第12期第4回講義
面白い?ちょっと気持ち悪い?線虫の世界~1ミリの探検者:線虫が解き明かす生命のしくみ~
三重大学 教授 / 森林研究・整備機構 主任研究員
神崎菜摘 先生
お待たせいたしました!
2025年11月8に実施した「第12期第4回講義」にご登壇いただいた、三重大学/森林研究・整備機構 神崎菜摘先生より、皆さんの質問に対する回答が届きました!
みなさんからのすべての質問にお答えいただいた、大変読み応えのある神崎先生の追加の特別講義、ぜひ読んで学んでみてください!
【三重大学/森林研究・整備機構 神崎菜摘 先生が、みんなの質問に答えます!】
★質問1-1.線虫はどのくらい生きるのですか。
線虫の寿命は、種によって様々です。
モデル生物として世界的に研究材料として使われる、Caenorhabditis elegans では数日で成虫になり、寿命は3週間ほどになります。
短いものでは、Strongyloides ratti という線虫は、動物寄生性と細菌食性の2つの生活様式をもちますが、細菌食の場合、寿命は数日、と非常に短くなります。
逆に、寿命の長い動物に寄生するものでは、数年生きることも知られています。Loa loa という寄生虫では、15 年以上生存したという例が報告されているようです。
また、シベリアの永久凍土から見つかった線虫がニュースになったことがありましたが、この場合、休眠状態ではあるものの、46,000 年生きていたということになりますね。
ついでに、ちょっとおかしな寿命の決定をする線虫を紹介したいと思います。
ベニツチカメムシという昆虫にその生活を依存する線虫、Caenorhabditis japonica という種類が居ます。まず、このカメムシは、夏の間の1か月半ほどの間に子育てを行うことが知られており、この子育て期間以外は植物の葉などの表面にかたまりになって休眠しています。線虫は、このカメムシの翅の隙間に入り込んで、カメムシとともに1年近く休眠します。このとき、線虫は、カメムシに入り込むための特殊な幼虫、「耐久型幼虫」という形になります。
耐久型幼虫は、カメムシに入り込むためにカメムシを探し回りますが、10 日以内にカメムシを見つけなければ、疲れ切って死んでしまいます。
しかし、カメムシにいったん入り込むと休眠状態になり、1年近く(実験的にはそれ以上)生存することが出来ます。面白いのは、1 日でカメムシを見つけて入り込んだものも、10 日目にやっとカメムシに入り込んだものも、休眠が終わって、目を覚ましてからの寿命は、同じ 10 日くらいになります。これは、わずか 10 日とはいえ、「若返る」ということが出来ることを示しています。
現在、この「若返り」がどのようにして起こるのかが研究されており、その秘密が明らかになれば、人間の老化や、老化防止の研究に役立てられるのではないかと考えられています。
★質問1-2.線虫は、1匹でどれだけの個体を生むのですか。
これも、種類によって大きく異なります。
卵のもとになる卵母細胞はいくらでも作れますが、胎生で、卵ではなく子供を産むものなどでは、子供1頭あたりの手間がかかるので、30頭前後になることが多いです。逆に、寄生虫などでは、毎日1万個以上の卵を産むものもありますので、一生のうちに 100 万個を超えることも珍しくありません。
★質問2.線虫はどのくらい昔から地球上に存在していたのですか?また化石はありますか?
この話、講義で入れようと思っていたのですが、入れる余裕がありませんでした。
線虫は、5億年以上前の先カンブリア紀から居たと考えられています。この時代の地層から、数 cm の細長い形が泥の中にプリントされたような化石が知られており、これが線虫の最古の化石と言われています。もっとはっきりと線虫とわかる化石は、デボン紀(4億年ほど前)の植物化石の中に植物寄生線虫がみられます。
ジュラ紀、白亜紀には、糞石(恐竜の糞の化石)の中から寄生線虫の卵なども見つかっているので、恐竜にも寄生線虫はついていたようです。
さらに、この時代以降は、琥珀の中に閉じ込められた昆虫の体から出てきている線虫の化石が比較的多く見られます。さらに後の時代になると、ミイラの中に寄生虫感染の痕跡が見つかったり、日本でも遺跡発掘の際、トイレがあったと思われる場所から、寄生虫卵の痕跡が見られたという記録があります。
★質問3.まだ見つかっていない線虫に見つかったら嬉しい特徴は?(長さ?小ささ?特技?)
今のところ、環境耐性に興味があるので、特殊環境への適応をしている種類で、培養可能なものがうれしいです。
また、線虫は割と「何でもあり」な生き物なので、たまたま見つけたものが想像していなかった特徴を持つこともありますので、こちらの想定を超える変なものが現れないかと期待しています。
★質問4.線虫を捕食するほかの生き物はいますか?
ダニやクマムシなど、線虫より少し大きい節足動物が線虫を捕食することが知られています。
また、微生物では、線虫捕捉菌(糸状菌類・カビの仲間)や、線虫病原細菌(バクテリア)なども報告されています。
これらの微生物の一部は、有害線虫(特に、植物寄生線虫)の防除にも用いられるものがあります。
★質問5.様々な線虫が地球に住んでいますがクマムシのように宇宙でも生き延びますか?
線虫が宇宙や真空中で生きられるのか、という質問も何人かの方から出ていました。これも、ここでまとめて書かせてもらいます。
まず、地球上なら至るところ、ほとんどどこでも済んでいる線虫ですが、さすがに、宇宙では見つかってませんね。これは当たり前と言えば当たり前ですが。宇宙でも生きられる生物というと、まずクマムシが思い出されますが、実は、クマムシも普通に生活している状態だと、特に強い環境耐性があるわけではありません。
クマムシの場合は、体内の水分を亡くし、乾燥状態になって休眠することができ、これを「乾眠」とよびます。この状態になると、高温や、真空状態、放射線、紫外線などに耐えられるようになります。では、線虫の場合は、と言うと、これまでに詳しく調べられていませんので、はっきりしたことは言えませんが、クマムシの乾眠と同じような状態になって、長期生存する種類が居ます。これは、土壌中で糸状菌(カビ)を食べて生活する Aphelenchus という種類で、クマムシと同じように急に乾かすと死んでしまいますが、周囲の湿度が下がってくるのを感じると、徐々に水分を減らして、乾燥状態になり、長期生存できるようになります。南極の苔の中から出てきた Plectus も、同じような状態になっていたのだと思います。この状態になるとクマムシと同じような生存が出来るのかもしれませんが、さて、どうでしょう。
なお、研究材料として使われる C. elegans は、宇宙ステーションでの実験のため、スペースシャトルに載せて宇宙に運ばれて、実験に使われたこともあるようです。無重力状態での卵の成長(発生)に関する者だったように思いますが、詳しくは覚えていません。調べてみてください。
★質問6.人生で初めて線虫を見たときの気持ちは?
初めて見たのは、大学三年の学生実習のときです。
そのときは、何だか半透明のにょろにょろしたものが居るなとしか思いませんでした。
ただ、毛虫、イモムシ、ムカデなどに比べると、気持ち悪いという感覚はなかったように思います。
★質問7.いろんな生き物に寄生して大人になる線虫はどうやって次の宿主に入るのですか?
いくつかの方法があります。
カイチュウなどの寄生虫は、宿主体内で、卵を大量に生み、それが排泄され、卵が環境中に散らばることにより、たまたま次の宿主の口に入ることによって感染します。カイチュウでは、排泄物を野菜類の肥料に用いることにより、感染が拡大して、問題になり、そこから化学肥料が広く用いられるようになったと言われています。その他、昆虫寄生の線虫では、宿主体内で成長した幼虫が他の宿主の体表に穴を開けて侵入していくものも居ます。
また、小さい動物(昆虫やカタツムリなど)に食べられた卵がその動物の中である程度成長し、その動物がより大きな動物によって食べられることにより、大きな動物に感染するという者も多く知られています。
★質問8-1.線虫は人間にとって害虫?益虫?どちらが多い?
基本的には、有益なものはそこまで多く見つかってはいません。
有益なものには、昆虫やナメクジに対しての病原性を持つもの、研究のための材料として利用できるものなどですが、使える種類はまだ限られています。これに対して、動物や植物に対する寄生虫は非常に多く見つかっています。
★質問8-2.線虫を利用してがんを発見するのはなぜ?
詳しい機構は、まだ明らかになっていませんが、がん患者の尿には、がん患者特有の物質(がん細胞から出てくるらしいです)が含まれているようで、偶然、線虫がその物質を好むということから利用されています。
これ以前から、アニサキスが胃がん患者の胃に感染した時、もともと、胃に入ったアニサキスを内視鏡手術で除去する際、胃がんがあると、アニサキスがその場所に居ることが多いということは言われていました。
いま、がんの診断に使われている C. elegans 以外の線虫でもこの物質を好むものは多いのかもしれません。また、C. elegans よりもさらに匂い(化学物質の検出)に敏感な線虫も多く居るはずですので、この診断の感度は、まだ高くできるかもしれません。
なお、線虫は、健康な人の尿は嫌いなようで、避ける傾向がありますので、健康な人とがん患者の尿を並べておくと、その違いがさらにはっきりするようです。
★質問9-1.実験や解剖の素材はどうやって手に入れるのですか?
線虫については、わかっていることの方が少ないので、なんとなく線虫が付いていそうな昆虫をとにかく集めてきて解剖するという「行き当たりばったり」な方法で材料集めをしています。
ポイントは、幼虫の間に割と安定した、湿度の高い環境で生活するものを探すことで、空気中で幼虫期間を過ごすチョウなどは、あまり線虫が付いていないようです。
また、研究材料として広く使われている Caenorhabditis elegans やその仲間の線虫は、アメリカにある Caenorhabditis Genetics Center という研究所が飼育しており、ここに依頼すると送ってもらうことが出来ます。
★質問9-2.1番見つけるのが難しかった線虫は?
これは、ちょっと難しい質問ですね。私の好きな線虫についても何人かの方から質問ありましたので、それもこちらで一緒にお答えします。
今までで、どうしても見つけたかった線虫は、シデムシの寄生線虫で、これを探すためにはシデムシを集めればいいのですが、そのために、肉を腐らせてトラップを作る必要があり、この匂いが大変でした。今では結構慣れましたが。他には、難しかったというわけではないのですが、イチジクコバチから見つけた Caenorhabditis inopinata という線虫が面白いと思いました。
この線虫は、モデル生物である Caenorhabditis elegans と遺伝子の上では非常に近いのですが、体の大きさや、生活様式が全く異なっており、線虫(や、他の生物)の遺伝子や、進化の研究に重要な材料になりました。他には、今回の講義でも紹介しましたが、インドネシアやアフリカに分布している口の形が5種類になる線虫、Pristionchus 属というグループになるのですが、見つけた時は驚きました。まず、5型のうちのいくつかが、これまでに全く見たことのない形をしていたということ、そのうえ、最初はそれぞれ別の種類だと思っていたものが、実は同じ種類だったということ、そのうえ、この線虫グループは、遺伝子が同じで、全く形が変わるという「表現型可塑性」と言われる現象についての研究材料となっていることから、さらに調べていくと面白いことがわかりそうだと思いました。
また、今、興味があるのは、① 厳しい環境に住む種類がどのように環境に適応するか、② 線虫の食性がどのように変化するのかということで、近い種類の間で普通の環境に居るものと、厳しい環境に居るものを集めてきて、それを比べるということ、同じく、近い種類の間で、餌の種類が大きく異なるものを比較するということを行っています。
個人的に好きな線虫は、Diplogastridae というグループで、口の形が複数あるものも、ここに含まれます。環境適応進化などの研究材料として面白い、ということ以外に、栄養条件が悪い時に出現する捕食型の成虫が大きな歯を持っていて見ていてかっこいいと思っています。
ライオンが強そうでかっこいいと思うのと同じような感覚でしょうか。線虫は全体に小さいのでこのかっこよさがなかなか伝わらないのですが。
★質問10.今後考えられる線虫の使い道の可能性は?
一般的に考えれば、生物防除でしょうか。害虫や、有害植物に寄生して殺すものを探して散布するといったことが考えられます。
講義でもお話しした昆虫病原線虫や、ナメクジ病原線虫は既に実用的に使われ、農薬の一種(生物農薬)として販売もされています。他にも、外来植物を減らすため、その植物にしか寄生しない線虫を増殖させて、利用するための研究もおこなわれています。
また、これは、「笑うカイチュウ」にも書かれていたと思いますが、いくつかの寄生虫では、人間に感染することでアレルギーが軽くなったり、自己免疫疾患(人体を病原菌などから守るための防衛システムを免疫系と呼びますが、これが間違えて、自分の体を攻撃してしまう病気)の症状を軽くするということが知られています。
アメリカなどでは、寄生虫をわざと感染させて、病気を治したり、軽くするという方法が実用的に使われ始めています。これは、寄生虫が人間に感染するとき、人間の免疫系に攻撃されないように、免疫系の働きを少し弱めるという性質を利用したものです。これのもととなる物質(ペプチドというたんぱく質の一種)もいくらかわかっていますが、物質だけを使うと、ちょうどよい免疫系の強さを調整するのが難しいため、本物の寄生虫を使う方がうまくいくらしいです。また、線虫そのものではありませんが、昆虫病原線虫が体内に持っている昆虫病原細菌は、色々な化学物質を作ることがわかっており、これらの一部は、抗生物質などの形で、医薬に応用されています。
また、「線虫でがんが見つけられる」という話がありますが、線虫には、色々な化学物質を嗅ぎ分ける能力が高いものも多く居るため、この性質を利用してセンサーを開発するなど、色々な使い方が考えられます。
他には直接的に産業の役に立つわけではないですが、色々な生物現象を明らかにするための研究材料として、より面白い、変な線虫が見つけられれば、基礎的な研究が進められると思います。この点で、変な特徴をもつものが思わぬ遺伝資源になるかも知れません。
【先生より】上のピックアップされた質問以外で、線虫研究を始めたきっかけ、いつ、どうやって線虫に興味を持ったかという質問を何人かの方から頂いていますので、それについて、まとめてお答えします。
私が線虫を初めて見たのは、上にも書いた通り、大学3年のときに、実習で観察しました。最初に見たのは、マツの木を枯らす植物病原体、マツノザイセンチュウでした。線虫の姿を見て、ちょっと気持ち悪いと思った方も多かったようですが、私の場合、特に気持ち悪いとも思わず、そういうものが居るのだな、と思った程度でした。
その後、大学4年で研究室に入ったのですが、最初は、菌類(きのこ)の研究をしようと思っていました。
しかし、その時、きのこの研究をしている人が既に居たので、別のものを、というとこでその時の先生から線虫(マツノザイセンチュウ)の研究を勧められ、線虫研究を始めました。その後、3年ほどマツノザイセンチュウの樹木に対する病原性や、日本国内での分布、温度環境に対する特性などについて研究をしていましたが、そこから発展させるようないいアイデアが出なかったので、その時たまたまキボシカミキリというカミキリムシから見つけた線虫を材料にして新たに研究をしようと思いました。そうすると、キボシカミキリ以外の色々な昆虫から、それぞれに異なる種類の線虫が見つかることが分かったので、捕まえられる昆虫を全部解剖して、そこから線虫を探すという研究をはじめ、そのまま、今まで続けています。
なので、最初から線虫に興味があったというわけではなかったのですが、調べていくうちに面白い種類がたくさん見つかり、興味が深まっていきました。今では、すっかり線虫が好きになりました。
自分でも、特に興味があったわけでもなく、たまたま始めた研究を 30 年近く続けるということは想像もしていませんでしたので、ちょっと驚いています。
皆さんに言いたいことは、偶然始めたことでも、続けていくうちに面白くなっていくこともあるので、ちょっとでも気になることがあれば、すぐに役に立つかどうかや、それに何の意味があるのかということはあまり考えずに調べてみるといいということです。自分でも想像していない面白いことがあり、夢中になるかもしれません。
実は大学の先生や、研究所の研究員にも、なんとなく、たまたまやり始めて、それで夢中になって 30 年以上経ってしまった、という人は意外に多いです。
【先生より】線虫が全部でどのくらいいるかというご質問も何人かの方から頂きました。こちらもまとめて書かせてもらいます。
上のピックアップされた質問 8 番にも関連したことを書いていますので、そちらもご覧ください。
まず、線虫の総種数(全部で何種類居るか)は、まだわかりません。
現在、最も多くの種類が知られているのは、昆虫類で、だいたい 100-200 万種類に名前が付けられています。昆虫の総種数は、以前は、300 万種ほど、とも言われていましたが、調査が進むにつれ、その数字は大きくなっていき、1,000 万とも 3,000 万ともいわれるようになりました。
線虫は、これまでに約 30,000 種が記載されていますが、実際に分離をしてみると、次々に新種が出てきます。
その感覚からすると、昆虫に関連したものだけで、大体昆虫と同じくらいの種数が居るのではないかと予想しています。とすると、歳代で 3,000 万種類ということになりますが、ちょっと、数字が大きすぎるようにも思いますし、やはり、まだわからないけど、とにかく多いみたい、としか言えません。なお、動物で言うと、グループとして、総種数がある程度推定できそうなのは、哺乳類と鳥類くらいではないかと思います。
魚類、爬虫類、両生類といった脊椎動物も、多様性研究はかなり進んでいますが、まだ多くの新種が見つかっている状況です。
【先生より】線虫が宇宙や真空中で生きられるのか、という質問も何人かの方から出ていました。これも、ここでまとめて書かせてもらいます。
まず、地球上なら至るところ、ほとんどどこでも済んでいる線虫ですが、さすがに、宇宙では見つかってませんね。
これは当たり前と言えば当たり前ですが。宇宙でも生きられる生物というと、まずクマムシが思い出されますが、実は、クマムシも普通に生活している状態だと、特に強い環境耐性があるわけではありません。クマムシの場合は、体内の水分を亡くし、乾燥状態になって休眠することができ、これを「乾眠」とよびます。この状態になると、高温や、真空状態、放射線、紫外線などに耐えられるようになります。
では、線虫の場合は、と言うと、これまでに詳しく調べられていませんので、はっきりしたことは言えませんが、クマムシの乾眠と同じような状態になって、長期生存する種類が居ます。これは、土壌中で糸状菌(カビ)を食べて生活する Aphelenchus という種類で、クマムシと同じように急に乾かすと死んでしまいますが、周囲の湿度が下がってくるのを感じると、徐々に水分を減らして、乾燥状態になり、長期生存できるようになります。もしかしたら、この状態になるとクマムシと同じような生存が出来るのかもしれませんが、さて、どうでしょう。
なお、研究材料として使われる C. elegans は、宇宙ステーションでの実験のため、スペースシャトルに載せて宇宙に運ばれて、実験に使われたこともあるようです。無重力状態での卵の成長(発生)に関する者だったように思いますが、詳しくは覚えていません。調べてみてください。
【先生より】マナティの表面に住む線虫についても、コメント、質問、いただいております。背景なども含めて、こちらでまとめさせていただきます。
まず、なぜ、マナティーの線虫を調べようと思ったかというと、これを始める少し前に、美ら海水族館のマナティーの表面から Cutidiplogaster manati という線虫が新種記載されまして、これは、皮膚炎になった部分から採れたため、マナティーに害を与えている可能性も考えられていました。
しかし、遺伝子などに関する方法がほとんど出ていなかったため、そのあたりの解析を進めるため、原産地のフロリダで研究を進めようということになりました。私は、以前にフロリダ大学に2年ほど居たことがあり、またその時の研究センターで野生動物保護のための「マナティーの健康診断」研究を行っているグループが居たため、そこでサンプルを分けてもらうことにしました。
ここで、サンプルを調べたところ、当初目的にしていた C. manati と、さらに2種の線虫が見つかり、他の海洋動物には、ついていなかったため、マナティーにだけ住んでいるものだと考えられました。また、皮膚炎ではない部分からも普通に見つかるため、ただ表面に住んでいるだけの線虫だということがわかりました。なお、新しく見つかった2種は、まだ名前が付いていないので、新種記載をしないといけません。
そして、遺伝子解析(系統解析というどの種類に近いかというようなことの調査)を行ったところ、堆肥のような環境に住んでいて、糞虫や死体食昆虫についている線虫のグループに入ることが明らかになりました。つまり、堆肥や糞虫、死体食昆虫のグループから進化して、海、しかもマナティーの体表面に済むようになったということになります。
しかし、明らかになったのはここまでで、これら3種の線虫が、なぜ糞虫、死体食昆虫関連線虫と近い仲間になるのかという理由はわかっていません。マナティーが時々、理由は判りませんが陸に上がって転がりまわっているという動画を見たことがあるので、そんなときに陸の線虫を拾ったりするのかもしれませんが、、、やはり、理由は、わかりませんね。
研究の上では、マナティーの線虫がどうして面白いのかというところになりますが、マナティーというのはいつも海にだけ住んでいるわけではなく、川を上ってくることもあります。つまり、海水から真水まで、条件の異なる水の中を動いているということになります。線虫にとって、海水と真水というのはとても大きな環境変化ですので、表面に住んでいる線虫がこの環境変化にどうやって対応しているのかが気になっています。
また、人間にはこんな表面に住む線虫が付いているのかという質問もありましたが、寄生虫による皮膚下のミミズ腫れみたいな症状が出ることはあります。また、皮膚病の患部などに、ハエが飛んできて、そこから移った線虫が住みついてしまうことはありますが、病気が治れば、居なくなります。人間の表面だと、線虫ではないのですが、顔に、「ニキビダニ」というダニが住んでいます。
「ニキビダニ」でオンライン検索してみると、ちょっとかわいい、でもちょっと気持ち悪い画像が出てくるのではないかな。このダニ、親から子供への直接的な接触で感染すると言われていまして、今回お話ししたマナティーの体表面線虫も似たような感染の仕方をするのではないかと考えています。マナティーの線虫は、他の線虫よりも、ニキビダニに近いような生態をしていると考えています。
【先生より】線虫の性別に着いても何人かの方から質問がありましたので、こちらにまとめます。
線虫には、雄、雌、雌雄同体の3つがあります。
また、雌には、単為生殖をするものと両性生殖をするものがあります。単為生殖は交尾をしないで雌が雌を産んでいくというものです。さらに、雌と雌雄同体は形が基本的には同じなので、区別することはできません。
まず、雄は体内に精巣と、「交接刺」とよばれる交尾器が尾の方にあるので、それで見分けがつきます。また、雌と雌雄同体は、交接刺はなく、体内に卵巣(もしくは雌雄同体の場合は卵精巣)があり、産卵のための穴(陰門、産卵孔)がありますので、それで雄とは区別が出来ます。幼虫には、そのどれもないので成虫と区別できますが、成虫になるひとつ前の段階(4期幼虫)になると、体内に精巣と卵巣の形が出来てきているので、慣れてくると、幼虫でも雌雄がわかります。
雌の形をしているものについて、雌雄同体は、自分で精子と卵子を作って、体内で受精させるため、若い個体を顕微鏡で細かく観察すると精子を作っているのが確認できます。また、その性質によって、1頭から増殖することが出来るので、飼育してみると確認することが出来ます。雌の場合も、1頭だけ飼育して、そこから増殖できないものは普通の雌、精子を作らずに増殖できるものは単為生殖ということになります。
単為生殖では雄が全く居ないものが多いのですが、雌雄同体では、1/800-1/1000 くらいの割合で雄が出てくるものが多いです。ただ、もっと雄の割合が高いものや、ほとんど雄が出ないものも居ます。
多かった質問は、先生より上にまとめてお答えいただいたうえで、みなさんからの「すべての質問」に答えてくださいました。
まだまだ続きますよ。自分の質問を見つけてみてくださいね!
★質問11.〇せんちゅうのかつようについてかんがえていることは?
〇線虫の温度は何度ぐらいで生きられる?
〇線虫について調べようと思ったきっかけは?
コメントありがとうございます。もっと変な線虫を色々探していこうと思います。
・線虫の利用、活用方法については、上のピックアップされた質問 10 番にまとめていますので、そちらをご覧ください。
・いまのところ、70℃くらいで死ななかった種類が居るという話を読んだことがありますが、詳しい論文などは見つかりませんでした。深海などで、もっと暑い環境に耐えられる種類が居るかもしれません。今まで、温泉などで少し探したことがありますが、線虫自体がほとんど採れませんでした。
・私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問12.雄と雌と雄雌同体はどうやって見分けるんですか
人間の体表面にも、線虫ではないのですが、「ニキビダニ」というダニが住んでいます。
「ニキビダニ」でオンライン検索してみると、ちょっとかわいい、でもちょっと気持ち悪い画像が出てくるのではないかな。
このダニ、親から子供への直接的な接触で感染すると言われていまして、今回お話ししたマナティーの体表面線虫も似たような感染の仕方をするのではないかと考えています。
マナティの線虫については、何人かの方から質問、コメントもらってますので、上にもう少し詳しくまとめています。そちらもご覧ください。
・雌雄同体かどうかは、飼育して観察することで確認できます。雌雄同体の種類は、成虫の雄の割合が少なくなる傾向があり、たとえば、C. elegans や Pristionchus pacificus といった雌雄同体種は、雄の割合が 1/800 くらいになります。また、雌雄同体の線虫は、自分で精子と卵子を作ることが出来るため、顕微鏡で細かく観察すると、交尾していないのに体内に精子を持っているということが確認できます。
線虫の性別については、上に、もう少し詳しくまとめていますので、そちらもご覧ください。
★質問13.あるテレビCMで、線虫を利用して癌の検査をするというものを見まして、なぜ線虫が癌の発見に役立つのか教えて欲しいです。
コメントありがとうございます。
線虫についてはわかっていないことの方が圧倒的に多いので、変なものはまだまだ出てくると思います。
・線虫によるがん診断については、上のピックアップされた質問 8 番目に書きましたので、そちらをご覧ください。
★質問14.線虫は食べられますか
・寄生虫でなければ、食べても特に問題ないとは思いますが、どうでしょうね。培養していると、ちょっと生臭いことが多いので、美味しくはないかな。
キノコ(ヒラタケ、エリンギなどを含むヒラタケ属菌)に寄生してこぶを作る線虫が居ます。
このこぶの付いたキノコを食べたことがありますが、普通にキノコでした。美味しいかどうかはわかりませんが、いい匂いがする線虫は居ます。
昆虫病原線虫は昆虫病原細菌(バクテリア)を体内に持っているのですが、このバクテリアが抗生物質のような成分を作り、それがちょっと花のようないい匂いを出すことがあります。
講義では、詳しい話をしませんでしたが、このバクテリアは、実はいろいろな化学物質、特に抗生物質を作って、他の細菌やカビがコガネムシの死体に入ってこないようにしています。
ここで作られる抗生物質や、その他の化学物質の中には医薬として利用できるものも含まれており、薬品として既に使われているものもあるようです。
★質問15.線虫を研究するようになった理由は、何ですか?
とにかく、種数が多い生き物で、色々な環境に住んでいるので、変な種類は多いと思います。
今回、お話ししませんでしたが、本当に「若返る」線虫も居るのです。
ベニツチカメムシというカメムシの翅の裏に入って休眠する種類、Caenorhabditis japonica という線虫ですが、カメムシに乗るための「耐久型幼虫」というステージなるとカメムシを探して活発に動き回るため、疲れてしまって 10 日くらいしか体力がもたず、死んでしまいます。
「耐久型」という名前が付いているのにおかしな話ですが。
しかし、この「耐久型」、カメムシにうまく侵入すると1年以上、休眠状態で生存し、その休眠から目を覚ますと、耐久型になってから 1 日で侵入しても、10 日目に滑り込みで侵入しても、寿命が元通り 10 日くらいにリセットされます。
わずか 10 日ですが、本当に若返るということで、人間の寿命や老化の研究材料として、また、老化防止の研究への応用が試みられています。上のピックアップされた質問、1 番の寿命に関する質問でもう少し詳しくまとめていますので、そちらもご覧ください。
・私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問16.線虫は、1匹でどれだけの個体を生むのですか。
私は、生物の研究をしていますが、もともとは特に生物に興味はなく、昆虫も嫌いでしたし、線虫など、全く知りませんでした。
なので、たまたま大学で卒論として始めた内容をその後ずっと続けるとも思っていませんでした。
線虫に限らず、わかっていないことはとても多いので、何でも気になることはとりあえず調べてみるということが大切だと思います。
また、定説を疑うためには、定説を知っておくことも大切です。
勉強しないといけないことは多いのですが、それも興味が向けば楽しめるのではないでしょうかね。
・線虫の種類によって、卵(もしくは子供)を産む数は異なります。詳しくは、上のピ幾アップされた質問 1 番にまとめていますので、そちらもご覧ください。
★質問17.なぜ、線虫に興味を持ったんですか?
・上の質問 1 番、6 番をご覧ください。
特に興味を持っていなかった分野でも、やり始めると、最初は想像していなかった面白いことが見つかることがありますよ。
・私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問18.線虫は、全部で何種類いますか?
口の形が大きく変わる種類は、衝撃的でした。
動物園にいる動物にたとえると、ゾウ、キリン、ライオン、カバ、オオカミというくらいの違いがあったので、5種類の全く違う線虫が居ると思ったのですが、DNA 塩基配列解析、ゲノム解析までやっても同じ種類でした。
他の動物、植物でも知られている現象ですが、ここまで大きく形が変わって、そのうえ5種類もあるのは線虫だけですね。
・線虫の種数については、上にまとめて書いてますので、そちらをご覧ください。
種数が多くて、わからないことが多いので、はっきりした数字が出せない状況です。
なんとなく、昆虫と同じくらいいるのではないかと思います。
★質問19.一番昔の線虫はなんですか?またその線虫は生きていますか?
口の形については、上の質問 (8 番) のコメントも見ていただくといいです。
・古い線虫の記録については、上のピックアップされた質問 2 番目に書きましたので、そちらをご覧ください。
いま、生きているものとしては、永久凍土から見つかった 46,000 年前の線虫ということになりますね。
★質問20.線虫は、宇宙にも存在するのですか?
ゴキブリ以外にも、大き目のヤスデなど、大きな寄生虫を持っているので、顕微鏡がなくても見ることが出来ると思います。
今回も、そのようなヤスデを見てもらおうと佐賀県まで探しに行ったのですが、ヤスデの生息場所がイノシシに荒らされ過ぎていて見つかりませんでした。
ゴキブリもヤスデもうまく飼えば線虫が感染したものが増えていくので、研究材料としては面白いと思います。
・さすがの線虫も宇宙からは、見つかってないですね。
スペースシャトルに載せて、宇宙ステーションでの実験などは行われたようですが。
同様の質問は他の人からももらっていますので、上のピックアップされた質問、5 番にもう少し詳しく書きました。
そちらもご覧ください。
★質問21.どうしてこの学問に、興味を持ちましたか。
興味を持ってくれてありがとうございます。
線虫に代わって礼を言わせてもらいます。
・私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問22.顕微鏡で小さすぎて見えない線虫も世界どこかにありますか?
私も、昆虫はあまり得意ではなかった、というか、気持ち悪いと思っていたのですが、線虫研究を進めるにしたがって、「気持ち悪い」より、興味の方が上回って、ゴキブリも大丈夫になりました。
ただ、いまでも、毛虫、イモムシは苦手です。
あまり面白い線虫が採れたことが無いので。
・線虫の大きさについては、今、知られている 0.08 mm くらいが限界かなと思っています。
動物なので、摂食、消化、生殖器官などを体内に収める必要がありますので、そのためのスペースはある程度必要でないかと思います。
★質問23.線虫のオス・メスどうやってあんなに早く見分けられているんですか?
口の形については、上の質問 (8 番) のコメントも見ていただくといいです。
・雄、雌、幼虫は、生殖器官で見分けることが出来ます。
雄には「交接刺」と呼ばれる交尾器があり、雌には、卵巣が見えます。
どちらも無いのが幼虫ということになります。
慣れたら割と簡単です。
線虫の性別については、上に、もう少し詳しくまとめていますので、そちらもご覧ください。
★質問24.線虫はかんそう に弱いと言っていましたが、25年間カラカラになっても死なないで水をかけたら生き返えられたのはどうしてですか。
冬みんのようなものなのですか。
楽しんでもらえたならよかったです。
変な種類が多いので、調べているとどんどん面白くなりますよ。
・線虫が一般的に乾燥に弱いというのは事実で、急に乾燥にさらされると死んでしまいます。
ただ、一部の種類については、環境の変化を検知して、ゆっくりと乾燥状態に入ることによって長期生存が可能になります。
環境耐性でよく話題になるクマムシも、同じようなもので、普通に生活しているときに高温や高圧をいきなりかけられるとクマムシも死んでしまいますが、ゆっくりと乾燥状態に入ることで長期生存、環境耐性を獲得します。
クマムシの場合は、これを「乾眠」と呼びますが、線虫では用語が決められていませんね。
クマムシと線虫の乾燥状態での長期生存については、上のピックアップされた質問、5 番にも、もう少し詳しくまとめていますので、そちらもご覧ください。
★質問25.先生はなぜ線虫が好きなのですか。
線虫の大切な特徴の一つが、半透明の体ですね。
このため、解剖とかをしなくても、体内の状態が観察できます。
このことによって、内部の細胞を生きたまま観察したり、遺伝子の働きを見ることが出来ます。
・しれべれば調べるほど、面白い種類が見つかるところでしょうか。
私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問26.線虫はどのくらい昔から地球上に存在していたのですか?
話だけだと、実感がわかないかと思ったので、大きな寄生虫が出てくる昆虫を探してきました。
ヤスデも見てもらいたかったのですが集められませんでした。
上の質問 11 番もご覧ください。
・先カンブリア紀から居たようです。
古い線虫の記録については、上のピックアップされた質問 2 番目に書きましたので、そちらをご覧ください。
★質問27.いちばんみつけて嬉しかった線虫は何ですか。
・狙って探せるものというのはなかなか無いのですが、特に楽しかったのは、イチジクコバチの線虫(Caenorhabditis inopinata という、研究材料として色々な研究に応用できる種類、口の形が 5 種類ある Pristionchus の仲間)、シデムシの寄生線虫、ハネカクシの寄生線虫でしょうか。
上のピックアップされた質問 9 番にも関係したことを書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問28.線虫という名前の由来を教えてください。
線虫全体でいうと、まだ 1% もわかっていないので、まだまだ面白い種類が居ると思います。
・日本語では、細長い形の無脊椎動物という意味で、「線蟲」と言われていました。
「蟲」の字が「虫」というより簡単な文字に変わったのが今の形です。
英語では、「Nematode」といいますが、「nema」はギリシャ語で「ひも」とか、「糸」という意味だそうです。
★質問29.食べると美味しい線虫はいますか。
興味を持ってくれてありがとうございます。
線虫に代わって礼を言わせてもらいます。
・寄生虫でなければ、食べても特に問題ないとは思いますが、どうでしょうね。
培養していると、ちょっと生臭いことが多いので、美味しくはないかな。
キノコ(ヒラタケ、エリンギなどを含むヒラタケ属菌)に寄生してこぶを作る線虫が居ます。
このこぶの付いたキノコを食べたことがありますが、普通にキノコでした。
美味しいかどうかはわかりませんが、いい匂いがする線虫は居ます。
昆虫病原線虫は昆虫病原細菌(バクテリア)を体内に持っているのですが、このバクテリアが抗生物質のような成分を作り、それがちょっと花のようないい匂いを出すことがあります。
講義では、詳しい話をしませんでしたが、このバクテリアは、実はいろいろな化学物質、特に抗生物質を作って、他の細菌やカビがコガネムシの死体に入ってこないようにしています。
ここで作られる抗生物質や、その他の化学物質の中には医薬として利用できるものも含まれており、薬品として既に使われているものもあるようです。
★質問30.本日は講義ありがとうございました! 線虫を利用してがんを発見するように、医療の場で線虫が役に立つことは他にありますか?
・がんの診断以外で言うと、アレルギーや、自己免疫疾患の症状緩和が起こることがあると言われています。
線虫の利用、活用方法については、上のピックアップされた質問 10 番にまとめていますので、そちらをご覧ください。
★質問31.先生は小学生の頃どんなことに興味を持っていたのか知りたいです。
・小学生の頃、何をしてたのか、あまり詳しく覚えていませんが、生物には特に興味はなかったように思います。
大学に入るまでは、化学と、考古学(歴史学?)に興味があったかな。
たまたま、偶然、大学で生物系の学科に入学して、なんとなく線虫研究をはじめ、そのうちにはまりました。
私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問32.①先生の一番好きな、線虫は、なんですか?
上の質問 21 番にも書きましたが、回虫ももしかしたら役にたつのかも知れません。
ナメクジ退治の線虫は、探すときにナメクジを実際に集めてこないといけず、また死んだナメクジが滅茶滅茶に臭いので、実は研究がちょっと大変です。
・好きな線虫、ちょっと難しいですが、Diplogastridae という仲間が好きです。
今回の講義で言うと、モデル生物や、口の形が5種類ある線虫が含まれるグループで、栄養条件が悪くなった時に現れる捕食型の成虫が大きな歯を持っているのが、かっこいいと思っています。
ライオンが強そうでかっこいいと思うのと同じような感覚でしょうか。
上のピックアップされた質問 9 番にも関係したことを書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問33.なぜ線虫に興味を持ったのですか?
意外に役に立つ線虫も多いですね。
害虫の方が多いことは多いのですが。
上の質問 21、23 番にも書きましたが、回虫ももしかしたら役にたつのかも知れません。
・私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問34.先生は綿虫はどのぐらい居ると思いますか?
・線虫の種数については、上にまとめて書いてますので、そちらをご覧ください。
種数が多くて、わからないことが多いので、はっきりした数字が出せない状況です。
なんとなく、昆虫と同じくらいいるのではないかと思います。
★質問35.線虫はだいたい何歳くらいが寿命なのかが気になりました。
特に寄生虫は、何に寄生するかで症状が変わることも多いです。
お話しした中では、アライグマの寄生虫(回虫)がちょっと危なそうですね。
昆虫寄生線虫でも、同じ種の中で、病原力の高いものと低いものが居て、より病原力の高いものを探して、生物農薬として利用します。
・線虫の寿命な種類によって、数日から 15 年以上と様々です。
上のピックアップされた質問、1 番にもうすこしくわしくまとめていますので、そちらもご覧ください。
★質問36.なんで、線虫という生物がこの世に存在するようになったのですか?
ちょっと刺激が強かったでしょうか。
申し訳ない。
・さて、これは難しい質問ですね。
講義の後の話でも少ししましたが、細長い体の生き物はいくつか居ます。
線虫の場合は、先カンブリア紀に多分、泥の中などで生息するのに適した形として、ひも状の体になったと考えられます。
ただ、なんでこんな生き物が現れたのかというと、、、わかりませんね。
★質問37.海で一番多くいるとこはどこですか
楽しんでもらえたならよかったです。
変な種類が多いので、調べているとどんどん面白くなりますよ。
・さて、これも難しい質問。
まだ、詳しく調べられていないので、何とも言いにくいのですが、一般的に生物多様性が高いと言われるのがサンゴ礁など、太陽からのエネルギーが届いて、色々な環境がある場所だと言われています。
線虫も多くなるのではないかと思いますが、調査がもっと進まないとはっきりしたことは言えませんね。
★質問38.今後考えられる、線虫のいい使い道の可能性を教えてください
広東住血線虫、インパクトのある姿ですね。
寄生虫学の講義では、散髪屋さんのぐるぐる回っている看板などとたとえられることが多いのですが、アメリカで candy cane をみて、「これだ!」と思いました。
それはさておき、
・まず、思いつくのは生物防除と、研究材料、遺伝資源です。
線虫の利用、活用方法については、上のピックアップされた質問 10 番にまとめていますので、そちらをご覧ください。
★質問39.同じ捕食型の線虫がお互いに捕食しあうことはありますか?
楽しんでもらえたならよかったです。
変な種類が多いので、調べているとどんどん面白くなりますよ。
・種類によって、共食いをするかどうかは異なります。
どうも、線虫たちは、餌かどうかを匂いや、感触で判断しているらしく、針で捕食する種類では、針を刺しやすいかどうかを頭と付けたときに判断しているようです。
この仲間の表面を電子顕微鏡で観察すると、よく似た他の種類より表面の弾力がありそうな構造をしているので、自分と同じ種類に捕食されないように防御しているようです。
これに対して、嚙みつく種類は匂いでの判断が重要らしく、自分の子供には、噛みつかないということも調べられています。
とはいえ、捕食線虫の中でも、共食いをしやすい種類もありまして、これらは、あまり正確には判断せず、噛みつきやすいものには噛みつくという性質があるようです。
★質問40.線虫は真空中でも生きられますか?
産卵マシーンは、ちょっと気持ち悪かったかな。
生物の究極の目的は子孫を作ることと言われますので、究極的な形と言えるかもしれません。
ニアピン、おめでとうございます。
・ある程度、低酸素状態に適応した種類も居るのですが、真空になってしまうとそのうち窒息しますね。
休眠状態に完全に入ってしまうと生き残れるかもしれません。
同様の質問は他の人からももらっていますので、上のピックアップされた質問、5 番にもう少し詳しく書きました。
そちらもご覧ください。
★質問41.えきすう線虫はどういうところにいますか?
マナティーの線虫は私も驚きました。
なぜ、そんな生存が難しい環境にだけ住むようになったのか、謎です。
マナティの線虫については、何人かの方から質問、コメントもらってますので、上にもう少し詳しくまとめています。
そちらもご覧ください。
・えきすう線虫?液を吸うものですかね。
口の形が針になっているものが液を吸う種類ですね。
植物の液を吸って生きているものは、根の部分に多いです。
また、動物やほかの線虫の体液を吸うものは土の中、枯葉、枯木など、湿った、他の線虫や動物の多い場所に居ることが多いです。
★質問42.線虫はどのくらい生きるのですか
線虫というのは、顕微鏡が無いと観察できないものがほとんどで、普通はあまり馴染みのない生物だと思います。
なので、実物が出来るだけ見やすいちょっと大きめの寄生虫ということで、ゴキブリを持って来ました。
ヤスデも使いたかったのですが、集められませんでした。
残念。
上の質問 11 番もご覧ください。
普段は研究所に居ることが多く、一般向けの講義をする機会は少ないのですが、三重大学と筑波大学で時々しゃべってますので、興味があれば見に来てもらったらよろしいかと思います。
筑波大では実際に解剖をして、線虫の採集もやっております。
・線虫の寿命な種類によって、数日から 15 年以上と様々です。
上のピックアップされた質問、1 番にもうすこしくわしくまとめていますので、そちらもご覧ください。
★質問43.先生が、今までで1番線虫を見つけるのが難しかったのはどこで見つけた線虫ですか?
Youtube にも色々と線虫の話題が上がっているようですね。
私も探してみます。
実は、ゴキブリ、中でもちょっと大きめの、家で現れたらみんなが一番いやなクロゴキブリ、ワモンゴキブリはほとんどすべての個体が寄生虫を持っていて、線虫観察には最も適した材料かもしれません。
とはいえ、自宅で出てきたら私も嫌ですが。
今回は顕微鏡を使いましたが、下に黒い紙を敷くと顕微鏡を使わなくても居るのはわかります。
・ほしい線虫を狙って採集するというのはなかなか難しいのですが、シデムシの寄生虫を採集するのに、腐肉トラップを使ったときが、臭いが嫌でした。
今は結構慣れましたが、あの臭いに耐えるのが一番難しかったかな。
その他、マナティーは居る場所が限られるのでそこまで行くのが大変ですね。
特別許可も必要ですし。
上のピックアップされた質問 9 番にも関係したことを書いていますので、そちらもご覧ください。
また、マナティの線虫については、何人かの方から質問、コメントもらってますので、上にもう少し詳しくまとめています。
そちらもご覧ください。
★質問44.1つの種類で5つの形がある線虫は珍しいとのお話でしたが、5つほど多くなくても、1つの種類で2つ以上の形がある線虫は何割くらいですか?
マッコウクジラの寄生線虫は、まだ実物を見たことが無いので、一度見たいと思います。
マッコウクジラが打ち上げられたとかいうニュースを聞くと毎回、気になります。
かなり難しそうですが。
スズメバチの線虫、日本で最初に見つけた人に聞いたところ、大きすぎて、線虫ではなくてスズメバチの内臓の一部が変形する病気なのかと思ったそうです。
・1つの種類で口の形などが2つ以上になる種類は、かなり珍しいです。
研究材料として積極的に集めているので見る機会は多いのですが、全体からすると 0.1% も居ませんね。
口の形などについては、上のピックアップされた質問、9 番にも関連したことを書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問45.なぜ線虫について調べようと思ったのか。
線虫というのは、顕微鏡が無いと観察できないものがほとんどで、普通はあまり馴染みのない生物だと思います。
なので、実物が出来るだけ見やすいちょっと大きめの寄生虫ということで、ゴキブリを持って来ました。
ヤスデも使いたかったのですが、集められませんでした。
残念。
上の質問 11 番もご覧ください。
・私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問46.線虫を研究し始めたキッカケは何ですか?
線虫はとにかく種類が多くて、役に立つものや害虫や、特に人間生活に関係ないものまで、色々なものが居ます。
探せば探すほど変なものが出てきて面白くなってきます。
・線虫研究を始めたのは、偶然、というか大学で研究テーマとして出されたからということになります。
上の質問 1 番もご覧ください。
★質問47.線虫はどこに住んでいるのですか。
やはり、体が小さいので、微生物と一緒に扱われることも多いです。
また、微生物研究をしている人と共同研究をすると、同じ場所で生活していることも多く、お互い、全く別の研究をしているのに、ちょっと不思議な感じがします。
・線虫は地球上のあらゆる所に住んでいますが、植物も全く生えていない砂漠などは、まだ調査がされていないので居るのかどうかわかりません。
線虫が最も多く住んでいるのは、温帯、寒帯なら植物のある土の中(森林?)、熱帯なら熱帯雨林の植物表面だと思います。
それももっと調査をしないと詳しいことは判らないのですが。
★質問48.神崎先生はいつから先生は線虫に興味を持ったんですか?
質問にも関係しますが、今まで知らなかったことや、特に興味が無かったことも、調べてみると面白くなってくるということは割とあります。
研究者になっている人にも、大学で何となく初めて、そのままはまったという人は意外に多いです。
私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問49.寿命はどれぐらいですか。
線虫に限りませんが、自然界では、それぞれ、どうやって生き残って、増殖するかというのが生物共通の重要課題ですね。
線虫の場合は、体の構造が比較的単純なので、同じような形のまま食べるものが変わったり、生活様式が変わったりします。
寄生、捕食、共食いもその一つですね。
・線虫の寿命な種類によって、数日から 15 年以上と様々です。
上のピックアップされた質問、1 番にもうすこしくわしくまとめていますので、そちらもご覧ください。
★質問50.せんせいが一番好きなせいちゅうは何ですか。
線虫の多様性はとても高いので、色々な種類が居ますね。
探せば探すほど、変なものが出てきます。
私は、最近、厳しい環境に適応している線虫に興味があるので、休みの日は時々、海岸(海水の塩分、乾燥、日光による高温などがある過酷な環境)に線虫を探しに行っています。
身近な場所、たとえば、樹液や、落ちて腐った果物なども、実は変な環境なので、探してみても面白いかもしれません。
上のピックアップされた質問 9 番にも関係したことを書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問51.とても勉強になりました。
お話感動しました。
ぼくもクジラの寄生虫を見ているのでたのしかったです。
敵わないほどかっこいいしすごいですね。
化石には残らないと思いますが、胃の内容物のように残っている場合もあるのですか?
楽しみにしてもらってたとは。
ありがとうございます。
今回は、時間も短いことですし、細菌だけ食べている、「地味な」種類より、寄生虫や捕食線虫など、目立つものを主にお見せしました。
実際は、微生物食をしている種類が多いです。
生物部のイベント面白そうですね。
見に行きたいくらいです。
眼で見て見つけやすい寄生虫というと、今回のゴキブリや、大き目のヤスデがおすすめです。
ちょっと気持ち悪いかもしれませんが、ゴキブリホイホイで集めたものを粘着シートから剥がして解剖すると、動いて逃げられることが無いので、ちょっと落ち着いてみられます。
・最古の線虫について、上のピックアップされた質問にも書いていますので、そちらもご覧ください。
化石は、プリント化石みたいなものから、糞石(恐竜の糞の化石)内部の寄生虫、琥珀に閉じ込められた昆虫の寄生虫などの形で化石になっています。
もっと新しい時代ではミイラの体内の寄生虫などが知られています。
また、日本でも遺跡の発掘で、トイレの後を調査すると、寄生虫の卵が見つかったという話もありますね。
★質問52.線虫の日本名がないのはどうしてですか?
日本名もつけてほしいと思いました。
エイリアン、面白いですね。
単にエイリアンと聞くとワラスボを思い出しますが。
それはさておき、ちょうど、線虫だとシヘンチュウ(バッタから出てきていた細長い線虫)の生活はエイリアンとよく似ていますね。
幼虫や卵の状態で昆虫に感染して、体内を食べつくして成長し、昆虫の体を突き破って外に出てくるという生活ですね。
さらに、ここで出てきたのはまだ幼虫で、出てきてしばらくしてから成虫になります。
全く、エイリアンそっくりで。
タガメ、ゲンゴロウ、これもまさにその通りです。
私は、サシガメを思い出しました。
やっていることは全く同じで、このような消化の仕方を「体外消化」と言いますね。
最近見つけたのは、この仲間の線虫が昆虫の幼虫(ウジ虫)に針を刺して、毒液と消化液を流し込んで殺すことがあるというものです。
詳しくは調べていませんが、お見せした線虫も、線虫以外にダニやクマムシなど、小さい節足動物を捕食しているのかも知れません。
・線虫には和名が付いていないものが多いです。
種類が多すぎて、また、形の違いも見分けにくいため、学会では、和名をつけるのは、重要なもの(動物寄生線虫、植物寄生線虫)だけにしようということになっています。
寄生虫以外でも、面白い種類には名前を付けてもいいですね。
★質問53.先生が一番好きな線虫は何ですか?理由も教えてください。
上にも書いたのですが、私が線虫の研究を始めたのは、偶然、なりゆき、みたいなものです。
実際にやり始めてみると、想像しなかった面白いことが見つかったりするかもしれません。
・上にも質問があったのですが、Diplogastridae という仲間の線虫が大きな歯が付いていてかっこいいので好きです。
体長がせいぜい 2 mm くらいで小さいのですが、これが長さ 1 m くらいあれば、あのかっこよさがもう少し伝わると思うのですが。
上のピックアップされた質問 9 番にも関係したことを書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問54.線虫は宇宙にいたとしたらどうなるんですか
ゴキブリ、ちょっと温まって、動きが早くなっていたので、ちょっと焦りました。
それでも寄生虫が出てきてくれてよかったです。
・宇宙からは線虫は見つかっていませんね。
クマムシが乾眠状態で宇宙空間でも生きられるという話がありますが、よく似た乾眠状態に入る種類もいるので、そのような種類ならもしかしたら生きられるかも知れません。
同様の質問は他の人からももらっていますので、上のピックアップされた質問、5 番にもう少し詳しく書きました。
そちらもご覧ください。
★質問55.線虫を取りやすい虫のとくちょうはなんですか。
特に大きめのヤスデ(アマビコヤスデ、ババヤスデ類など)は線虫がよく出てきますね。
今回は、アマビコヤスデを採りに行ったのですが採れませんでした。
魚からよく出てくるのはアニサキスの幼虫ですね。
伸ばすと 3 cm くらいになりますかね。
・線虫を採りやすい昆虫、いい質問ですね。
線虫は湿った環境で増殖しやすいので、乾きすぎる場所に居る昆虫より、湿った場所に居る昆虫の方が良いです。
たとえば、チョウなどは、幼虫が葉の上に居たりするので、線虫が入り込みにくいです。
逆に、幼虫が朽木の中で生活するクワガタなどはほとんど、間違いなく線虫が付いています。
しかし、不思議なことに、湿った場所で幼虫期間を過ごすカブトムシやカナブンにはあまり線虫はついていません。
詳しくは調べられていませんが、カブトムシやカナブンは抗菌性が高いので、周辺で線虫が増殖しにくいのかもしれません。
★質問56.先生の「推し線虫」は何ですか?どのような食性です
残念ながら、「線虫」というのはマイナーな生き物なので、今回のお話を聞いてもらったら、ほとんどの人より線虫に詳しいと言えると思います。
線虫によるがんの診断については、上の質問でも書いていますので、そちらもご覧ください。
・私の「推し」は、Diplogastridae という仲間です。
口腔が5形態あるものもここに含まれます。
多くは、細菌食性で、カビ食、捕食の種類も少し入っています。
特に、捕食種が大きな歯を持っていて、かっこいいと思っています。
上のピックアップされた質問 9 番にも関係したことを書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問57.先生が一番面白いと思う線虫は、何ですか。
小さくてわかりにくいのでが、多様性はとにかく高いのです。
また、人間に直接関係があるということで、寄生虫がよく知られているのすが、もっと小さいもので変な種類もたくさんいます。
・面白い線虫、難しいですね。
研究者ごとに面白いと思う種類は違ってくると思いますが、私は、まず、形がかっこいい、面白いということで、Diplogastridae という仲間が好きですね。
環境適応性も高くて、あの単純な形でどうやってあれだけ広がったのか、気になっています。
また、捕食線虫の中でも針を刺す種類、動画でも見てもらいましたが、どのような毒成分を持っているのかなどは全く分かっていないので、そのあたりも知りたいと思っています。
上のピックアップされた質問 9 番にも関係したことを書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問58.線虫を捕食するほかの生き物はいますか?
種類が多いので、役立つものや有害なものも多く含まれていますね。
雄、雌、雌雄同体ということで言うと、普通は雄雌に分かれる雌雄異体のものが最も多いのですが、その中から雌雄同体に進化する種類が出てきているということがわかっています。
今回お話ししたかもしれませんが、雄、雌、雌雄同体の3つの性別を持っている種類は、雌雄同体への進化の途中なのかなと思っています。
・線虫を捕食しているものとしては、ダニやクマムシなどが知られています。
また、捕食ではないのですが、カビや細菌に線虫に寄生して殺すものがいます。
上の質問もご覧ください。
★質問59.先生が線虫の研究を始めたきっかけは何ですか?
眼の良さにもよるかもしれませんが、2 mm あれば、光に透かして見たときに動いているのがわかりますね。
今回は、倍率の高い顕微鏡を持ってこれなかったので、出来るだけ大きい線虫ということでゴキブリの寄生虫を見てもらいました。
ゴキブリは、寄生虫観察には良い材料です。
ちょっと気持ち悪いかもしれませんけど。
・私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問60.寄生と捕食寄生の違いは何ですか? 見た目は違うのにどうやって同じ種類の線虫だと分かるんですか?
面白さが少しでも伝わっていたら良かったです。
・寄生と捕食寄生、よく似ています。
寄生は、栄養を取るというところがポイントで、少ししか栄養を奪わず、昆虫に特に影響のないものから、栄養を多くとって弱らせたり、不妊化(卵を産めなくする)したり、殺してしまうこともあります。
捕食寄生は最初から栄養を全部採りつくして殺すことを前提とした寄生ということになりますね。
実際には捕食しているのと同じことだという考え方になると思います。
★質問61.いつから線虫の研究を始めたんですか。
きっかけはなんですか。
なぜ日本語の線虫の名前がないんですか。
動いているのを解剖するというと、嫌われ者のゴキブリでもちょっとかわいそうでしたね。
教材として役立ってくれたということで許してもらいましょう。
・私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
・線虫には和名が付いていないものが多いです。
種類が多すぎて、また、形の違いも見分けにくいため、学会では、和名をつけるのは、重要なもの(動物寄生線虫、植物寄生線虫)だけにしようということになっています。
寄生虫以外でも、面白い種類には名前を付けてもいいですね。
★質問62.暑いところと寒いところだと、どちらの方が線虫の種類が多いのですか?世界中で線虫がいない地域はありますか?
大きいものと小さいものの差が、長さで 10 万倍違うということでした。
実は、本当に計算が合っているのか、何度も計算し直したのです。
自分の身長の 10 万倍がエベレストの 20 倍、東京大阪間の 1/3 とか、大きいのは判るけど、やっぱり、実感がわきません。
・暑いところ、寒いところ、それぞれに適応した線虫が住んでいます。
また、どの程度湿り気や栄養があるのかということも重要ですね。
熱帯雨林では土の中には栄養が少なく、空気中の湿度が高いので、植物表面などに多くの線虫が住んでいます。
寒いところだと、土の中に住む割合が高くなります。
世界中にあらゆるところに線虫は済んでいますが、植物も全くない砂漠では、まだ調査が進んでいないので、居るのかいないのかもよく判っていませんね。
★質問63.なぜ、寄生虫は、自分たちが寄生できる生き物なのに、用が済んだら殺したり、繫殖不能にしたりするのですか?
学級閉鎖って、インフルエンザの流行か何かでしょうか。
インフルエンザはウイルスによる病気ですが、線虫にはほとんどウイルス病が無いと、最近まで言われていました。
いくらか線虫のウイルスも見つかってきているのですが、まだ、それでも少ないですね。
実験的に、インフルエンザウイルスを感染させることはできるようですが。
なぜ、線虫がこんなにウイルスに強いのか、わかってくると、人間にも応用できるのかもしれません。
・確かに、用が済んだら殺してしまうというのは、酷い気もしますね。
基本的には、寄生虫にとっては、宿主はただの栄養源なので、捕食しているのと同じようなものと考えればいいのではないかと思います。
ところで、寄生による被害の大きさは、感染の仕方によって変わるという説があります。
親から子への感染が中心だと、親を弱らせてしまうと子供が出来なくなってしまうので、病原力は弱くなり、他の宿主に広く感染するものは、元の宿主を殺しても、次の宿主が見つけやすいので、遠慮なく栄養を奪う(病原力が高い)と言われます。
★質問64.線虫にはがんを見つけることができるものがいると聞いたことがあるのですが本当かお伺いしたいです。
線虫のイベントというのがあったのですか。
珍しいですね。
Caenorhabditis elegans とか? とても気になります。
・線虫によるがん診断については、上のピックアップされた質問 8 番目に書きましたので、そちらをご覧ください。
★質問65.むしはいままでどれくらいつかまえたことがありますか。
楽しんでもらえたならよかったです。
京都で時々、小中学生対象の講義をしたり、筑波大学でも時々講義しているので、機会があればお越しください。
大学では。
学生の皆さんにも自分で解剖して線虫検出をしてもらってます。
・昆虫はどのくらい捕まえたか、数えてないのですが、線虫は、これまでに、だいたい 200 種類くらい新種記載をして、まだ、200 種類くらいが手元にあります。
★質問66.この研究をしようと思ったきっかけはなんですか?
ゴキブリには逃げられそうになって、ちょっと焦りました。
やはり、ヤスデの方が逃げなくてよかったので、佐賀県まで採りに行ったのですが、採れませんでした。
・私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問67.線虫の数は国や地域によって違ったりしますか?
線虫は微生物とは、相性がいいというか、いつも同じ場所に居ますね。
微生物学(糸状菌額)の先生と長く共同研究をしているのですが、動物であるはずの線虫が、マニアックな菌類と同じ場所で同じように住んでいたりすることがあります。
なお、その先生とは、夕方ごろからゴキブリの腸の話を始めて、気が付いたら朝になっていたということがあります。
・国、地域のレベルだと、調査が進んでいるところとそうでないところの差が大きすぎて、はっきりした情報がありませんね。
気候で考えると、暑いところ、寒いところ、それぞれに適応した線虫が住んでいます。
また、どの程度湿り気や栄養があるのかということも重要ですね。
熱帯雨林では土の中には栄養が少なく、空気中の湿度が高いので、植物表面などに多くの線虫が住んでいます。
寒いところだと、土の中に住む割合が高くなります。
世界中にあらゆるところに線虫は済んでいますが、植物も全くない砂漠では、まだ調査が進んでいないので、居るのかいないのかもよく判っていません。
★質問68.1.一番線虫が多く住んでいる虫は何ですか。
2.人間と線虫は、どちらの方が先に地球に存在していましたか。
3.線虫は、何年前から地球に住んでいますか。
また、線虫の化石はありますか。
色々な種類が要るので、有害なもの、有益なものも多く含まれますね。
確かに、言われてみれば、8 m って、人間よりはるかに大きいですね。
考えたことなかったですが。
・すべての昆虫が調べられているわけではないのですが、これまでに調べられているところでは、キクイムシ(枯木の樹皮の下に住んでいる小さい甲虫)は、線虫の多様性が非常に高いということがわかっています。
1種類のキクイムシから、10 種類近くの線虫が検出されることもあります。
・先カンブリア紀から居たようです。
古い線虫の記録については、上のピックアップされた質問 2 番目に書きましたので、そちらをご覧ください。
★質問69.は宇宙でも生きていけますか線虫は宇宙でも生きていけますか
楽しんでもらえたならよかったです。
線虫は本当に地球上のいたるところに居ます。
庭の土の中や、枯れ葉の下など、その辺にもたくさんいるので、私たちは、気が付いていませんが、実は線虫に取り囲まれています。
・線虫が宇宙で生きて行けるかどうか、調べられていませんが、クマムシのように乾燥状態で長期生存するものもいるので、もしかしたらいけるかもしれません。
同様の質問は他の人からももらっていますので、上のピックアップされた質問、5 番にもう少し詳しく書きました。
そちらもご覧ください。
★質問70.線虫の中に線虫がいることはありますか?
遺伝子そのものの変化ではなく、遺伝子の発現(使い方)が環境によって変化し、それによって形(機能、構造)が変化する現象を「表現型可塑性」とか、「発生学的可塑性」と呼びます。
動物、植物など、広く見られる現象ですが、これを持つかどうかは種類によって異なります。
線虫では、いくつかの種類でだけ知られている現象ですが、5形態をもつものは、動物界全体でも他にはほぼ居ません。
生物の進化にとっても重要な役割を果たす現象であると言われていますが、詳しい研究は今、進められているところです。
多くの昆虫、特に幼虫の期間を湿り気のあるとことで過ごす昆虫に、線虫が付きやすい傾向があります。
大型の脊椎動物にも寄生虫は多く居ますが、日本国内では、野生動物の寄生虫研究者が少なく、まだ見つかっていない種類が多く居ると思います。
・確かに線虫は色々なものに寄生しますが、線虫に寄生する線虫はまだ見つかっていません。
土壌中の大型の種類は、4 mm くらいのサイズがありますので、0.5 mm とかの小さい種類などであれば寄生も可能かもしれませんね。
探してみたいと思います。
なお、線虫ではないですが、似たような体型のミミズの寄生線虫は知られています。
★質問71.回虫たちとの出会いのエピソードも色々伺ってみたいです。
ちょっと刺激が強かったでしょうか。
申し訳ない。
微小動物って、拡大すると衝撃的な形をしているものが割と多いのです。
慣れてくると、かっこいいとか美しいと思うようになってきます。
・私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問72.なぜ線虫水をかけたら生き返るけど、ヒトは水をかけても生き返らないんですか?
鋭いコメントですね。
ありがとうございます。
そういえば、その話をするのをすっかり忘れていました。
というのは、口腔5型という、とんでもない線虫の話をしましたが、これは、環境によって、どのような餌があるかが決まってくるので、それに合わせて口の形が変わります。
つまり、口の形によって食べられる餌が決まっているということになります。
あまり多くは確認されていませんが、線虫にも口の形を変えずに、細菌、(バクテリア)、糸状菌(カビ)を食べ、さらに、他の線虫を捕食することが出来る種類も少しだけいます。
研究のうえでは、口腔形態を変える方向に進化するのか、同じ形で色々な餌を食べられるような形に進化するのか、気になるところで、今、どのように研究を進めればいいのかを考えているところです。
・クマムシは、乾燥状態になって長期間生存することができます。
これを「乾眠」といいます。
線虫も、すべての種類ではないのですが、似たようなかたちで乾燥状態になって、長期生存し、水をかけたら生き返るという形をとります。
このとき、乾燥状態に入る前に準備が必要で、普通に増殖している最中に乾いてしまうと、普通に死んでしまいます。
人間には、このような乾眠に入る機能はないので、乾いたら普通に死んでしまいますし、水をかけても生き返れませんね。
クマムシと線虫の乾燥状態については、上のピックアップされた質問、5 番にもう少し詳しく書きました。
そちらもご覧ください。
★質問73.ゴキブリもそうですが、実験やかいぼうで使う素材はどうやって手に入れるのですか?
ゴキブリ以外にも、大き目のヤスデなど、大きな寄生虫を持っているので、顕微鏡がなくても見ることが出来ると思います。
今回も、そのようなヤスデを見てもらおうと佐賀県まで探しに行ったのですが、ヤスデの生息場所がイノシシに荒らされ過ぎていて見つかりませんでした。
ゴキブリもヤスデもうまく飼えば線虫が感染したものが増えていくので、研究材料としては面白いと思います。
今回は、実験室内で捕まえたワモンゴキブリだったのですが、線虫が寄生しているかどうか、確認するほどの数が採れなかったので、出てきてくれてほっとしました。
・私は、主に昆虫から線虫を探して研究しています。
昆虫の種類によって、線虫が多くついているかどうかが異なるのですが、湿ったところで幼虫期間を過ごす昆虫が線虫を持っていることが多いです。
そのような昆虫を網で採ったり、トラップで集めたりしています。
★質問74.アニサキスとかって、なぜ骨がないのに素早く進むことができるのですか?
ヘビも面白いですね。
ヘビにも色々な寄生虫が付いています。
・細長い体型をした動物ということで、ヘビ、ミミズ、線虫を考えてみます。
これらは、動物の中でもそれぞれに異なるグループに属していますが、細長い体型が狭い場所に潜り込んでいくのに適しており、そのような場所で生活するという共通点があります。
ヘビの場合、腹を地面に着けて、体をくねらせて前に進みます。
この時、腹側のうろこをうまく使って、体をくねらせる動きから前向きの推進力を得ています。
ミミズの場合は、体をくねらせると同時に、伸び縮みをして、隙間に潜り込んで動いていきます。
線虫の場合は、ヘビに似ていますが、体の横に「側線」とか、「側帯」と呼ばれる縦向きの溝があり、これがヘビの腹側のうろこと同じような働きをして、体をくねらせたときに前向き、もしくは後ろ向きの推進力を出します。
ヘビの場合は、骨と筋肉でこの動きをしますが、線虫は、表皮に筋肉がつながっていて、その筋肉を動かすことによって、同じような動き方が出来るようになっています。
★質問75.線虫の大きさによって食事の量などはかわりますか?
線虫って、マイナーな生き物なので、知らない人がほとんどだと思います。
いまの日本ではほとんどいなくなっていますが、回虫やギョウチュウといった少し昔までは一般的だった寄生虫も線虫の仲間で、自分たちの体内にも居たものなのですが。
・線虫の体の大きさによって、食餌の量は変わってきます。
また、餌の内容によっても栄養分は変わってきまして、どうも、栄養効率は、捕食や寄生といった肉食が良いようです。
★質問76.線虫はどのくらいの種類がいて、どのくらいの種類が役に立っているのですか?
興味持ってもらってありがとうございます。
ちょっと気持ち悪かったですかね。
線虫のシンプルながら動物としての必要な器官が一式揃っているという特徴は医学、薬学研究の材料として重要ですね。
また、がん診断への応用のほか、線虫そのものがアレルギーの緩和などに役に立つ可能性も示されています。
・線虫の種数については、上にまとめて書いてますので、そちらをご覧ください。
種数が多くて、わからないことが多いので、はっきりした数字が出せない状況です。
なんとなく、昆虫と同じくらいいるのではないかと思います。
役に立つ種類というと、生物農薬や実験材料、医療に応用できるものになりますが、研究材料として実験的に使われるものは相当多いと思います。
しかし、実際に医療、農業に使われているのは、20 種もいないのではないかと思います。
★質問77.線虫の寿命はどれぐらいですか。
「ちっちゃい虫」。
そんなに間違ってはないですね。
見てもらった通り、にょろにょろした無脊椎動物です。
とにかく、実際の数が推定できないほど多くの種類が居ますので、有害なものや有益なものが多く含まれます。
今のところ、有害なものの方が多いし、目立ちますが、人間の役にたつ遺伝子を持つものなど、今後役に立つ種類も多く見つかってくるのではないかと期待しています。
・線虫の寿命な種類によって、数日から 15 年以上と様々です。
上のピックアップされた質問、1 番にもうすこしくわしくまとめていますので、そちらもご覧ください。
★質問78.マナティに寄生する線虫の名前は? 和名がついていない線虫が多いのはなぜですか?
「線虫」というのは、その名前の通り、線のように細い蟲という意味で名づけられました。
よく、ミミズと同じようなものと思われがちですが、違うのですね。
線虫の適応力は非常に高いので、相当おかしな環境になっても絶滅することはないと思います。
コガネムシを殺す昆虫病原線虫ですが、コガネムシ幼虫の体というのは、線虫と比べると、とても大きいため、線虫にとっては重要な餌(正確には線虫の餌となるバクテリアの栄養分)になります。
細菌で殺せば、これを丸ごと自分だけで使うことが出来るという、コメントの通り、作り置き料理のように保存しているような状態です。
講義では、詳しい話をしませんでしたが、このバクテリアは、実はいろいろな化学物質、特に抗生物質を作って、他の細菌やカビがコガネムシの死体に入ってこないようにしています。
ここで作られる抗生物質や、その他の化学物質の中には医薬として利用できるものも含まれており、薬品として既に使われているものもあるようです。
上のピックアップされた質問、10 番にも関連したことを書いていますので、そちらもご覧ください。
・マナティーの線虫、1種類は、Cutidiplogaster manati 問名前がついていて、これは、沖縄の美ら海水族館のマナティーから見つかり、ドイツの人が新種記載しました。
その後、私たちがフロリダマナティーを調査して、これ以外に2種類を見つけましたが、まだ、名前が付いていません。
マナティの線虫については、何人かの方から質問、コメントもらってますので、上にもう少し詳しくまとめています。
そちらもご覧ください。
・線虫の和名については、種類が多すぎて、また、形の違いも見分けにくいため、学会では、和名をつけるのは、重要なもの(動物寄生線虫、植物寄生線虫)だけにしようということになっています。
寄生虫以外でも、面白い種類には名前を付けてもいいですね。
★質問79.私は最初線虫を見たときに、少し気持ち悪いなと思ってしまったのですが先生は線虫を見るとき気持ち悪いなどと思ったことがありますか?また、なぜ線虫に興味をいだいたのですか?
残念ながら、「線虫」というのはマイナーな生き物なので、今回のお話を聞いてもらったら、ほとんどの人より線虫に詳しいと言えると思います。
身近な環境にも多くの線虫が住んでいるので、私たちは気が付かないうちに線虫に取り囲まれていると言えますね。
・私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
そこでも書いていますが、私は、初めて見たときに線虫に対して特に興味が無かったからか、「ああ、こんなのが居るんだ」という程度で、特に気持ち悪いとは思いませんでした。
その後慣れてしまったのか、特に気持ち悪いと思ったことはないですね。
この辺の感覚は人によって違うのだと思います。
★質問80.線虫は解剖したことありますか。
ゴキブリ以外にも、大き目のヤスデなど、大きな寄生虫を持っているので、顕微鏡がなくても見ることが出来ると思います。
今回も、そのようなヤスデを見てもらおうと佐賀県まで探しに行ったのですが、ヤスデの生息場所がイノシシに荒らされ過ぎていて見つかりませんでした。
ゴキブリもヤスデもうまく飼えば線虫が感染したものが増えていくので、研究材料としては面白いと思います。
・線虫を解剖したことはないですね。
海中みたいな大きな種類だと解剖も出来そうです。
ただ、解剖ではないのですが、細かい形態を観察するために、線虫を押しつぶして、歯や、生殖器官などを体の外に押し出して、観察することはあります。
★質問81.見つけるのが1番大変だった線虫はなんですか?
興味を持ってもらってよかったです。
ゴキブリ(と、大き目のヤスデ)は線虫を見てもらうのにちょうどいい材料で、最大の問題は、ちょっと気持ち悪いというところでしょうか。
それも慣れますが。
役に立つ線虫は、今回お話しした以外にもう一つ居ることを後で思い出しました。
寄生虫の一部は、人間に感染して免疫系を操作することにより、アレルギー症状を弱めたりすると言われています。
上のピックアップされた質問 10 番もご覧ください。
・見つけるのが難しい種類、ちょっと難しい質問ですね。
狙って探すことは少ないのですが、その種類がどうしても欲しいと思って、探したのは、シデムシの寄生虫です。
上のピックアップされた質問 9 番にも関係したことを書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問82.ハリガネムシは何の仲間ですか?
ハリガネムシもよく線虫と間違えられますね。
ただ、線虫と全く違うかというとそうでもなく、線虫と一番近いのはハリガネムシだと言われています。
また、線虫の中で、シヘンチュウ(講義中の写真で、バッタの体から出てきていたもの)は、生活の仕方がほぼハリガネムシと変わりません。
線虫もハリガネムシもどちらも脱皮動物下界 (Ecdysozoa) という大きなグループに含まれます。
・ハリガネムシが何の仲間なのか、というと、答え方が難しいのですが、ハリガネムシだけのグループがあります。
「類線形動物門」英語では Nematomorpha と呼ばれます。
線虫が、「線形動物門」、Nematoda なので、お隣同士で名前も似ていますね。
ハリガネムシは 300 種類ほどが知られ、全部で 1000 種類ほど居ると言われますが、本当はもっといるのではないかと疑っています。
★質問83.線虫は世界で何びきみつかっていますか
初めて見ると、ちょっと気持ち悪いという人も多いですね。
私は、意外にそうでもなかったのですが。
マナティーの線虫、最初は、皮膚病を起こしているのではないかとも疑われていたようですが、実はただ住んでいるだけです。
線虫ではないのですが、人間の体表面、特に顔にも、「ニキビダニ」というダニが住んでいます。
「ニキビダニ」でオンライン検索してみると、ちょっとかわいい、でもちょっと気持ち悪い画像が出てくるのではないかな。
このダニ、親から子供への直接的な接触で感染すると言われていまして、マナティーの体表面線虫も似たような感染の仕方をするのではないかと考えています。
マナティの線虫については、何人かの方から質問、コメントもらってますので、上にもう少し詳しくまとめています。
そちらもご覧ください。
・線虫の種数については、上にまとめて書いてますので、そちらをご覧ください。
種数が多くて、わからないことが多いので、はっきりした数字が出せない状況です。
なんとなく、昆虫と同じくらいいるのではないかと思います。
何匹って言うと、何とも難しい。
線虫は小さいものが多いので個体数は非常に多く、個体数で考えると地球上の動物の 4/5 という人も居ます。
実際の数というと、、、わかりません。
★質問84.線虫を研究しようと思ったきっかけはなんですか?
残念ながら、「線虫」というのはマイナーな生き物なので、今回のお話を聞いてもらったら、ほとんどの人より線虫に詳しいと言えると思います。
地球上のあらゆる場所に、色々な種類が生息しているので、全部を見ることなど全く不可能ですし、まだ、誰も知らない面白い線虫が居ると思います。
・私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問85.線虫のオスとメスは、どうやったらわかりますか?
実物を見てもらいたかったので、顕微鏡を持ち込ませてもらいました。
なんとなく雰囲気は伝わりましたか?
私の共同研究者で、大学の医学部で寄生虫研究をしている人が居ます。
学生実習では、大量のサバを買ってきて、みんなで解剖してアニサキスを探しているようです。
実は、買ってきた魚にアニサキスが入っていることも結構ありますので、解剖のつもりで魚料理をしてみてもよいのでは?
・線虫の雄、雌、幼虫は、生殖器官で見分けられます。
雄には、交尾のための「交接刺」という機関が尾部にあり、精巣も見えます。
雌には、陰門(産卵孔)や卵巣が見えます。
雌と雌雄同体は基本的には形が同じなので、培養してみないとちょっと区別できません。
幼虫に歯成虫の生殖器官が見えないのでそれで区別できます。
また、成虫になるひとつ前の段階(4期幼虫)になると、精巣と卵巣の形が出来てきているので、なれると、幼虫でも雌雄がわかります。
線虫の性別については、上に、もう少し詳しくまとめていますので、そちらもご覧ください。
★質問86.先生が人生で初めて虫を分解して線虫を見た時は、どんなお気持ちでしたか?
残念ながら、「線虫」というのはマイナーな生き物なので、今回のお話を聞いてもらったら、ほとんどの人より線虫に詳しいと言えると思います。
地球上のあらゆる場所に、色々な種類が生息しているので、全部を見ることなど全く不可能ですし、まだ、誰も知らない面白い線虫が居ると思います。
・これはちょっと答えるのが難しい質問ですね。
少し長くなりますが、私は割りと昆虫が苦手でしたので、線虫研究を始めたのは、マツの木を枯らす植物病原線虫、マツノザイセンチュウがスタートで、昆虫は扱っていませんでした。
ただ、この線虫は、マツノマダラカミキリというカミキリムシの気管(呼吸器系)に侵入して枯木から新しい木へ運ばれるという性質があるため、線虫がカミキリムシの気管に入っているということは知っていました。
その後、キボシカミキリに運ばれる線虫の研究を始めたので、昆虫から直接線虫を出したのはその時が初めてでしたマツノマダラもキボシも同じようなカミキリなので、キボシカミキリの気管に線虫が入っているのを見て、「あ、やっぱりここに入っとったか」というのが最初の感想ですかね。
この時、昆虫の解剖などは初めてでしたので、どこから手を付けたらいいのか迷いながらやった方が印象に残っています。
★質問87.人の体に線虫が入らないように予防する方法を教えてください。
興味を持ってもらってうれしいです。
線虫はマイナーな生き物なので、知っている人はほぼ居ないと思います。
今回のお話を聞いてもらったので、ほとんどの人より線虫に詳しいと言えると思います。
・予防方法ですね。
まず、線虫がどのように人体に入るかを考えてみましょう。
まず、アニサキス(は、本当は人間の寄生虫ではないのですが)のように、魚やイカなど生ものを食べて、幼虫が体に入るというパターン。
これは、生ものを避ける、冷凍して線虫を殺してから食べるなどの方法で避けられます。
といっても、普通にレストランで出てくるものや、スーパーで買ってきたものはそこまで心配する必要はありません(寄生虫学の先生には絶対にお刺身は食べないという人も居ますが)。
次に、似たようなパターンとして、寄生虫卵が口に入るというもの、カイチュウやギョウチュウが相当します。
生の野菜は度はしっかり洗う、手洗いをしっかりするということで避けられます。
また、汚いところに落ちたものを食べない、とか。
わざわざ言うほどのことではないですね。
最後に、日本では、まずないと思いますが、皮膚から直接感染する(皮膚に穴を開けて潜り込む)というものがあります。
熱帯地域などの衛生状態が悪いところで起こりやすいものですが、足の裏など、下半身からの侵入が多いので、ちゃんと靴を履くというくらいでしょうか。
わざわざ寄生虫に感染したいからという理由で、熱帯の国で野良犬の糞をはだしで踏んで回って、見事に感染したという人の本を読んだことがありますが、あまりマネしたいとは思いませんでした。
★質問88.なぜ先生はセンチュウの教授になったのですか?
ちょっと刺激が強かったでしょうか。
申し訳ない。
微小動物って、拡大すると衝撃的な形をしているものが割と多いのです。
慣れてくると、かっこいいとか美しいと思うようになってきます。
・私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問89.線虫の特性はどう調べているのですか?
そうですね。
微生物と一緒にされることはよくあります。
多分、一通りの器官(神経や消化器、生殖器官)が揃っている動物としてはもっとも単純なものの一つだと思います。
・線虫の特性の調べ方は人によって違っていて、何を目的にするかで変わってきます。
例えば、生殖様式を調べたい人は、飼育して、産卵数を数えたり、交尾の仕方を観察したりします。
また、接触を見る場合は、培養して、色々と異なる餌を与えてどの餌に集まるか、その餌を食べてどのくらい増えるかを調べます。
私の場合は、細かい形態や、昆虫との関係、環境適応などを調べたいので、解剖した時に昆虫のどの部分に入っているのか、どのくらいの温度で増えるのかを調べて、顕微鏡で観察を行います。
★質問90.かいちゅうには何種類いるのですか。
ちょっと刺激が強かったでしょうか。
申し訳ない。
微小動物って、拡大すると衝撃的な形をしているものが割と多いのです。
慣れてくると、かっこいいとか美しいと思うようになってきます。
・線虫の種数については、上にまとめて書いてますので、そちらをご覧ください。
種数が多くて、わからないことが多いので、はっきりした数字が出せない状況です。
なんとなく、昆虫と同じくらいいるのではないかと思います。
カイチュウは、と言うとこれもまだわかっていないものも多いので難しいですが、すぐに思いつくところでヒトカイチュウ、ブタカイチュウ、イヌカイチュウ、ネコカイチュウ、アライグマカイチュウ、アニサキスなどが出てきます。
ニワトリにもカイチュウが居ますし、哺乳類の種数より多いのではないでしょうか。
★質問91.線虫を使って何か薬などは作れたりしますか?
多分、一通りの器官(神経や消化器、生殖器官)が揃っている動物としてはもっとも単純なものの一つだと思います。
あの小さい体で一通りの構造がちゃんとあるというのも、よく考えたらすごいことですね。
実はその辺にいくらでも居るというのも、楽しいところです。
理科室に実体顕微鏡があるのではないかと思います。
学校の花壇の土などから線虫を集めてきたという論文も見たことがありますので、探してみてはどうでしょうか。
・線虫そのものからの医薬というのはあまり多くはないと思います。
今、実用化がすでにされているものとしては、昆虫病原線虫の持っている昆虫病原細菌が抗生物質などを生産することが知られており、これが、医薬に応用されています。
また、線虫そのものの感染により、アレルギーや自己免疫疾患の症状緩が監査することが知られており、一部は治療に用いられています。
上のピックアップされた質問、10 番にも関連したことを書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問92.・実験をしていて、気持ち悪いな。
と思ったことはありますか?
・もし、世界から線虫が消えたらどうなりますか?
多分、一通りの器官(神経や消化器、生殖器官)が揃っている動物としてはもっとも単純なものの一つだと思います。
種数も非常に多いですし、その辺にいくらでも居ますので、探すと次々新種が出てきます。
楽しいですよ。
・線虫を見ていて、気持ち悪いと思ったことは、意外にないですね。
昆虫はもともと苦手でしたので、ゴキブリを始めて解剖した時が一番気持ち悪かったですかね。
なお、初めてゴキブリの解剖をしたのは、アメリカで、ワモンゴキブリだったか、日本には居ないのですが、death head roach と呼ばれるマダラゴキブリの仲間でした。
・世界から線虫が消えたら、、、難しいですね。
まず、寄生線虫など、いわゆる害虫が消えると、農業的にはいいのかもしれません。
ただ、線虫類はほとんどすべての環境で大きなバイオマスを持っており、物質循環、もしくは生態系ピラミッドの重要な部分を担っているので、生態系への大きな影響があると思います。
具体的には、と言うと想像がつかないのですが。
なお、私は線虫が居なくなると、失業するか、昆虫学者に転職します。
ウオノエとかも好きなので、海洋生物も面白いかも。
★質問93.ゴキブリ以外にもアリとかにも線虫はいるんですか
ちょっと刺激が強かったでしょうか。
申し訳ない。
ゴキブリ以外にも、大き目のヤスデなど、大きな寄生虫を持っているので、顕微鏡がなくても見ることが出来ると思います。
今回も、そのようなヤスデを見てもらおうと佐賀県まで探しに行ったのですが、ヤスデの生息場所がイノシシに荒らされ過ぎていて見つかりませんでした。
ゴキブリもヤスデもうまく飼えば線虫が感染したものが増えていくので、研究材料としては面白いと思います。
・色々な昆虫に線虫が付いています。
もちろん、アリからも面白い寄生線虫が出ます。
パナマで見つかったアリの寄生虫は、アリの腹部を巨大化させ、そのうえ赤く変色させます。
こうなると、アリの腹部が木の実みたいに見えます。
この状態のアリは、植物の葉の上で逆立ちするようになり、その結果、鳥などに食べられやすくなり、感染が拡大すると言われています。
他の昆虫にも線虫はついていますが、これまでに調べてみたところ、幼虫期間を湿ったところで過ごす昆虫に線虫は多いようです。
★質問94.マナティーの皮膚に線虫がついていたと講座で言っていましたが人間の皮膚にも線虫は付いているのですか。
そうですね。
線虫って、種数も多ければ、生態的多様性も非常に高いのです。
また、今回、詳しいところまではお話しできませんでしたが、同じカビ食の祖先から、そのままカビ食を続けるものも居れば、昆虫寄生、捕食と、色々な食性に進化したものも居ます。
カビなんていくらでもあるので、カビ食を続けてても問題ないと思いますが、それぞれ、より効率的に食べて、増殖できるように進化しているのですね。
・人間の皮膚に住んでいる線虫というのは、見つかっていません。
近いものとしては、皮膚に直接穴を開けて感染してくる寄生虫や、寄生虫が皮膚のすぐ下に入ってみみずばれを起こすということは知られています。
また、皮膚病の幹部などに、ハエに着いている線虫が住みついてしまうことはありますが、病気が治れば、居なくなります。
人間の表面だと、線虫ではないのですが、顔に、「ニキビダニ」というダニが住んでいます。
「ニキビダニ」でオンライン検索してみると、ちょっとかわいい、でもちょっと気持ち悪い画像が出てくるのではないかな。
このダニ、親から子供への直接的な接触で感染すると言われていまして、今回お話ししたマナティーの体表面線虫も似たような感染の仕方をするのではないかと考えています。
マナティーの線虫は、他の線虫よりも、ニキビダニに近いような生態をしていると考えています。
マナティの線虫については、何人かの方から質問、コメントもらってますので、上にもう少し詳しくまとめています。
そちらもご覧ください。
★質問95.C・エレガンスの餌は何ですか?
今回は、お話ししませんでしたが、線虫にも社会行動(というのは個人的にはちょっと違和感がありますが、環境に対応して、互いに近寄って、集合する子tがあります)や、学習能力があると言われています。
このあたりのことは、神経系の県有を進められると詳しいことがわかってくると思います。
・C. elegans は細菌(バクテリア)食性です。
この餌として世界中で使われているのは、「OP50」という名前の付いた大腸菌で、この菌は、C. elegans 以外の細菌食線虫にも標準的な餌として用いられています。
★質問96.先生は、どうしてそんなに小さい生き物に興味を持ったんですか?
多分、一通りの器官(神経や消化器、生殖器官)が揃っている動物としてはもっとも単純なものの一つだと思います。
あんな単純で小さい生き物が人間と似たようなことをしているというのは面白いですね。
・私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問97.なぜ線虫に興味をもったのですか?
あんな単純で小さい生き物が人間と比較できるというのはすごいことだと思います。
また、あれだけ単純な、細胞も 1000 個くらいしかない生き物が色々と複雑なことをしているというのも驚きです。
生物学の面白いところの一つだと思います。
・私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問98.線虫の平均寿命はどのぐらいですか。
線虫の多様性は、種数、生態とも非常に高いですね。
いま、海浜に生息する種類、マナティーの体表面に住んでいる線虫が、真水から海水まで塩分の異なる条件にどうやって対応しているのかに興味を持っていて、そんな線虫を集めたり、共同研究者の先生方に生理学的解析などをやってもらっています。
マナティの線虫については、何人かの方から質問、コメントもらってますので、上にもう少し詳しくまとめています。
そちらもご覧ください。
・線虫の寿命な種類によって、数日から 15 年以上と様々です。
上のピックアップされた質問、1 番にもうすこしくわしくまとめていますので、そちらもご覧ください。
★質問99.線虫はなぜ毒に耐性がつくものが生まれたのですか。
寄生虫の多くは、動物の腸内に居ますね。
その他の部分(呼吸器系、生殖器官、血管、その他全身感染)に侵入するものも多いのですが。
ただ、実際には、土や枯れ木の中で、微生物(細菌、カビ、藻類)を食べているものがほとんどですね。
・毒への耐性、今回お話ししたのは、ヒ素耐性でした。
ヒ素耐性の高い線虫は、栄養分が多い(多すぎる?)環境に住むものと近い種類が多いです。
このような場所はリンが非常に多い傾向があります。
化学的にヒ素とリンは似た性質があるので多すぎるリンに対する耐性がヒ素耐性に応用されているのではないかと考えています。
しかし、詳しいことは今度、もっと詳しく調べないとわかりません。
★質問100.線虫はたくさんいるけれど、もしもいなくなってしまったら食物連鎖は崩れますか?それから、線虫を捕食する、線虫以外の生物は、なんですか?というか、いますか?
昆虫と線虫は、実はよく似た生物なのですが、人間にとって大きな違いの一つが、顕微鏡などの道具なしで(肉眼で)見えるかどうかだと思っています。
動物寄生虫以外は、だいたい 2 mm 以下の大きさなので、そもそもいることに気が付きません。
それに、小さすぎて、図鑑を作っても顕微鏡が無いと確認できないので、売れなさそうです。
・線虫は、1頭あたりの大きさはとても小さいですが、数が多いので、生態系の中では食物連鎖の重要な役割を果たしています。
生態系ピラミッドで言うと、微生物と、ダニやクマムシなどの小型節足動物をつないでいる存在です。
いないと、生態系への影響はとても大きいと思います。
線虫を食べる生き物は線虫以外だと、kダニやクマムシになります。
特にダニには、線虫食性のものが割と居るようです。
★質問101.環境によって線虫の形が変わるのにどうやって同じ線虫だとわかったんですか。
どこからどこまでが線虫なんですか、定義を教えてください
線虫の化学(匂い)センサーは種類によっても異なりますが、とても敏感です。
理由は判らないのですが、がん細胞由来の物質がなぜか好きらしく、その匂いに集まるようですね。
ナメクジ病原線虫は、面白いと思いますが、これを探すのは結構大変で、ナメクジの死体の酷い臭いを我慢しないといけません。
野外だとそこまでにおわないので、まあ、気にしなければいいだけですが。
広東住血線虫は見た目のインパクトがすごいと思っています。
よく、日本だと散髪屋さんの回っているサインポールにたとえられるのですが、アメリカで candy cane をみて、「これだ!」と思いました。
・環境によって形が5種類に変わるものは、最初、同じ種類だと思いませんでした。
それぞれ、1頭づつ遺伝子解析を行い、完全に一致するということを確認して、同じ種類だと判明しました。
また、培養可能な線虫の場合、雌1頭から培養して、同じ親から生まれた線虫がいくつか異なる形になるということを確認して、その種類に、いくつの形があるのかを確認します。
・線虫の定義は実は割と難しいです。
細長い形、左右相称、偽体腔、らせん型不等割型の胚発生を行い、決定胚である、などなど動物学的な定義は示されていますが、見てわかりやすい特性(例えば細長い形など)は、例外があるため、結局は遺伝子解析で確認するのが最も信用できるということになります。
ただ、線虫研究をしていると、線虫を見ると、「線虫っぽいな」と思うことがあり、その感覚で、ほぼ間違っていません。
★質問102.研究で大変なことや面白いことは何ですか
非常に多くの種類があり、有用、有害なもの、生態系において重要であることなど、そんな生き物が居るということ、気にしてもらえたらいいなと思います。
・大変なことは、研究分野や目的によって違ってくるのですが、私は、分類や、新種記載などの研究をしているので、成虫のきれいな標本と、遺伝子解析用の材料が必要になります。
なので、培養が難しい種類や、培養できないものを取り扱うとき、数が足りなかったり、幼虫しか見つからなかったりして、どうやったら成虫が集められるのかを考えたり、試したりするのが大変です。
面白いのは、線虫についてはわかっていることと比べると、わかっていないことの方が圧倒的に多いので、何をやっても、何を調べても「世界初」の結果が出せるということでしょうか。
それと、小さくてわかりにくいですが、色々と変な形や、かっこいい形の線虫下いるので、そのような種類を観察するのは単純に面白いです。
★質問103.なぜ、共食いするんですか?
自由研究、いいですね。
土や枯れ木からの線虫分離には、ベールマン法という方法があります。
ティッシュペーパーとペットボトルなどで装置を作ることが出来ます。
観察は顕微鏡が無いとちょっと難しいですが、大き目のものは、黒い紙の上にシャーレを置いて観察すると居ることは判ると思います。
昆虫から採ろうと思ったら、やはり、ちょっと気持ち悪いですが大きいゴキブリ(クロゴキブリ、ワモンゴキブリ)、ヤスデがわかりやすいですね。
・詳しい話が出来ませんでしたが、共食いをする種類としにくい種類が居ます。
捕食性線虫は、
★質問104.8mの寄生虫は大きいのにどうやってマッコウクジラに寄生するんですか。
解剖をした後にかけていた液体はなんですか。
また、なぜかけたんですか。
線虫については、知っている人もほとんどいないので、今回のお話を聞いてもらったら、たいていの人より線虫に詳しくなったと思います。
色々な種類が地球上のほとんどすべての場所に居るのだということ、気にしておいてもらえると嬉しいです。
・マッコウクジラの寄生線虫がどのように寄生するのかは、詳しい研究が無いのでよく判りません。
想像ですが、このような線虫は海中に卵を大量にばらまくので、それが直接、もしくは魚などの餌を経由して、クジラに感染するのだと思います。
また、この線虫はクジラの胎盤に寄生すると言われていますが、胎盤は、14-16 か月と言われる妊娠期間にしかありませんので、その期間にちょうどうまく感染するのは難しいのではないかと思っています。
なので、もともとクジラの体のどこかに感染して、成長しないで待っていて、クジラが妊娠した時に胎盤に移動して栄養を取り始めるのではないかと疑っています。
実際、クジラを調べるのは難しいので、どうやってこれを確認したらいいのかは、わかりませんが。
・よく見ていましたね。
解剖のときに使ったのは、M9 緩衝液という液体です。
と言っても、少し塩類が入っていて真水で解剖すると破裂してしまうような線虫が壊れないようにするための溶液です。
塩水のようなものなので、特に危険なものは入っていません。
★質問105.いちばんつよいせんちゅうはどれだとおもいますか
オンライン視聴だったのでしょうか。
それとも、実体顕微鏡ではなく、電子顕微鏡で見たかった?実際に研究室に来て、実物をみてもらえるような機会が作れたらいいと思うのですが。
魚などは料理をするときに寄生虫を見る機会が意外に多いかもしれませんね。
多くの動物では1種類どころではなく、何種類も寄生線虫が付いていることも多いのですが、ジビエでもやらないとみる機会は少なそうです。
・強い線虫、難しい質問です。
環境に強いもの、ということで考えると、乾燥状態で長く生きられる種類がいくつか知られています。
南極の苔の中から出てきた Plectus や、土の中に住んでいて、乾燥が進んでくると自分でミイラ状態になれる Aphelenchus という線虫。
また、長生きということなら、46,000 年前の永久凍土から出てきた Panagrolaimus という線虫。
また、捕食性線虫を何種類か戦わせてみたことがありますが、Mononchoides という大きな口で噛みつく線虫が強かったです。
多分、喧嘩させたら、より大きな、噛みつく種類の捕食線虫が一番強いのではないかと思います。
環境耐性については、上のピックアップされた質問、5 番にもう少し詳しく書きました。
そちらもご覧ください。
★質問106.線虫は、どうやって動物や虫の体に入りますか?
やっぱりちょっと気持ち悪かったですか。
私は最初から線虫は大丈夫な方だったのですが、もともと、昆虫は苦手だったので、最初、ちょっと気持ち悪かったですね。
野外だと、多くの動物に寄生虫が付いていますね。
上でも書きましたが、魚介類は、料理をするときに寄生虫を見る機会が多いかもしれません。
哺乳類の寄生虫も多いのですが、自分でジビエをやったりしないと実物をみることは無さそうです。
・線虫が動物の体に入るには、いくつかの方法があります。
カイチュウなどの寄生虫は、宿主体内で、卵を大量に生み、それが排泄され、卵が環境中に散らばることにより、たまたま次の宿主の口に入ることによって感染します。
カイチュウでは、排泄物を野菜類の肥料に用いることにより、感染が拡大して、問題になり、そこから化学肥料が広く用いられるようになったと言われています。
その他、昆虫寄生の線虫では、宿主体内で成長した幼虫が他の宿主の体表に穴を開けて侵入していくものも居ます。
また、小さい動物(昆虫やカタツムリなど)に食べられた卵がその動物の中である程度成長し、その動物がより大きな動物によって食べられることにより、大きな動物に感染するという者も多く知られています。
寄生しないものでは、昆虫が成虫になってすぐに侵入するものが多いです。
昆虫は羽化したあと、体が固まるまでしばらくの間動かずに待っています。
この期間に、線虫は昆虫の体に登っていって、それぞれの適した場所に潜り込んでいくと言われています。
★質問107.私は今回の先生の講義を聞き、線虫の飼育に興味を持ちました。
私の家ではトカゲの餌用に小さなゴキブリを飼っているのですが、大体何匹ぐらい解剖すれば線虫は見つかると思いますか?また、内臓や腸などの体の部位ではどこに線虫がいることが多いですか?
そうですね。
役に立つ種類も居る一方、深刻な寄生虫も含まれます。
日本国内だと、特に気を付けておくのはアニサキスくらいでしょうか。
熱帯地域などでは、どこから感染してくるかわからないこともあるので、私も行くときは結構気を付けています。
ところで、ゴキブリ飼育をしているのですね。
種類は何でしょうか。
私のところでも、ちょうど、この前、この講義の少し後になりますが、鹿児島に調査に行き、サツマゴキブリを大量に捕獲してきて、飼育しています。
一部を解剖したら、寄生虫がちゃんとついていました。
ゴキブリ類、特に大きめの種類は、製薬会社の実験用に飼育しているものでも、寄生線虫が付いています。
外国産でも結構な割合で色々と付いていて、互いに糞食をするので、新たに生まれた幼虫でも成長の過程で寄生虫に感染して、飼育しているもの全体に広がるようです。
増殖させて余った分(飼育ケージに一杯になって入りきらない分)など、解剖したら何かついているのではないでしょうか。
・うえのこめんとにも書きましたが、大き目の種類だと結構な割合で入っています。
寄生虫は後腸にいることが最も多いです。
なお、さすがにトカゲは解剖できませんが(動物実験倫理の問題から、爬虫類、鳥類、哺乳類は届け出、許可が必要です)、トカゲにも寄生虫が入っていることがあります。
以前、小笠原のグリーンアノールの駆除、調査用トラップに入ってしまったトカゲの寄生虫を見たことがあります。
この時は、胃壁に入っていました。
★質問108.先生の線虫の好きなところはどんなところですか?
楽しんでもらえたならよかったです。
「線虫」という生き物の語源などは、上の質問 19 番にも書いていますので、そちらもご覧ください。
・面白いところは色々あるのですが、大きな歯が生えている捕食線虫がかっこいいと思います。
その仲間(Diplogastridae というグループ)が好きです。
研究として面白いところは、色々な特徴をもった種類がたくさんいるところで、予想していないような種類がいきなり見つかることがあるというところでしょうか。
他にも、わかっていないことが多すぎるので、何を発見しても新発見になるところも楽しいと思います。
その辺にもいくらでも新種が居ますよ。
上のピックアップされた質問 9 番にも関係したことを書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問109.なんで、線虫のことに、きょうみをもったんですか?
大きい線虫、どうやって計ったのでしょうね。
たしかに、そこまで長くなると、巻き尺か何かで図らないといけませんが、あんなふにゃふにゃのものをどうやって伸ばしたのか。
わかりません。
小さいものは、顕微鏡を使えば、割と簡単に測れます。
・私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問110.なぜ一番小さいせん虫と大きいせん虫は長さがすごいちがうんですか?
捕食する線虫の中にも、共食いをしやすい種類としにくい種類が居ます。
餌かどうかは、匂い(化学物質)と、頭を付けたときの感触で決めているようです。
共食いをよくする種類は、この時の判定が割といい加減なのかもしれません。
今回お見せした針を持つ種類はほとんど共食いをしないのですが、どうも、表面の構造が針を刺しにくくなっているようで、頭を付けたときに、「食べるのはの難しそう」と思うようです。
口の形があそこまで違うのは、どういうことなのか、難しいですね。
線虫の中ではあのような特徴をもつものは少ないのですが、環境変化の早い場所に住んでいるものがほとんどです。
環境変化が早いと餌の種類がすぐに変わってしまうので、それに対応するために2つ以上の形を持つようです。
このような性質を表現型可塑性とか発生学的可塑性と呼び、現代の生物学の中でも重要な研究対象になっています。
・線虫の殻がの大きさは、住んでいる場所によって変わってくるように思います。
細かい粒(泥、土など)の間に済んでいるものは小さくないと隙間に潜り込めませんが、大きな動物の寄生虫だと、大きくなれるだけの場所があるので、大きくなるのだと思います。
線虫にとっては大きい方が多くの卵を産めるので、大きくなれるなら、なった方が有利だと考えられます。
★質問111.先生が今までで線虫を探しに行ったところで、一番面白かったところはどこですか。
線虫は、やはり多様性の高さが大きな魅力の一つですね。
それだけの多様性があるので、地球上のどこでも、思っても見ないところに住んでいます。
マッコウクジラの寄生虫に追いては、上にもいくつか書いていますので、そちらもご覧ください。
・今までで面白かったところ、色々ありますが、フロリダ大学に居た頃、パナマとコスタリカの熱帯雨林で調査したのが、場所としては面白かったです。
ハキリアリ、モルフォ蝶や、テナガカミキリ、20 cm 以上あるヤスデなど、図鑑や、「世界の昆虫」みたいな本でしか見たことのない昆虫がたくさんいましたし、面白いシロアリも多く採集できました。
私の一番お気に入りのシロアリは、この辺りに広く分布している Embiratermes chagresi という種類です。
★質問112.線虫は、人間にとって害虫と益虫どちらのほうが多いですか。
線虫はいるほうがいいですか。
意外にも、私は、初めて見たときから、なぜか、線虫は気持ち悪いと思ったことが無いのです。
この辺はそれぞれの人によって違うのでしょう。
楽しんでもらえたならよかったです。
環境、餌によって形が変わるのは、それぞれの形で食べられる餌の種類が変わってくるからだと言われています。
このように色々な形を持つものは、環境変化の速い場所に住んでいることが多く、環境によって主要な餌が決まるため、それに合わせて口の形を決めているということみたいです。
人間の場合は、一つの口の形で色々な餌(食事)が食べられるようにできているので、形を変える必要が無いのですね。
歯の形も1種類ではなく、肉を噛み切る犬歯や、すりつぶすための奥歯などがありますね。
線虫にも、1種類でいくつか異なる餌を食べられる種類も少しわかってきていまして、口の形が変わるものと遺伝子の比較などをしようとしているところです。
・寄生虫は多く知られているのに対して、実用的に使われている種類はせいぜい 20 くらいだと思いますので、種数で言うと、害虫(寄生虫)の方が多いですね。
多くの寄生虫は、宿主を殺したりすることは少なく、もしかしたら、アレルギーなどの病気を抑える働きもしてるかも、と言われています。
危険なのは、本来の宿主と違うものに寄生したときで、例えば、アライグマカイチュウはアライグマに着いている限りでは特に大きな害はないのですが、人間に寄生すると危険です。
アニサキスも似たようなものかな。
★質問113.様々な線虫がこの地球には住んでいるわけですが、クマムシのように宇宙でも生き延びれると思いますか?
ちょっと刺激が強かったですかね。
申し訳ない。
意外にも、私は、初めて見たときから、なぜか、線虫は気持ち悪いと思ったことが無いのです。
この辺はそれぞれの人によって違うのでしょう。
線虫は多様性が高いので、色々な場所に、想定外の変なものが住んでいたりして、これは線虫の面白いところだと思います。
・どこにでもいる線虫ですが、宇宙で見つかったことはありませんね。
詳しく調べられていませんが、休眠状態に入るとクマムシと同じくらいに環境耐性を持つものがありますので、状況によっては生き延びるかもしれません。
同様の質問は他の人からももらっていますので、上のピックアップされた質問、5 番にもう少し詳しく書きました。
そちらもご覧ください。
★質問114.線虫を飼ってみたいなと思っているのですが、適した温度や湿度、どの種類の苔や微生物を食べるかや飼うときの注意点などがあれば教えていただきたいです。
私は、初めて見たときから、なぜか、線虫は気持ち悪いと思ったことが無いのです。
この辺はそれぞれの人によって違うのでしょう。
多様性の高さは線虫の面白い点の一つですね。
また、遺伝子レベルでも可塑性が高い(変異が起こりやすい)ため、陸生グループの中から急に海生のものが現れたりと、探せばいくらでも変なものが出てきます。
有用なものとして、寄生虫学、免疫学の分野でも研究が進められているのは、線虫による免疫系制御などで、深刻な自己免疫疾患などの治療への応用が試みられています。
専門分野から少し外れるので、難しい研究だな、という印象ですが、面白そうです。
・線虫として、飼育しやすいのは、土壌中などに住んでいる細菌食性種ですかね。
適当に栄養のある培地、例えば、サイコロ型のコンソメスープを2,3倍くらいに薄めたものをあ寒天で固めて、そこに、土の上で半分腐った状態の枯葉を載せておけば、細菌食性が増えてきて、もしかすると、それを食べる捕食線虫も出てくるかもしれません。
私は、野外からの線虫分離には、栄養のない寒天の上に解剖した昆虫、枯葉、堆肥などを少しだけ載せて、そのまま1週間ほど放置して出てきたものを培地に移すという方法を採っています。
★質問115.先生が線虫で、もしいてほしい線虫はどのような線虫ですか。
マナティーの線虫は私も驚きました。
このマナティーの研究を始める少し前に、美ら海水族館のマナティーの表面に線虫が居るという論文があったので、フロリダでそれを採集しようとしたところ、1種類ではなく、3種類も居て、しかもしれがマナティーにしかついていないということがわかりました。
なぜ、糞虫や堆肥から採れる線虫の仲間がそんな生存が難しい環境にだけ住むようになったのか、謎です。
マナティの線虫については、何人かの方から質問、コメントもらってますので、上にもう少し詳しくまとめています。
そちらもご覧ください。
・今のところ、環境耐性に興味があるので、変な環境耐性を持つものを集めたいですね。
その線虫がどうやって環境に適応したかがわかれば、温暖化や気候変動にどうやって対応したらいいのかが、わかるかもしれないと思っています。
単純に居たら面白そうだなと思うのは、温泉などで高温や毒に耐えてそこで増殖するものなどが居ると、いいかな。
上のピックアップされた質問 9 番にも関係したことを書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問116.線虫の人工繁殖に成功した例はありますか?
ちょっと気持ち悪いかもしれませんが、行動観察などをしていると、「こいつら、何を考えてこんなことしてるのかね」と思うことがよくあります。
個人的には、結構可愛かったり、かっこいいと思います。
役に立つ種類は、これからも見つかると思いますので、有効に使えるといいですね。
寄生虫は、消化管(腸)にいるものが大きくて見やすいです。
・微生物食、とくに細菌やカビを食べるものは、培地で増殖させることが出来ます。
難しいのは寄生虫ですが、ゴキブリやヤスデの寄生虫は、飼育ケージの中で互いに感染しやすいので、ゴキブリやヤスデを飼育することで、同時に寄生虫を飼育するということが出来ます。
植物寄生線虫も、いくつかのものは、植物を植木鉢などで育てて、そこに線虫を感染させるという方法で飼育できますね。
★質問117.まだ見つかっていない線虫もいるかもと言っていましたが、これからどんな線虫が見つかったらすごいと思いますか?長さですか?小ささですか?それとも特別なことをすることができる線虫ですか?
ミミズと、一見よく似ていますね。
ミミズははっきりした横筋が入っていて伸び縮みしますが、線虫は、筋肉の構造が違うので伸び縮みはしません。
多分、体内の構造も線虫の方がそれぞれの器官がはっきりわかりやすいと思います。
ミミズに寄生する線虫も多いと言われていますので、ミミズを捕まえたときなど解剖しているのですが、まだ見つけたことがありません。
実は私も、研究を始める前は昆虫が苦手でした。
線虫研究、特に昆虫から分離される線虫を専門にするようになって、面白い線虫が出てきそうな昆虫は平気になりました。
なので、いい線虫がなかなか出てこなそうな毛虫や芋虫は、今でも苦手です。
・今のところ、環境耐性に興味があるので、変な環境耐性を持つものを集めたいですね。
その線虫がどうやって環境に適応したかがわかれば、温暖化や気候変動にどうやって対応したらいいのかが、わかるかもしれないと思っています。
いま、海岸に住む昆虫を集めて、そこから線虫を探していますが、海水(塩水)に浸かったときの生存能力が普通の淡水の線虫に比べて明らかに高いものが見つかってきています。
★質問118.新種が見つかるとどのような気分になりましたか
線虫ってほとんどのものは、小さくて観察しにくいので、どうしても大型動物や昆虫と比べると、人気は出そうにないですね。
マイナーな生き物だと思います。
種類が多いので、思わぬところで役に立ったり、研究材料になったりする変な種類が見つかってくるので、探していると面白いですよ。
・新種ですね。
その辺で線虫を探すとほとんど新種だったりするので、慣れてしまいました。
初めて、新種を見つけたのは、キボシカミキリという、割とどこにでもいるカミキリムシからでしたが、他のカミキリにも付いていることは判っていたので、「ここにも居ったか」と、「まあ、居るやろな」、「新種っぽいけど本当に新種かな」という気分が混じった感じですかね。
★質問119.どちらもの性別を持った、線虫は、どのくらいの確率で生まれるのですか。
・線虫はマイナーな生き物なので、ほとんどの人は詳しいことは知らないと思います。
今回のお話を聞いてもらったので、すでに、ほとんどの人よりは線虫に詳しくなっていると思いますよ。
ゴキブリの線虫は、その辺で見られるものの中ではかなり大きい方なので、見てもらうのには、ちょうどいいのです。
ゴキブリ、と言うだけでちょっとインパクト強いですし。
・線虫の性別については、種類によっていろいろです。
普通に雄と雌が出るものだと、半々くらいで、ちょっと雌が多めのものが多いですね。
雌雄同体(体内に雄と雌の器官を両方持っているもの)の種類では、雄が 1/800 から 1/1000 というものが多いですが、雄の割合がもう少し高いものや、雄がほとんど出てこないものもあります。
また、単為生殖(体内に雌の器官しかないもの)では、雌が雌を産むので、雄が全く出てこない種類というのも居ます。
★質問120.数ある動物の中で線虫の研究のどこに惹かれたのですか?
人間のものも、ゴキブリのものも、寄生虫と言うと、気持ち悪いと思う人が多いのですが、そういう変な生き方をする生物が好きという人も、少ないですが居ますね。
線虫研究者や、寄生虫学者はそういう人たちです。
慣れてくると、美しいとか、かわいいとか、かっこいいと思うようになってきます。
・今では、線虫の多様性や、環境適応能力の高さがとても面白いと思っていますが、私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問121.新種を見つけたらどんな名前をつけたいですか
じつは、線虫の多様性を表すのに、「ほとんどの線虫より大きな生き物には、その種類に寄生する線虫が居る」という言い方をされることがあります。
そこまで多いのか、と言うと本当かな、と思いますが、人間でも1種類ではなく、何種類もの寄生虫が居るし、まだまだ知らない寄生虫がたくさん居ると思います。
・ちょっと難しい質問ですね。
私は、いままで 200 種ほどの新種記載をしているので、名前のネタがそろそろ尽きています。
毎回、どういう名前を付けるか、困っていまして、共同研究者にアイデアをもらっています。
いままでにつけた名前で、気に入っているのは、Pristionchus exspectatus (exspectatus というのは、ラテン語で「期待していた」という意味で、ちょうど、こんな線虫が欲しかったという種類が見つかったので、そういう名前になりました) 、Pristionchus quartusdecimus (quartusdecimus というのは、ラテン語で 14 という意味で、長らく No. 14 と読んでいた種類だったので、コードネームをそのままラテン語訳して付けました)、Caenorhabditis inopinata (inopinata はラテン語で「想定外」という意味で、堆肥などに住んでいるはずの線虫グループの1種類がオオバイヌビワという植物の実の中にだけ住んでいることが明らかになったので、「こんな場所からこんな線虫が出てくるとは全く思っていなかった」という気持ちで) といったところでしょうか。
他には、有名な先生の名前、採集された地名、昆虫の名前を付けることがあります。
★質問122.プランクトンは何種類あるんですか
線虫は種類が多くて、色々と変なものが居るというが面白い点の一つですね。
環境、餌によって形が変わるのは、それぞれの形で食べられる餌の種類が変わってくるからだと言われています。
このように色々な形を持つものは、環境変化の速い場所に住んでいることが多く、環境によって主要な餌が決まるため、それに合わせて口の形を決めているということみたいです。
人間の場合は、一つの口の形で色々な餌(食事)が食べられるようにできているので、形を変える必要が無いのですね。
歯の形も1種類ではなく、肉を噛み切る犬歯や、すりつぶすための奥歯などがありますね。
線虫にも、1種類でいくつか異なる餌を食べられる種類も少しわかってきていまして、口の形が変わるものと遺伝子の比較などをしようとしているところです。
・プランクトン、難しいですね。
プランクトンというのは、「富裕生物」という意味で、水の中で自分で泳ぐのではなく浮かんだ状態で流れに乗って移動するような生き物をひとまとめにしたものです。
なので、エビやカニ、貝類の幼生(子供)や、定着しない藻類なども全てプランクトンに含まれます。
線虫でも水中にすむものは、一部はここに含まれるかもしれません。
ただ、種数については、とにかく多そうだと思いますが、よく判りません。
★質問123.線虫はカブトムシのような昆虫の腸の中を調べることはできますか?
ゴキブリやヤスデの寄生虫は、脊椎動物寄生虫以外ではかなり大きめのものなので、見てもらうにはいいのです。
解剖のとき、下に黒い紙を敷いておけば、顕微鏡が無くても確認できますし。
これらの寄生虫は、腸内に居ることが多いので、解剖するときは、腸をきれいにとりだすように気を付けるといいですね。
・大きな寄生虫を探すには、ゴキブリとヤスデがわかりやすいです。
カブトムシも調べたことがありますが、大きな線虫はほとんど出ませんでした。
タイワンカブトの幼虫は長内にかなり大きな、かっこいい寄生虫を持ってましたが。
★質問124.線虫に興味をもったきっかけはなんですか?
やはり線虫は小さいので、ちゃんと見るには、顕微鏡が要りますね。
実際は昆虫と同じくらいの多様性があるので、もう少し大きければ、線虫コレクターなんて人も現れるのかもしれません。
今回、本当は、ヤスデを使いたかったので、佐賀県まで探しに行ったのですが、調査地がイノシシに荒らされていて、集められませんでした。
ヤスデだと、多い時には、長さ 4 mm くらいの線虫が 40 頭以上出てくることがあり、かなり衝撃的です。
・私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問125.先生がはじめて知った線虫はどんな線虫ですか?
いくらかでも興味を持ってもらえたらうれしいです。
日本だと、致命的な寄生線虫はほとんどいませんので、そこまで心配しなくていいかな。
・私が初めてちゃんと意識して見た線虫は、マツノザイセンチュウです。
大学の講義で先生から見せられました。
この線虫は、マツの木に寄生して、木を枯らすという植物寄生線虫で、この線虫に関して、大学の卒業論文を書くことになりました。
上に、もう少し詳しく書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問126.線虫で癌が分かるというのをテレビで見たことがありますが、どういう風にしてわかるのですか。
実は、大学でも、「線虫って、1種類じゃないのですか?」と聞かれることがあります。
線虫の中では、Caenorhabditis elegans という種類だけが研究材料として広く利用されているので、生物学研究をしている人でも、この種類しか知らないという人も居るのです。
今回のお話を聞いてもらったので、多様性が高いことなど、ほとんどの人より、線虫に詳しくなっていると思いますよ。
・線虫によるがん診断については、上のピックアップされた質問 8 番目に書きましたので、そちらをご覧ください。
★質問127.なんでクワガタムシには線虫が沢山いるんですか。
そうですね。
あれだけ小さい体で、動物に必要なものがほぼそろっているということ、また、体が半透明なので、生きたまま観察できるということ、人間や、他の動物との比較研究材料としてはとても便利な性質です。
種類が多くて、どこにでも新種が居るというのもの面白いところです。
ゴキブリとヤスデは、顕微鏡が無くても見えるくらいの大きな寄生虫が付いていることが多いので、見てもらうには都合がいいです。
・クワガタに多く線虫が付いているのは、いくつかの理由があります。
ひとつは、クワガタが、卵から幼虫、蛹まで、同じ朽木の中で成長し、そこで羽化するということです。
朽木は、湿り気と栄養分が両方あり、線虫が生活するには、適した場所で、そこでクワガタの成長とともに増殖し、成虫に入り込んで次の朽ち木に運んでもらうという生活が成り立ちます。
また、詳しいところまでは確認できていませんが、クワガタがカブトムシなどに比べて、抗菌性が弱いのではないかと考えています。
カブトムシも似たような生活をしますが、あまり線虫はついておらず、これは、カブトムシ幼虫が高い抗菌性を持っており、周辺で線虫も増えにくいのではないかと考えています。
これと比べると、クワガタの方が抗菌物質の匂いも少ないですし、線虫が増えやすいのではないかと疑っています。
★質問128.もし先生が線虫になるならどんな線虫になってみたいですか
そうですね。
アニサキスとか、ニュースなどだけを見ていると「病原体」とか、「寄生虫」としか思いませんし、「線虫」ということは意識しませんね。
ただ、ほとんどの線虫は 2 mm 以下の小さいもので、土や、枯木の中で生活しています。
・線虫になるなら、、、難しいですね。
肉や魚好きなので、噛みつくタイプの捕食性線虫ですかね。
寄生虫は、宿主を探すのとか、ちょっと面倒な気がします。
★質問129.なぜこの研究を始めようと思ったんですか
いいところに気が付きましたね。
今回、線虫の話をして、線虫の種数がとても多いということを言いましたが、詳しく研究を進められていない動物はとても多いです。
哺乳類、鳥類あたりは、種数推定は概ね正確に出来ると思いますし、魚類、爬虫類、両生類も、新種がまだまだ出てきていますが、大体の種数は推定できると思います。
しかし、マイナーな無脊椎動物は、線虫以外にも多く居ますし、その割に研究する人の数が少ないので、脊椎動物以外では最も詳しく調査されている昆虫でも、まだ正確な数字は判りません。
小さい無脊椎動物を調べていくと、少なくとも半分以上は新種になると思います。
ハリガネムシは、線虫と似ていますし、線虫のすぐ隣のグループに属していますね。
また、シヘンチュウという線虫は、生活の特徴など、ほぼハリガネムシと同じです。
一見したからだが黒いのがハリガネムシ、白いのが線虫(シヘンチュウ)ですね。
・私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問130.どうして線虫は、動物に寄生するのですか?
今回、寄生虫の話を結構多めにしたのですが、多分、土や枯れ木の中でひっそり住んでいるものの方が多いと思います。
また、海でも、アニサキスのような寄生虫より、海底の泥の中など、地味な場所に住んでいるものも多いです。
しかし、人間の生活に最も大きく影響を与えているのは寄生虫ということになりますかね。
・どうして寄生するかというも、難しい質問ですね。
線虫というのは、昆虫などと比べても体が柔らかいため、感想には弱いです。
また、翅も足もないので、遠くまで移動するのは難しくなります。
なので、他の生物(動物や植物)の中に入って生活することで、乾燥から身を守りやすくなります。
また、動物に入ることで、遠くまで運んでもらえます。
このような生活をするものの中から、ついでに栄養も取ってしまえば、より、有利になるというようなことで、寄生が始まったのではないかと考えています。
★質問131.なぜ細菌を食べる自由生活の線虫が最もおおいのですか?
ナメクジを殺す種類、生物農薬として売られていたりもするのですが、研究の方は、それほど進んでいません。
どうやってナメクジを殺すのかという点も、研究がされている状況です。
産卵マシーンはすごいですね。
生物の最終的な目的は繁殖することなので、それを思えば当然かもしれませんが。
ただ、ここまで完全にマシーンになってしまう種類は線虫の中でも珍しいです。
・細菌食が多いというのは、多分、自然界で餌として最も多く居るからだと思います。
細菌類は、線虫以上にあらゆる場所に居ますし、少しの栄養でも増殖できるので、餌として使いやすいのでしょう。
★質問132.線虫は、腸にしかいないんですか?
アニサキス、どのくらい痛くなるのか、気になりますね。
寄生虫学者の中には、絶対に生ものを食べないという強いポリシーを持っている人も居ますよ。
テレビ番組などで、アニサキスの話題が出ることもあるようですが、もともとどういう生物なのか、という話はされていないようですね。
・いい質問ですね。
腸に寄生する寄生虫は確かに多いのですが、他にも、血管、生殖器官に入るものも多く居ます。
昆虫だと、血体腔や、マルピーギ管という昆虫にしかない器官に入るもの、体表面に刺さっているものなど、色々な部位に入ります。
人間などでも、目に入るもの、全身的に感染するものなど、色々なものが居ます。
★質問133.先生が線虫の研究を始めたきっかけはなんですか?
そうですね。
ほとんどの線虫は、環境中で微生物食、捕食をしながら暮らしています。
寄生虫も確かに多く居ますが、特に、現代の日本の衛生環境だと致命的な寄生線虫はほとんど見つからないと思います。
あまり心配することはないのですが、熱帯地域など、線虫も多く、衛生状態のよくないところでは、ちょっと気をつけら法が良いですね。
・私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問134.いろんな生きものにきせいしながらおとなになる線虫は、どうやってつぎの生きものの体に入ったかがわかるのですか。
サーモンに居る小さな虫、どれのことですかね。
寄生虫も色々いますね。
サーモンで有名なのは、線虫ではないですが、サナダムシですかね。
小さな幼虫が入っていて、食べると腸内で成長し、10 m 以上になることもあるようです。
感染すると栄養を奪われるので、痩せたりすることもあるようですが、致命的なことはなく、寄生虫学者には、症状を自分で確かめるのにわざと感染した人も居るようです。
・寄生虫は、宿主に入ったことを温度や、化学物質(宿主の体液など)で認識するようです。
本来の宿主であれば、寄生する場所(腸など)に移動するのですが、間違った宿主に入ると、そのまま死んでしまったりすることもありますが、死なない場合、寄生場所を探して、あちこち動き回ってしまうことがあり、症状がひどくなることもあります。
★質問135.C,エレガンスの寿命はどのくらいですか?
多様性と可塑性(変化のしやすさ)が非常に高い生物群ですね。
環境、餌によって形が変わるのは、それぞれの形で食べられる餌の種類が変わってくるからだと言われています。
このように色々な形を持つものは、環境変化の速い場所に住んでいることが多く、環境によって主要な餌が決まるため、それに合わせて口の形を決めているということみたいです。
人間の場合は、一つの口の形で色々な餌(食事)が食べられるようにできているので、形を変える必要が無いのですね。
歯の形も1種類ではなく、肉を噛み切る犬歯や、すりつぶすための奥歯などがありますね。
線虫にも、1種類の口の形でいくつか異なる餌を食べられる種類も少しわかってきていまして、口の形が変わるものと遺伝子の比較などをしようとしているところです。
・C. elegans の寿命は、通常、2週間程度です。
卵から、第一期から第四期の4段階の幼虫ステージを経て成虫になります。
卵から成虫になるまで数日、その後、10 日ほど生きるという計算になります。
ただ、初期の幼虫期間に環境条件が悪いと、第三期幼虫になるときに、「耐久型幼虫」という普通とは少し違う第三期幼虫になります。
この耐久型幼虫は、休眠状態になって、動かずにいることが出来るため、この状態のまま3か月ほど生きることが出来ます。
★質問136.私がおとなになるころにせんちゅうがやくになることはいがくいがいにもありますか?
ちょっと気持ち悪かったですか。
私は、なぜか、気持ち悪いと思ったことが無いのですが、そのへんは人それぞれですかね。
線虫は種類が多く、その割に研究する人が少ないので、わからない種類がとても多いです。
なので、寄生虫や病原体以外に、役に立つ種類も多く居るのですね。
・3年生だと、そうですね。
大人になるころには、もっと役に立つ線虫が見つかっていると思います。
いま、一番使われているのは、医学、薬学、遺伝子科学、遺伝学というような分野ですが、他にも、農学分野で色々な線虫が使われています。
★質問137.一番見つけた時に嬉しかった山中の種類はなんですか?
血を吸う線虫は、カラーで見るとかなり派手ですね。
一度、実物を見てみたいのですが、ちょっと危ないような気もしています。
少なくとも、自分の体内で飼育するのは嫌ですね。
和名が付いていないものが多いのは、種類が多すぎて、また、形の違いも見分けにくいためです。
学会では、和名をつけるのは、重要なもの(動物寄生線虫、植物寄生線虫)だけにしようということになっています。
寄生虫以外でも、面白い種類には名前を付けてもいいですね。
・うれしかった種類、さて、どれでしょうね。
狙って探すことは少ないのですが、その種類がどうしても欲しいと思って、探したのは、シデムシの寄生虫です。
上のピックアップされた質問 9 番にも関係したことを書いていますので、そちらもご覧ください。
★質問138.ギョウ虫はまだいますか。
想像より面白かったとのこと、ちょっと安心しました。
ありがとうございます。
いつもは、陸生の線虫を中心に扱っているので、海の線虫の形の面白さなど、もう少し調べてみたいとも思いました。
ニュースでよく出てくるのはアニサキスなどだと思いますが、寄生虫にも色々なグループのものが居ますし、放送する際にもどのような生き物なのかということも話してほしいですね。
最近だ田尾、Youtube などの方が詳しい解説があるのかもしれません。
・人間のギョウチュウですよね。
日本ではかなり少なくなりました。
海外ではまだ結構多いようです。
ただ、人の交流が増えたからか、国内でも、ほとんどいなくなっていた寄生虫や、病気などが、また増えてきているようです。
★質問139.マナティーの中から見つかった線虫が、陸生の糞虫関連の線虫に似ていたと聞きましたが、この2つの線虫にどんな関係があるのですか。
雌雄同体は、実は、生物学の研究材料として、重要な特徴なのです。
詳しい機構の説明は長くなるので省略しますが、遺伝子の変異などを解析するのに便利です。
その特徴が、Caenorhabditis elegans が広く使われる理由の一つになっています。
がんの診断は、今、どこまで詳しく調べられているのかフォローできていないのですが、理由は判らないものの、線虫って、がん細胞から出てくる物質が好きで、そこに集まる性質があるようです。
もっとにおいに敏感な線虫も居るはずなので、更に感度をあげることもできるのではないかと思っています。
・マナティーの表面に住んでいる線虫が、なぜ糞虫関連線虫(堆肥などにもよく生息しています)と近い仲間になるのか、わかりません。
DNA の配列を用いた解析で、堆肥や糞虫の線虫が固まっているグループから進化して、海、しかもマナティーの体表面に済むようになったというところまでしかわかっていません。
マナティーが時々、理由は判りませんが陸に上がって転がりまわっているという動画を見たことがあるので、そんなときに陸の線虫を拾ったりするのかもしれませんが、、、やはり、わかりませんね。
マナティの線虫については、何人かの方から質問、コメントもらってますので、上にもう少し詳しくまとめています。
そちらもご覧ください。
★質問140.動物に寄生する線虫はどのように寄生しているのか(蜂などはすばしっこいし、飛んでいるためどのようにして寄生しているのかが疑問に思いました。
)
細長い生き物、実は色々いますね。
線虫の他にも、ミミズや、昆虫の幼虫、大きいものではヘビもそうですね。
他にも、ヒモムシという海洋動物なども。
どれも、細い隙間に潜り込んで生活するのに適した形として細長くなったのだと考えられますが、内部の構造はそれぞれ異なります。
あのサイズの小さいものとしては、線虫は、体の各機関の構造などがわかりやすい方で、それが研究材料としての利点になっているのではないかと思います。
・寄生虫が宿主に入る方法はいくつかあります。
ハチの場合は、暖かい時期に動いている間に感染することはできませんが、越冬(島民)中に感染しています。
上のピックアップされた質問 7 番にもう少し詳しく書きましたので、そちらもご覧ください。
★質問141.神崎菜摘先生へ
今年度は土曜日が忙しく、講義のあと配信されるアーカイブで勉強させていただいています。
よく食事中に家族でアーカイブを見ているのですが、今回の「線虫」は…食事中には見ることが出来ませんでした。
気持ち悪いと思ってしまいごめんなさい。
神崎先生が「線虫」を研究する際、日常生活に支障をきたすことはありますか?
クジラの線虫。
実物を一度見たいと思いますが、どうやったら見つかるのか。
・食事中には、確かに、ちょっと向いてませんでしたね。
これは申し訳ない。
どうも、その辺の感覚は、少しづつずれていきますね。
先日、テレビ局の取材があったのですが、放送時間の都合で、ゴキブリやムカデのシーンは全カットになるとのことでした。
寄生虫学の先生方にも、仕事の合間にサンプルに囲まれた実験室で食事をするのはあまり気にならないのに、自宅にサンプルがあるとどうも気持ちが悪いという方も居られます。
日常生活に支障をきたすこと、すぐには思いつかないのですが、どの生物を見ても、「何か面白い線虫が入ってないかな?」ということを考えてしまいます。
また、食堂などで焼魚にアニサキスを見つけて喜んでいて、周囲から距離をとられるとか。
一度、筑波大の先生と食事をしていて、糞と死体の分解過程とそれに関連する生物の話で盛り上がってしまい、周囲から人が居なくなっていたことがありました。
利点としては、家や実験室に、ハチやゴキブリが出た際の対処が早くなったところでしょうか。
★質問142.なぜ線虫は線虫を食べてしまうのか?
線虫類の多様性はとにかく高いので、まだ、見つかっていない変な種類も居ると思います。
・なぜ、というのはなかなか難しいですね。
もともとは微生物食だったと思いますが、より栄養の多い餌を食べるようになったということでしょうか。
口が針になっている捕食線虫は、よく似た糸状菌(カビ)食線虫より、成長が早いように思います。
★質問143.結構珍しいものだと思うのですが、線虫とはどう出会いましたか?
質問のお答えと同じになるかと思いますが、私が線虫研究を始めた理由は、単なる偶然で、大学の研究室で先生に勧められたからです。
このご質問が多かったので、上にまとめて書いていますので、そちらもご覧ください。
まさか、こんなに長く線虫研究を続けるとは思っていませんでした。
線虫は、とにかく多様性が高くて、探せば探すほど変な種類が出てきて、面白いですよ。
★質問144.マナティーの線虫がなぜふんころがしの線虫と近いと思いますか
遺伝子そのものの変化ではなく、遺伝子の発現(使い方)が環境によって変化し、それによって形(機能、構造)が変化する現象を「表現型可塑性」とか、「発生学的可塑性」と呼びます。
動物、植物など、広く見られる現象ですが、これを持つかどうかは種類によって異なります。
線虫では、いくつかの種類でだけ知られている現象ですが、5形態をもつものは、動物界全体でも他にはほぼ居ません。
生物の進化にとっても重要な役割を果たす現象であると言われていますが、詳しい研究は今、進められているところです。
環境、餌によって形が変わるのは、それぞれの形で食べられる餌の種類が変わってくるからだと言われています。
このように色々な形を持つものは、環境変化の速い場所に住んでいることが多く、環境によって主要な餌が決まるため、それに合わせて口の形を決めているということみたいです。
人間の場合は、一つの口の形で色々な餌(食事)が食べられるようにできているので、形を変える必要が無いのですね。
歯の形も1種類ではなく、肉を噛み切る犬歯や、すりつぶすための奥歯などがありますね。
線虫にも、1種類の口の形でいくつか異なる餌を食べられる種類も少しわかってきていまして、口の形が変わるものと遺伝子の比較などをしようとしているところです。
・マナティーの表面に住んでいる線虫が、なぜ糞虫関連線虫(堆肥などにもよく生息しています)と近い仲間になるのか、わかりません。
DNA の配列を用いた解析で、堆肥や糞虫の線虫が固まっているグループから進化して、海、しかもマナティーの体表面に済むようになったというところまでしかわかっていません。
マナティーが時々、理由は判りませんが陸に上がって転がりまわっているという動画を見たことがあるので、そんなときに陸の線虫を拾ったりするのかもしれませんが、、、やはり、わかりませんね。
マナティの線虫については、何人かの方から質問、コメントもらってますので、上にもう少し詳しくまとめています。
そちらもご覧ください。
★質問145.ゴキブリなど線虫がいるものに触れて体調が悪くならないですか?
南極のコケに居た線虫、すごい生命力ですね。
他にも、徐々に乾燥していくことによって、ミイラ状態になって、それで長期生存するという種類はいくつか知られています。
まだ、詳しく調べられていないのですが、このような種類はもしかしたら、クマムシと同じような耐久性を持つかもしれません。
そのような種類もいくつか飼っているので、試してみてもいいかもしれないと思います。
・ゴキブリって、一般に思われているほどには汚くないのです。
また、ゴキブリの寄生虫は人間には寄生しないと言われていますので、「気持ち悪い」というところだけ克服すれば、まあ、大丈夫です。
ただ、何が付いているかわからないので、手袋をするとか、後で手を洗うとか、しないといけませんね。
この前は、逃げそうになったゴキブリをつかんだので、後でしっかり手を洗いました。
ただ、野生動物の糞や死体を扱う際は、人間に入って危険なものも出てくることがありますので、そのような材料を扱うときには、気を付けるようにしています。
★質問146.恐竜の中にも線虫がいたと考えられますか?
ゴキブリやヤスデの寄生虫は、脊椎動物寄生虫以外ではかなり大きめのものなので、見てもらうにはいいのです。
解剖のとき、下に黒い紙を敷いておけば、顕微鏡が無くても確認できますし。
本当はヤスデの寄生虫の方が大きくて、数も多いので、それを見てもらいたかったのですが、捕まえられませんでした。
身近な環境や、その辺で集められる昆虫からも線虫を集めることは出来ますし、探してみると面白いです。
また、わかっていない種類が多いので、家の庭から新種が採れることも普通にあります。
私は、つくばで住んでいたアパートのベランダに落ちていたカミキリから新種記載したこともあります。
・恐竜にも付いていたみたいですよ。
古い線虫の記録については、上のピックアップされた質問 2 番目に書きましたので、そちらをご覧ください。
★質問147.どういう動物に線虫がいるの?神崎先生はどんな動物を飼育しているの?
身近なものとしては、イヌカイチュウ、ネコカイチュウなどが居ます。
家で飼われているものには付いていないと思いますが。
また、外で買われているイヌなどは蚊が運ぶ、フィラリアに感染することもあり、獣医学では、重要な問題になります。
・動物というと、哺乳類ですかね。
結構色々な、ほとんど全部の哺乳類に寄生線虫が居ると思います。
感染しているかどうかは個体によって異なりますが。
日本ではほとんどいませんが、人間に着く寄生虫だけでも相当な数が居るはずですよ。
私が飼育しているのは、いまのところ線虫と、昆虫(実験材料)がいくつかですね。
ネコ好きなのですが、アパートに住んでいるんで、ネコは飼えません。
★質問148.線虫はどのように進化しますか?
楽しんでもらえたならよかったです。
もっと色々、変な線虫も見てもらいたかったのですが、今回使った顕微鏡では細かいところまでは観察できませんでしたので、代表的な種類とゴキブリの寄生虫になりました。
その辺の土屋半分腐った枯葉からも色々な種類が出てきますので、探してみてもいいと思います。
・線虫の進化、これはまた難しい問題ですね。
線虫は先カンブリア紀から地球上に居たと言われていまして、最初は、海の中などで、泥の中に住んでいたもののようです。
そこから、様々な環境に適応し、そこに住む餌を食べやすい形に変化していったと考えられます。
さらにそこから、他の生物に侵入して、乾燥から身を守ったり、移動のための乗り物に使うようになり、ついでにそこから栄養を取る、ということで寄生が進化したのではないかと考えています。
★質問149.先生は綿虫はどのぐらい居ると思いますか?
種類がとにかく多いので、寄生虫などの人間に有害なものから、生物農薬になるもの、研究材料として、間接的に役に立っているものなど、色々なものが居ますね。
・線虫の種数については、上にまとめて書いてますので、そちらをご覧ください。
種数が多くて、わからないことが多いので、はっきりした数字が出せない状況です。
なんとなく、昆虫と同じくらいいるのではないかと思います。
★質問150.線虫に、寄生されたら、取り除く以外にやっつける方法はありますか?人に寄生したら取り除くと聞きました。
野菜はもうどうしようもないんですか?
アニサキス、どのくらい痛くなるのか、気になりますね。
しかし、2回もあたるというと、いったい何をお召し上がりになったのでしょうか。
その点も非常に興味があります。
バッタには、よく、シヘンチュウという、ハリガネムシみたいな線虫が付いています。
私が居る京都でも、研究所の中で捕まえたバッタを調べてみたら、イナゴには付いていなかったのですが、オンブバッタから多数出てきました。
これも、新種だと思いますが、そんな次ぢかな昆虫からも新種が出てくるというのは面白いと思います。
・治療法ですね。
アニサキスなどは物理的に取り除く方法が一般的です。
他には、線虫を殺す薬を飲んで、駆除するという方法も使われます。
野菜は、一度変形してしまうと、我慢して食べるか、捨てるしかないですね。
植物寄生線虫は、人間には感染しないので、まあ、美味しくないかもしれませんが、食べられなくはないと思います。
畑では、線虫被害を出さないために、農薬を使ったり、線虫が感染しにくい品種を植えるなどの工夫がされています。
野菜の場合は、線虫が付きにくいけどおいしくないものと、線虫にやられやすいけどおいしいものを掛け合わせて、美味しくて線虫が付きにくい品種を開発するなどの努力がされています。
★質問151.線虫の行動や生命現象を研究する中で、今後とくに解明が期待されている謎や課題は何ですか?
色々と動物は居ますが、あのサイズで、半透明の体の中に動物として必要なものが一通りそろっているというのは他に居ないと思います。
分類、多様性の研究をしていると特に意識することはないのですが、考えてみれば、不思議な生き物ですね。
・生物学でも、多分他の学問分野でも、その時々の流行というものがあります。
もちろん、一つのトピックということではないのですが、線虫が関係するものとしては、表現型可塑性、ゲノム進化などが今、注目されているものになります。
表現型可塑性は、今回、照会した口腔形態が複数あるものに代表されますが、環境適応などの進化にも重要な特徴だと言われています。
また、ゲノム進化では、Caenorhabditis 属を中心に、一つのグループ全体について全遺伝子の塩基配列を決定し、染色体構成がどのように進化していくか、と言った研究がなされています。
また、実用的な分野では、免疫学など、寄生虫と宿主の関係を遺伝子レベルで解析する技術が進んでいるので、このあたりの研究が今後進められていくと思います。
ただ、新しい現象の発見や、理論は次々に出てくるので、想定外の研究分野への応用が進むかもしれません。
いかがでしたか?
ものすごい量の質問に、一つ一つ丁寧に、ものすごい文量と熱量でお答えいただきました。
これまでの12年の子ども大学グローバルの活動の中で、間違いなく最大量のご回答でした!
神崎先生、お忙しい中、丁寧にご回答いただき、本当にありがとうございました!!!!!