子ども大学グローバル
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第12期「第3回講義」終了しました!~うごく!?未来のおすし

     第3回講義では、山形大学工学部の古川英光先生をお招きし、「うごく!?未来のおすし〜3Dフードプリンターでいきものみたいな食べものをつくるしくみ〜」というテーマで3Dフードプリンターの仕組みや食品ロス削減への取り組みについてお話しいただきました。
     これからの時代、「今まで食べられていたものが食べられなくなる」可能性が高まる中で、古川先生は“食×テクノロジー”で食の未来を切り拓く研究に取り組まれています。

     まず、先生が長年研究されてきた「ゲル」という物質を使った、革新的な食品技術についてお話しいただきました。
     古川先生が開発した「低温凍結粉砕含水ゲル粉末」は、食べ物のおいしさや栄養を保ちながら長期保存を可能にする画期的な技術です。粉末化したお米に、形や色が悪く出荷されない野菜や果物を混ぜることで、風味や栄養を自在に組み合わせた“新しいお米”を生み出すことができます。

     また先生は、見た目の理由で出荷されない農産物が年間約300万トンにも上る「見えないフードロス」にも注目されました。これらを粉末化して保存・再利用することで、食品ロスの削減だけでなく、CO₂排出量の削減にも貢献できると語られました。冷却には海外から輸入される「未利用の冷熱」を再利用することで、環境負荷の軽減にもつながるとのこと。まさに「もったいない×もったいない」で未来を変える発想です。

     さらに先生は、問題解決の姿勢についても学生に向けてメッセージをくださいました。
    「ひとつの課題だけにこだわるのではなく、複数の問題を俯瞰して見ることで、同時に解決できるアイデアが生まれる」という考え方です。個々の課題を順番に片づけるだけでは間に合わない現代社会において、柔軟な発想力の大切さを学ぶことができました。

     続いて、3Dフードプリンターの原理を理解するために、輪ゴムを使った実験を行いました。輪ゴムをそのままの状態で鼻と口の間につけた後、伸ばした状態で同じ個所に当てると生ぬるく感じられます。これは、輪ゴムを伸ばすことで、分子の振動エネルギーが外に放出され、温かくなるためです。逆に縮むと、内部にエネルギーが戻り冷たく感じます。このように、ゴムには温度が高くなると固くなる性質があり、この性質はゲルにも共通しています。デンプンは、水を含むとゲルの性質を持つようになります。デンプンの粒を加熱すると水を吸収し膨張することで粒同士がつながり、収縮することで一体化します。この性質を利用したのが、レーザー照射式の3Dフードプリンターです。廃棄食材を粉末化し、レーザー照射で加熱し固めることで、食べ物を好きな形に印刷することができます。

    現在、古川先生は3Dフードプリンターを用いた未知のラーメンの制作に挑戦されています。3Dフードプリンターでは新しい形や食感の麺を作ることが可能です。また、食べ物の色によって味が違って感じられたり、光っていると味が濃く感じることが判明しています。
     古川先生は得意分野の違う多くの人と協力しながら3Dフードプリンターの実用化に取り組んできました。学生の皆さんも、得意分野の違う人との協力を大事にしてみましょう。古川先生、ありがとうございました!