにぼろぼろになるので、セミみたいな抜け殻は残りません。網の部分が長い網で捕まえて、蓋つきの細いビンなど網の中に突っ込み、ハチを触らないようにうまくビンの中に追い込んで、入ったところでふたをする、という方法で、刺されずに簡単に捕まえられます。まずはハチ以外の虫で、虫を触らずにビンに入れられるか、練習あるのみです。

★質問83. 今の昆虫は、約100000種ですが、他に発見させるとしたらどこで発見されると思いますか。

なんといっても生物の多様性が高い熱帯にはまだまだ見つかってもいない新種の昆虫がたくさんいると思います。でも、じつは日本の身近な森や林にだって、間違いなくまだまだ新種はいます。

★質問84. 世界最大の蜂はなんですか。

クモの仲間のタランチュラを狩るタランチュラホーク(クモバチの一種)は間違いなく世界最大のハチのひとつです。

★質問85. 昆虫五大目に含まれていない昆虫はどんなものがありますか。

たとえばバッタやカマキリ、トンボなどです。全部で約30の目があります。ただ決して種数が少ないというわけではなく、昆虫の中でいえば少ないだけです。哺乳類が約6000種なのに対し、バッタは約2.5万種ほど知られています。

★質問86. はちは、なぜきせいばちがおおいのですか。

寄生バチには特定の昆虫やクモだけに寄生するものがたくさんいます。なので、寄生する相手となる昆虫の種類が多ければ多いほど、いろんな種類の寄生バチが生まれたようです。

★質問87. 僕はドイツに住んでいます。ドイツの蜂についても教えてください。

ドイツのハチ事情、残念ながら行ったことがないのでわかりませんが、タマバチならヨーロッパナラ(イングリッシュ・オーク)がよく街路樹にも使われていて、葉っぱや枝にいろんな虫こぶがついているはずです!

★質問88. “ハチの種類は色々あるけれどハチによってきく殺虫剤は違うのですか。 トンボのハチ避けは効果ありますか。”

ハチはたいがいの殺虫剤には弱いです。ただの煙を浴びせるだけでもおとなしくなります。トンボのハチ除け効果はわかりません。

★質問89. “ハチの毒を利用して薬をつくったりすることはできますか。 ハチはほぼ毒針を持っているのがメスだけだと言っていましたが、それはなぜですか。また、オスで毒針を持っているハチは何というハチですか。”

研究が進めばそういうこともあるのかもしれませんね。毒ではないですが、スズメバチの毒液研究が開発につながったスポーツ飲料というのもあったりします。毒針をメスだけが持つのは、その先祖では毒針はメスだけが持つ卵を産むための産卵管だったからです。オスで針(毒針ではなく偽の針)が見つかっているハチとして、オデコフタオビドロバチというのがいます。

★質問90. 毒のカクテルは具体的にどのくらいの毒が合成されていますか。

痛みを引き起こすセロトニンやヒスタミンといったアミン類、ハチ毒キニンとよばれる低分子ペプチド、細胞を破壊する酵素類などの毒成分が含まれているそうです。

★質問91. ぼくは、ハチにさされたことがあります。はちにさされたときはどうしたらいいですか。

刺されたところを水で洗って、冷やし、ハチ毒に対応した虫刺されの薬を塗って、安静にする、が応急処置かなと思います。心配ならそのまま病院へ行くのが一番です。

★質問92. 蜂にさされてしまった場合はどう対応すればいいですか。

ハチ毒アレルギーを持っているかどうかで対応が変わります。自分がアレルギーを持っているかどうかは病院で調べることもできるので、調べておくと安心です。

★質問93. “先生が好きなハチのどのようなところが好きですか。 植物の毒が薬になることがあるように、蜂の毒も何かの役に立つことはありますか。”

生態が面白いところです。たとえば、ハチに刺されたときにアナフィラキシーショックにならないように、ハチ毒エキスをつかってハチ毒アレルギー体質を改善するアレルゲン免疫療法というのは欧米では広く行われています。

★質問94. ミツバチの後ろ足にある、花粉団子の軸になる毛をわざと取ると、花粉団子はできないのですか。あと、他の虫の行動をコントロールをするハチの毒は、目的の虫に使う毒と、人間など他の生き物に刺す毒は違うのですか。毒は、神経節にどうやって作用すると、繭を守らせたり代謝をコントロールしたりできるのですか。

上手には作れなくなるかもしれませんね。毒の成分はハチごとに決まっていて、刺す相手ごとに変えることはできません。神経節に刺すのは狩りバチが相手の動きをマヒさせて封じるときですね。まゆを守らせるのは、毒針を刺すのとはまた違ったメカニズムがかかわっていると考えられています。

★質問95. ミツバチに一回で打たれる毒の量はどのくらいでしょうか。

約0.1mlほどです。

★質問96. いつ頃から蜂は毒針を持っていましたか。

約2億年前には毒針をもったハチが誕生していたと考えられています。

★質問97. 蜂の毒は生まれて、いつから存在しますか。

毒針をもつのは成虫だけです。

★質問98. 蜂の持つ毒は一般的にどのような毒なのですか。

アミン類、低分子ペプチド、酵素類とよばれるものです。

★質問99. ハチが自分の毒で死なないのはなぜでしょうか。

毒は毒嚢(どくのう)とよばれる袋の中にため込んでいて、自分の体内には流れ込みません。食べても消化されて体液中には毒の影響はありません。

★質問99. ハチが自分の毒で死なないのはなぜでしょうか。

毒は毒嚢(どくのう)とよばれる袋の中にため込んでいて、自分の体内には流れ込みません。食べても消化されて体液中には毒の影響はありません。

★質問100. 僕も長崎市に住んでいます。先生はなんでハチが好きになったのですか。長崎市と聞いてとても嬉しかったです!本も買いました。

長崎からようこそ!たぶんスズメバチやアシナガバチ、ミツバチだけしか知らなかったら、そんなにハチを好きにはならなかったんですけど、タマバチのおもしろさを入口にハチが好きになりました。長崎市内にもタマバチはいるのでぜひ探してみてください。

★質問101. どうしたらそのような職業になれるのですか。

大学生を卒業した後、大学院生になって研究をして、博士論文を書いて、博士号を取得します。なりたい職業に就くまでは苦労することもありますが、先を見過ぎず、なれるまでの毎日を楽しむことがコツです。

★質問102. ハチが怖くないですか。

ハチの巣は怖いですが、ハチは習性を知っていれば怖くないです。

★質問103. 先生が研究してくじけた時どうしていましたか。

くじけた時は外に出かけてただただ虫の観察をしてます。

★質問104. 好きな蜂はなんですか。

タマバチです!丸くてかわいいハチです。顔つきもほかのハチよりやさしい顔をしてるんですよ。どのタマバチが一番かと聞かれたら悩みますが、翅に斑紋がはいっていてかっこいいクヌギエダイガタマバチとかも好きですね。

★質問105. 井手先生は、動物は好きですか。

好きです。むしろもともとは虫好きでなく生き物好きで、高校生の時に生物部に入ったことがきっかけで、昆虫研究の道に進むことになりました。

★質問106. どうしてハチについて調べようと思ったんですか。

タマバチが入り口なんですが、虫こぶをつくるとか寄生するとか、知らなかった生態がおもしろく感じたからです。

★質問107. どのようなきっかけでハチを好きになったのですか。

タマバチの研究を進めるためにほかのハチのことも勉強して、好きになりました。

★質問108. どのくらい外国に行ってるんですか。

調査で行くこともあれば、学会発表などで行くこともあります。初めて行ったのは大学院生のときで、インドでした。

★質問109. 先生が一番好きなハチは何ですか。先生が思う「ハチ」とは何ですか。

いちばん好きなハチはタマバチとして、さまざまな動物や植物などと深く関わりあいながら生きているハチは、自然についていろんなこと考えさせてくれる存在です。

★質問110. 先生のなかでは、ハチの存在をどんなふうに思っているのですか。

すごくおもしろい生き物なので、人を刺すことばかりが注目されてしまうのはもったいないなと思っています。

★質問111. 絶対に寄生されないハチはいますか?

寄生者が見つかっていないハチはいると思いますが、どんなに鉄壁の防御を張り巡らしても、寄生者はやってきます。ハチではないですが、幼虫が水の中に住む昆虫であるトビケラは、水の中で蛹になるのですが、そんなトビケラの幼虫に寄生するために、水の中に入ってくる寄生バチ(ミズバチ)なんてものもいたりします。

★質問112. ①蜂の後ろ羽はずっと引っ掛かっているのですか。②井手先生はなぜ蜂の中でもタマバチの専門家になったのですか。③日本でこれからも新種の蜂が見つかると思いますか。

①翅は飛ぶ時だけ連結して、飛ばないときは外れて重ねてたたむことができます。②虫こぶをつくるという生態がおもしろかったからです。でもまだその分類が進んでおらず、ほとんど一般的には知られていないハチだったので、もっと多くの人がこのおもしろいハチを知れるようになるといいなと、その分類の研究で博士論文を書きました。③見つかります。

★質問113. 子どものころファーブル昆虫記は読みましたか。どうしてそんなに虫が好きなのか不思議です。

読んでませんでした。じつは生き物は好きでも、虫だけが特別好きというわけではなかったのですが、高校生の頃、生物部に入って、身近にもいろんなおもしろい虫がいることを知って、知れば知るほどおもしろくなり、ハチにたどり着いた感じかなと思います。

★質問114. 風の中のマリアは読んだことがありますか。また先生の専門とはずれますが、読んだことがある場合は研究者としても感想を教えてください。

教えてくれてありがとうございます。読んだことなかったので、試し読みで冒頭を読んでみましたが、さすがスズメバチの専門家の先生が監修を務めているだけあって、スズメバチの習性など、一つ一つの描写が科学的根拠に基づいているように感じました。今度読んでみます。

★質問115. 先生は何のきっかけでハチの研究を始めたんですか。

研究として初めて出会ったのはじつはタマバチではなく、キャベツ畑に発生する小さなガの幼虫に寄生する寄生バチでした。

★質問116. 先生はハチ以外で 好きな昆虫はなんですか。

虫自体に興味をもつようになったきっかけはオジロアシナガゾウムシというゾウムシだったので、ゾウムシも好きです。

★質問117. “先生がハチの研究をしていて、一番楽しかったことはなんですか。 先生がハチを見せてくれていた顕微鏡の種類は何ですか。”

一番楽しいのは初めてのハチに出会うとき。顕微鏡はライカのS8APOというのをこの前は使いましたね。普段も使ってます。

★質問118. 先生は子どものころから理科が得意ですか。

得意というほどでもなかったですが、苦手ではなかったです。生き物は好きでした。

★質問119. 先生みたいになるためには、どうしたらよいですか。

昆虫の研究者だったら身近にも昆虫はたくさんいるはずなので、今からでも始められます。いろんな虫と出会うことが肝心です。研究を仕事にするには、まずは大学院まで進学して、博士号を取得することが目標かなと思います。あまり最初からこの研究をしたいと決めすぎず、いろんなことに興味をもって、自分が一番おもしろいとおもえる研究対象に出会えるといいですね。

★質問120. ハチ以外の昆虫を観察することはあるのですか。

もちろんあります。外を出歩くときはだいたいいつも目が昆虫を探してます。

★質問121. わたしは気がちりやすいとよくいわれて、何かしらべたりしていてもとちゅうでいろいろなことをしたくなります。先生のように一つのことを研究し続けるのはどうやったらできますか。

全然大丈夫で、むしろいろんなことに興味をもつことは研究者に向いているタイプなんじゃないかなと思います。研究をしていても、いろいろなことをしたくなりますし、しないといけなかったりします。大事なのは全部をやりっぱなしにせず、こつこつやり続けて、今一番やりたいことをやり遂げることなのかも。

★質問122. ハチについて研究しようと思ったきっかけはなんですか。

生態のおもしろさを知ったことがきっかけです。

★質問123. 子供の頃からハチが好きだったんですか。

子どものころはハチは怖かったですし、苦手でした。タマバチと出会って、ハチの生態のおもしろさを知ることがなかったら、好きにはなってなかったかもしれません。今はスズメバチでもちゃんと知っているのでそれほど怖くはありません。

★質問124. 僕ははちに刺されるのが怖いですが、先生はどうですか。

刺されるのは怖いので、ちゃんとどういうときに刺すのかを考えて、ハチと向き合うようにしています。

★質問125. 2番目に好きな蜂はなんですか。

アリバチとか好きですね。メスが翅がなくて毛むくじゃらで、おもしろい生態までもっているので、見つけるとつい目で追ってしまいます。

★質問126. 最初に調べたハチは何ですか。

研究で最初に扱ったのはキャベツ畑で発生するガに寄生する寄生バチでした。タマバチで最初に研究したのはクヌギハケタマバチです。

★質問127. 研究者はずっと研究しているイメージなのですが、課題がたくさん浮かんでくるんですか。

研究は進めれば進めるほど新たな課題が見つかってくる感じかなと思います。たとえば、刺すハチのことを研究したら、実は刺さないハチがいることを知り、刺さないハチのことを研究したら、実は刺さないハチにはいくつもの種類があることを知り、今度はそれぞれを調べる、みたいな?

★質問128. これから昆虫食の時代が来るそうですが、その時に蜂などは食用になるのでしょうか。

主にクロスズメバチの幼虫などである「はちのこ」は伝統的に食べられてきました。ハチミツもハチがつくったものです。これからの時代の昆虫食とはまた違いますが、ある意味ハチは昆虫食の元祖なのかも。

★質問129. 先生が売ってると言っていたユーカリオイルの香りや、インクタマバチの虫こぶは、どこで売っていますか。

雑貨店やネットショップ、ドラッグストアなどで売られていたりします。ネットショップが一番かな?

★質問130. 僕の知り合いのおじいちゃんが、健康のためにハチを食べているのですが、ハチって体にいいのですか。

昆虫全般ですが、たんぱく質は豊富です。

★質問131. あの標本のはちはどうやって捕まえたのですか。

虫取り網で捕まえてます。

★質問132. 私はアゲハチョウの自由研究をしているのですが、幼虫をハチに食べられます。食べられないように、どうしたらいいですか。

外で飼育しているなら、寄生バチや狩りバチが入ってこないよう、アゲハチョウの幼虫がいる木や枝の部分を、目の細かい網(テトロンゴースなど)で覆うという方法があるかなと思います。

★質問133. 昆虫の標本を保管するのには、適した温度はありますか。標本は保管状態が良ければ永遠に残りますか。

20℃前後が適温かと思います。温度は低いほうが害虫やカビの発生が起こりにくくなるのですが、低すぎると標本を外に出したときに気温差で結露が生じるなどの問題も生じます。

★質問134. ハチのワクチンが開発されたと新聞に載っていました。餌にワクチンを混ぜるとありましたが、その餌を食べたミツバチなどははちみつをつくることができますか。

アメリカ腐蛆(ふそ)病というミツバチの幼虫が感染すると死んでしまう病気があります。そのワクチンのようですね。はちみつは作ることができると思いますが、工程としては、まず働きバチにワクチン入りの餌を食べさせ、それを働きバチから女王バチに口移しで伝えると、女王バチは腐蛆病に対する免疫をもった幼虫を産むようになるということのようでした。

★質問135. ハチに刺されたくないのですが、何に注意すればいいですか。一番強いハチの名前を教えて下さい。

とにかくハチを驚かさないことですね。一番強いハチは力でいうとオオスズメバチのような気がします。でも刺されると一番痛いハチとされているのはタランチュラホークです。

以上、井手先生の追加特別講義はいかがでしたか?
お忙し中、全135問の質問に丁寧にお答えいただいました。井手先生、本当にありがとうございました!!!