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【株式会社ダイモン 三宅創太先生より】質問の回答が届きました!

【第10期 第6回講義】
「お月様で、みんながお仕事している未来を考えよう!〜世界各国が注目する宇宙産業の今を学ぼう〜」

株式会社ダイモン
取締役COO
三宅創太 先生

お待たせいたしました! 2024年3月2日に実施した「第6回講義」にご登壇いただいた、株式会社ダイモン 取締役COO 三宅創太 先生より、皆さんの質問に対する回答が届きました!
三宅先生の追加の特別講義、ぜひ読んで学んでみてください!

【株式会社ダイモン 取締役COO 三宅創太 先生が、みんなの質問に答えます!】

★質問1. 先生が今までに関わった宇宙プロジェクトで印象に残っている事はなんですか。また、その理由も教えてください。

地球と火星の間にある「小惑星の資源活用」は、印象に残っています。純度の高い鉱物で作られている小惑星の資源を使えることができれば、地球では大変な資源発掘作業が簡単にできてしまうという理屈を教えてもらったときに、衝撃を受けました。東京大学で太陽系探査と宇宙資源工学の研究をされている宮本研究室に行くとこの事業に関われますよ。

★質問2.もし三宅先生が月に行くとしたら、月についた一言目は何にしますか。

月「思っていた以上に月は近かったよ。みんなも早くおいで~」

★質問3. YAOKIはどのようなアイディアから今の形になったのですか。
また、YAOKIを作るうえで一番大変だったことは何ですか。

月への輸送コストは、1kg当たり1億円以上します。
なので一番大変なことは、0.5kgという小さく軽い機体にして輸送コストを少なくしながらも、月面の動きにくい砂(レゴリス)の上をスムーズに走行することができる性能を持たせることです。

★質問4. 宇宙で生活できるくらいの持続的な発電はどうやってするのですか。

太陽光発電が考えられています。
持続的な生活ができるだけの発電するためには、月面に大きな太陽光パネルを設置することが必要です。
その発電パネルの土台は月の素材を使って作るという構想があります。

★質問5. 宇宙を悪いことに使う人や独り占めしようとする人は出てきませんか。不安になります。
また、その人たちとどう向き合えばいいのでしょうか。

宇宙で悪いことをされると不安になりますね。
今、宇宙の資源や惑星を独り占めできないように新しい国際的な法律を作っています。
世界各国が協力しながら開発する仕組みです。先行事例として、南極があります。「南極条約」というルールによって、各国が協力し独り占めができないようになっています。

★質問6. これから宇宙開発や宇宙産業の発展に向けて、どんなものをつくりたいですか。

地球から宇宙に行くには、地球の重力から抜けるために高い輸送コストがかかります。
これからの宇宙産業では、月や火星や小惑星にある鉱物を資源に変えて、加工するという現地調達形式に変わります。
この構想自体を実現できる考え方と装置をつくりたいです。

★質問7. 世界の企業が宇宙開発をしていると言っていましたが、月をめぐって揉めることがありませんか。
(アメリカ、ロシア、中国など)

月をめぐっては、各国が競争しています。
地球と同じように、中国とロシア、アメリカとヨーロッパと日本という2つのグループがあります。自分たちの国・チームが先に月で基地を作ることを目指しています。
なので、「地球人」として、月での活動が国際的に協力するルールづくりが重要です。そんな「宇宙に関わる人材」が日本で育つことを望んでいます。

★質問8. ロケットやロボットを飛ばすことは本当にいいことなんですか。
失敗したりしたら、そのままにしていたらゴミになるのではないかと考えました。
それは、地球にも影響がかかるのではないでしょうか。世界を救えると言っていましたが、私は、他にも色々な影響があると思います。

全ての物事に対して、多角的に捉えることは、本質をつかむうえで重要なアプローチ方法です。 その点で、とても良い質問だと思います。
人工衛星やロケットは、軍事的に使われているものあるので、人を不幸せにすることもあります。また、宇宙での活動をすべて人間が管理できるわけではないので、予測できない人類の危機が起こるかもしれません。
だからこそ、壮大な宇宙をテーマにして、人類みんなが智恵を出し合って、良い方向に進める仕組みをつくることが必要だと思っています。

★質問9. できないことばかり指摘してくる人にはどう対処したらいいですか。
いつも前向きに学びを楽しめる自分でいたいのに、自分の中から元気がなくなってしまいます。考え方のヒントがほしいです。

前向きな学びを楽しめるときに、後ろ向きなことを言われると困りますね。
でも、大丈夫です。その昔、ヘーゲルという人が「弁証法」という考え方を発表しました。前向きなことを「正」、それに反対する人を「反」、この「正」と「反」がどっちも納得する新しい考え方を「合」するという考え方です。
せっかく前向きなのに、それはできないんじゃないと言われたら、元気を出すチャンスだと思いましょう。その人が言うできない理由をクリアする、さらに前向きな考え方を考えてみるといいです。
人間社会はそうやってレベルアップしてきたのではないか?とヘーゲルは言っています。人類みんな、まだレベルアップの途中です。

★質問10. どうやって色々な分野の人と話をしたり、仕事をお互いに関係付けたりしたのですか。
僕は仲の良い友達とばかり、いつも共通の趣味で盛り上がってしまうので、すごいなと思いました。

何も知らない分野に関わることは怖いので、「知らないので教えてください」とちゃんと言います。そうすると、「何が面白いのか、どんな可能性があるか」を教えてもらい知ることができます。
自分にとっては「新発見」になるので、それをみんなに話してみます。そうすると、今の友達が面白いと思ってくれるかもしれません。
上手くいかないときもありますが、何回か続けていくと、一緒にやってくれる仲間が増えていきます。
こうやって、少しずつ挑戦できる分野が拡がっていくんじゃないかなと思っています。

★質問11. 実際に、月の1日の、708時間54分を過ごした人はいますか。 また、何人いますか。

お昼の時間帯だけです。71時間が最大滞在時間のようです。
https://www.gizmodo.jp/2014/07/12_20.html

★質問12. 月の建物は地下に作るのなら地下何メートルのところにどんな構造で作りますか。

月の縦孔・地下空洞直接探査(UZUME)を見てください。
https://jaxa.repo.nii.ac.jp/record/47842/files/SA6000163031.pdf

★質問13. 宇宙に人間が行くことが当たり前になったら、きっとトラブルも犯罪も起きるようになると思うので、どこの国の法律が使われると思いますか。

既に1960年代に宇宙に関する国際法は存在します。
現在月や火星等の資源開発に関する法律を、アルテミス・アコード(アルテミス合意)として米国が世界に提示し、批准していく国が増えている状況です。
https://space-law.keio.ac.jp/pdf/symposium/symposium_20201127.pdf

★質問14. 先生は、YAOKIを中島さん、つまり友達となんとなく始めたとおっしゃっていましたが、その決断は並大抵のことではなかったと思います。
その決断ができた原動力、また先が見えずらいものをつずけられている原動力はなんですか。

中島さんと一緒にYAOKI事業をやると決めたのは、以下の5つの判断基準に「〇」がついたからです。
①その人と一緒にやって、本当に楽しいか?
②その事業は、社会全体が良くなることにちゃんと寄与するか?
③その事業は、自分とチームメンバーにとって楽しく成長できるか?
④その事業は、他の事業よりも優先したいと思うか?
⑤その事業は、自分が責任をとれる範囲にあるか?
特に、自分の原動力となるのは、②と③かな。①は前提条件。④と⑤は制約条件ですね。

三宅先生の課外講義、いかがでしたか?
三宅先生、お忙しい中、丁寧にご回答をいただきましてありがとうございました!