3月2日(土)に、第6回講義を実施しました!
子ども大学グローバル第10期の締めくくりとなった第6回講義では、「お月様で、みんながお仕事している未来を考えよう!〜世界各国が注目する宇宙産業の今を学ぼう〜」というテーマのもと、株式会社ダイモン取締役COOの三宅創太先生にご登壇頂きました。
株式会社ダイモンでは、過酷な宇宙環境を開拓するべく、テクノロジーを駆使したロボットの開発を行っており、宇宙と未来への大きな門を開くため日々研究を続けています。宇宙開発の1つ、月の開拓の先駆けとなるのが「YAOKI」です。YAOKIは今年、2024年に月面を走る予定のロボットでNASAのアルテミス計画におけるモビリティシステム分野での貢献を目指しており、YAOKIを基にしたテクノロジーの進化が人類の挑戦を成功へと導きます。このように株式会社ダイモンでは、人類の新たな1ページを生み出せるよう挑戦を続けています。
そもそも月というと、今は見上げているだけの人が大半ではないでしょうか?
実は、来年2025年には本格的に人間が月に行って活動する予定なのです。講義では、学生を未来の事業パートナーとして、社会的背景の変化やなぜ、今、このタイミングで、新たな天体への道が開くのか?という問いについてお話くださいました。
まずは、宇宙クイズを通して宇宙や月に関する基礎知識を身につけました!初めに、地球から月まではどれくらい離れているのか考えました。地球から高度100キロメートル以上から宇宙な一方で、地球と月の距離は約38万キロもあるそうです。
月は地球とは異なり過酷な環境があります。例えば、月は厚い大気や磁場がないため放射線が地球の100倍降り注ぐことや、昼の最高気温が120度であるのに対して夜は-180度といった厳しい気温変化や、隕石が降ってくること等が挙げられます。人間が月で生活するにはこの環境に適応しなければなりません。そんな過酷な環境の月面を歩いた人はこれまでに12人おり、すべてNASAの宇宙飛行士でアポロ計画で月にいった人たちだそうです。アポロ計画から50年たった今、オデュッセウスやアメリカの民間ロケットのスターシップが開発されています。このスターシップにはなんと100人も乗れるそうで、他にも、月の周りにISSを作り月への移動をスムーズに行えるようにしようと計画が進められているそうです。
次に宇宙産業が変わるスピード、歴史についてお話してくださいました。1962年から1971年にかけて、アメリカでは宇宙予算に大きな変動がありました。予算が膨大になり、月面に着陸した12人の宇宙飛行士もこの時期に降り立っています。しかし、1972年から2012年までは安定成長の40年となり、予算の推移に大きな変化はありませんでした。2012年から2017年にかけて、今度は中国での宇宙予算が大きく増加し、宇宙産業における新たな主役となりました。この動きに対して2017年から2021年に次の時代への胎動として、各国の多くの企業が宇宙事業へ参入していくようになり、現状、日本やアメリカでは民間企業が宇宙計画に力を入れています。
宇宙ビジネスは新たなビジネスチャンスが生まれる可能性を秘めています。2040年にはアルテミス計画の影響により宇宙市場規模が300兆円に急拡大し、宇宙産業は民間参入の時代へ変化すると言われています。それに先立って、月の開発が世界中で盛り上がっており、これからは官民問わず多種多様な業界が月産業に参入すると考えられています。このように宇宙業界の主体は国家から民間へと変化し、競争原理と安全基準の見直しにより地上技術の積極的な活用がなされている、これが宇宙産業の今であることを教えていただきました。
続いて、三宅先生はYAOKIについてお話くださいました。YAOKIは民間で世界初の月面探査機で、サイズはなんと手にのせられるほど超小型です。2026年には掘る、採るなどの様々な機能をもったYAOKIを100機程打ち上げる予定だそうです。小さくてかつ軽いYAOKIがたくさん動き、大きな探査機と同等の働きができれば、それはまるで沢山の小さな魚が集まり大きな魚のようになったあの「スイミー」のようだと仰っていました。実はYAOKIの技術は宇宙だけでなく、地球でも使われています。例えば、人の救助を手助けするロボットや人の手の届きにくい配管や廃炉の点検をするロボットなどにYAOKIの技術が使われています。
宇宙開発技術が発展している一方で、次の時代の宇宙開発に向けて日本が突破しなければいけないことが沢山あります。例えば、省庁の壁、法制度の壁、技術の壁、人材の壁、社会需要の壁などです。もし乗り越えることが出来れば、自分がしたいことを実現できるそうです。また、このような壁は実社会でもたくさんあります。社会で自分がしたいことを実現するためにはそれら壁を上手に乗り越えている必要があるというメッセージを、実体験を元に三宅先生から子どもたちへのアドバイスをいただきました。
最後に先生は株式会社ダイモンのCEOである中島さんの「挑戦できる時代になった」という言葉をもとに、YAOKIのようなプロジェクでも実現できるのであれば、もっと可能性のある学生のみんなにもより大きなことを実現して欲しい、挑戦して欲しいと仰っていました。
宇宙というのはとても難しく、想像がしづらいものですが、三宅先生は学生らでも想像がしやすいように、分かりやすく、とても身近な例を用いて講義してくださいました。この先の未来を変えていく子ども達が今回の講義を通して、興味を持ったり、色々な考え方ができるきっかけとなる、とても素晴らしい講義となりました。三宅先生、ありがとうございました。
本日の司会進行および冒頭HRの担当者は、学生部実行委員の大津弦将でした!
文責:海老澤、木村