子ども大学グローバル
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「第5回講義」終了しました!~おうちでサンゴ!? サンゴ礁ラボ!!

2月3日(土)に、第5回講義を実施しました!

2024年初めの講義となった第5回講義では、「おうちでサンゴ!? サンゴ礁ラボ!!~いま海の中で大ピンチなサンゴって知ってる??」というテーマのもと、株式会社イノカ取締役COOの竹内四季先生にご登壇頂きました。当日は松浦京佑先生にご登壇頂く予定でしたが、体調不良により急遽代理で竹内先生にご登壇頂きました。

株式会社イノカでは、海を守るための研究を行っており、人類がこれからの時代を生きていく上で自然を守る必要があると考え立ち上がりました。その取り組みの1つとして、「環境移送技術」と呼ばれるサンゴ礁を水槽の中に再現する技術を研究しています。水族館でサンゴを見たことがある方は多くいると思いますが、サンゴを育てることの難しさから、実は水族館のサンゴは本物ではないことがほとんどです。しかし、この「環境移送技術」ではサンゴを守るための研究を陸上で行う事ができ、東京のような都市部でも研究を進めることができます。

今回の講義では、秘密研究機関イノカの竹内先生こと、しっきー研究員とともに、学生が見習い研究員として海を守るための第一歩を踏み出すべく、サンゴ礁の知識獲得とサンゴの調査の2つのミッションに取り組みながら学びを深めました。

なさんはサンゴ礁が絶滅の危機にあることを知っていますか?

プラスチックゴミによる環境汚染や地球温暖化による白化現象によって、この数年で多くのサンゴ礁が生きることが難しくなると言われています。そしてこの問題はサンゴだけの問題ではありません。サンゴ礁に頼って生息する海の生き物に加え、私たち人間にとっても影響があります。

まずは、サンゴの基礎知識を身につけるためにサンゴマスタークイズに挑戦しました。 初めに、4つの写真の中からどれがサンゴであるかを考えました。4つすべてがサンゴの写真のように見えましたが、フジツボやライブロックの写真も混ざっており、学生らは驚いた様子でした。他にも、サンゴは植物ではなく動物であり、イソギンチャクの仲間で刺胞動物に分類される事を学びました。サンゴの写真を見ると、小さなつぶのような構造が多くあり、このひとつひとつが「ポリプ」と呼ばれる、サンゴの1個体とのことです。サンゴと聞いて想像する大きなサンゴは実際にはサンゴの集合体であることを学び、オンラインキャンパスで受講している学生らもコメント欄で驚いた様子でした!

では、サンゴは何を食べるのでしょうか?

サンゴは、プランクトンと太陽の光を食べます。触手を使ってプランクトンを食べるほか、サンゴは光合成によって得られるエネルギーを吸収します。サンゴの体の中には褐虫藻と呼ばれる植物プランクトンが共生しています。そのため、サンゴは褐虫藻が葉緑体で光合成したエネルギーを吸収できるのです。そのため、サンゴは太陽光を必要とするため成長するにつれ枝を伸ばして成長し、面積を広げます。これが、サンゴが植物に似ている所以です。 

また、サンゴは2つの方法で増えます。1つは分裂、もう1つが有性生殖で卵を産みます。年に一度の夏のサンゴの産卵の様子はとても幻想的だそうです。また、秘密研究機関イノカでは、世界で初めて真冬にサンゴを人工的に産卵させることに成功したそうです!

サンゴには海の生き物の「すみか」としての役割があります。サンゴに棲む海の生き物の数は全体の4分の1ほどになるそうです。言い換えるとサンゴ礁とは、海の生物たちが棲むいわば大都会であり、海にとってとても大切な存在といえます。

では、人間にとってサンゴはどのような役割を果たすのでしょうか?

サンゴには護岸効果があります。サンゴを通すと波のエネルギーの大部分が消え、岸が削られることを防ぐことができます。天然のテトラポッドですね!他にも、観光名物として経済を回したり、地球温暖化要因のひとつの二酸化炭素を吸収したりもします。サンゴが吸収する二酸化炭素の量は陸上での吸収量を上回るそうです。

続いて、しっきー研究員は1枚の写真を見せてくださいました。それは海の中で死んでしまったサンゴの写真です。海の中ではサンゴが次々と死んでしまっており、なんと20年後には70~90%のサンゴがなくなってしまうといわれているのだそうです。

ここで、東京キャンパスでは実際に学生が見習い研究員として、生きたサンゴと死んだサンゴの違いを目で見て手で触って比べる、というミッションを行いました。学生の手元には死んだ様々な形のサンゴが配られ、「ざらざらしている、中に毛のようなものがあった、白骨化していて白い」など、虫眼鏡を持ってワクワクした様子でたくさんの観察結果が聞かれました。オンライン上でも四季研究員が死んだサンゴをカメラに見せながらオンラインキャンパスで受講する学生と交流しつつ観察をしました。このようにサンゴが死んでしまう流れとして、初めに海が温まり、そのストレスでサンゴの中の褐虫藻が出ていくこと、そして栄養がなくなり最後に白骨化することを学びました。

次に生きたサンゴについて観察を行いました。東京キャンパスの学生からは「生臭い、イソの匂いがする、ザラザラしている、死んだサンゴと色が全然違う」などの意見があがり、学生同士でも観察を踏まえて意見交換をする様子も伺えました。東京キャンパス、オンラインキャンパスともに実際に生きたサンゴと死んだサンゴを間近で観察するという機会はとても貴重な経験であり、これからは水族館や海などでサンゴを見たときに判別をつけられるかもとワクワクしている様子でした!

そして講義の最後には、秘密研究機関イノカのラボツアーを実施しました。会場にはいくつもの水槽があり、そのうちの1つでは東南アジア地域の海がイメージされ30種類ものサンゴが生息していました。水槽の中には、サンゴだけでなく、サンゴ礁の生態系を保つために様々な生き物が生息しており、例えば100匹ものヤドカリやウニ、ナマコが生息しています。これらが苔を食べるため、環境が保たれているのだそうです。また、水槽に設置されているライトは太陽の光の波長をイメージしていて、時間帯によって太陽の光を調節していたり、水で波の流れも再現しており、よりリアルな環境が水槽の中に作り出されていました。

また、ツアーの終盤では研究室も見学しました。研究室では環境移送技術を使い、沖縄の海藻であるウミショウブという海藻がどういった環境にいれば育つのか、アサリの繁殖技術や、どうすれば東京湾のヘドロを減らすことができるのかなど様々な海の問題を解決するための研究が行われているとのことでした。

最後にしっきー研究員から「今日おもしろいと思ったことはなるべく多くの人に伝えよう」とメッセージをいただきました。秘密研究機関イノカの見習い研究員として今日学んだこと、感じたことを周りの人に伝えることで、その人たちも興味関心を持てるようになる。そういった人が増えていくと、今の海が危険に瀕している状態などを変えるための一歩に繋がっていくのです。 東京キャンパスだけでなくオンラインキャンパスで学んだ学生も含め、ぜひ家族だけでなく、親戚、友達というようにたくさんの周りの人々に自分の学びを伝え、現状を知る人を増やし海を守るために動き出していきましょう!

しっきー研究員、第5回講義ありがとうございました!

本日の司会進行および冒頭HRの担当者は、学生部実行委員の黒澤陽太でした!