子ども大学グローバル
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【千葉大学 泉 賢太郎 先生より 】質問の回答が届きました!

【第12期第2回講義】
「恐竜が化石になるというミラクル~古生物学の土台を深堀りしよう〜」

千葉大学 教育学部 准教授
泉 賢太郎 先生

お待たせいたしました!
2025年7月5日に実施した「第12期第2回講義」にご登壇いただいた、千葉大学 教育学部 准教授の泉 賢太郎先生より、皆さんの質問に対する回答が届きました!
泉先生の追加の特別講義、ぜひ読んで学んでみてください!

【千葉大学 教育学部 准教授 泉 賢太郎先生が、みんなの質問に答えます!】

★質問1. ぼくは、生物(恐竜、昆虫、魚)が好きで、生物の研究者になりたいと思っています。泉先生は、子どもの頃は、どんなことをしていましたか?
先生はなぜ恐竜や化石が好きになって、またそこからなぜ研究までしようと思ったのですか?
先生はどの生物の化石が一番好きですか? 自分自身の生活空間に飾りたいを思った化石はありますか?

子どものころは、図鑑を見たり生き物採集をしたりするのが好きだった記憶があります。恐竜など古生物に興味を持ったのも、図鑑(地球と生命の歴史に関する図鑑)がきっかけです。
古生物学者になりたいと思ったのは、大学院進学前までは実はかなり漠然と考えていました(が、当時の私なりにはそこそこ本気だったと思いますが…)。この辺りの詳細については、拙著『大学4年間を「応援」に捧げた私が古生物学者になった話』に詳しく書いております。もしよろしければ、ご覧ください。
化石は好きですが、生活空間に飾りたいと思うほどではありません。

★質問2. 恐竜は、骨格が微生物に分解されにくいので、化石に残りやすいと思うのですが、植物は全体がすぐに微生物に分解されてしまいそうなのに全体の化石が残ることがあるのはなぜですか。
一番化石として残されている生き物は何ですか。人間の化石などは見つからないのでしょうか。
化石で残る確率はかなり低いのに、アンモナイト化石がたくさん見つかるのは、なぜですか?

化石としての残されやすさについては、おっしゃる通り、生物の分類群によっても変わりますし、また同種の同一個体であっても、部位によって変わると思います。植物は実は意外と分解されにくく、かなりたくさん化石が見つかります。
アンモナイトについても、殻の部分はたくさん化石が見つかる一方、からだ本体の部分(お肉の部分)は化石に残されにくく、ほとんど化石が見つかっていません。

★質問3. ティラノサウルスの糞の化石かどうかを調べるには周囲にあるものから推測するとのことですが、化石のDNAを調べることはできないのですか?そうすることで種類が特定できるとおもいました。

化石のDNAを調べることは、かなり難しいかと思います。細胞内ではDNAは安定ですが、一度細胞外に出てしまうと徐々に分解され、断片化してしまいます。そしてDNAが安定だというのも、あくまで日常的な時間スケールにおいてのことであって、地質学的な時間スケールで見るとDNAは非常に不安定な物質です。
そのため、古い年代の地層から見つかった化石の中にDNAが保存されているということは残念ながらほとんど非現実的と言えるでしょう。

★質問4. 化石はにおいはしますか?
僕はうんちの化石は強い臭いはしなくて、弱い臭いがすると思うのですが、臭いですか?

脊椎動物のうんちの化石は臭いません。
その理由は、脊椎動物のうんちは排泄直後には「水と有機物の塊」であったはずですが、化石化プロセスの際に有機物が徐々に分解され、別の鉱物に置き換わっていくからです。
したがって、脊椎動物のうんち化石は今となっては鉱物から構成されているので、臭わないのです。

★質問5. 仕事をやっていて「やっていてよかった」と思うことは何ですか?
先生は、「わからないことだらけ」とおっしゃっていましたが、古生物学の謎が一つだけ必ず解けるとしたら何の謎を解きたいですか。

「やっていてよかった」と思う瞬間…というとお答えするのが難しいですが、楽しいと感じる瞬間はたくさんあります。
新しい研究アイデアを思いついたとき、研究アイデアをうまく検証することができたとき、あるいはうまく検証できなくてもさらに新たな研究アイデアを思い付いたとき、研究成果が論文として公表されたとき、時間をかけて書いてきた本が出版されたとき…などなどです。
そして、もし「何かの謎を一つだけ必ず解けるとしたら…」という質問へのお答えですが、「特になし」となってしまいます…。どちらかというと、研究の「謎解き」的なエッセンスに魅力を感じており、それに「自分で」取り組むことが最高に楽しいと感じております。
ですので、自分で何もせずに謎が解けてしまったのであれば、あまりワクワクしないのではないかな…と思った次第です。

★質問6. ぼくはしょう来、かせきをはっくつする人になりたいと思っているのですが、はっくつする地そうはどうやってしぼっているのですか。
魚の糞化石は他の地層の岩石などと混じってしまい、分かりにくくなってしまうと思うのですが、どうやって見つけたのですか。

化石を発掘する地層の選定ですが、自分自身の研究テーマに合わせて、関連する先行研究の論文をたくさん読んだりすることで、候補の地層を絞り込んでいきます。やみくもにどんな地層でも調査しているというわけではないと思います。
もちろん、何かのご縁で新しい地層の調査に行くこともありますが、人間の活動可能な範囲とくらべると地層はたくさんあるので(全ての地層をちょうさすることはできない)、事前の調査準備や情報整理が最も重要と言っても過言ではありません。

★質問7. 博物館に展示されてる恐竜の骨が化石ということは、化石は石なんですか?そもそも、どこから化石に分類できるのでしょうか? 曖昧な質問ですみません。
講義の初めで、化石にならないはずイカの化石が見つかったと言っていましたが、そしたらどんな生物でも化石にできるんですか。
石油は、化石燃料とも言うのでそれも化石って言うのですか。それがある所でいっぱい動物が死んでしまったんですか。

化石は物質としては石です。そして石とは、一つもしくは複数の鉱物からできている混合物のことです。そして化石の分類は意外と難しいですが、主要な種類としては、古生物の死骸の一部が残された体化石、古生物の行動の痕跡が残された生痕化石などが挙げられます。

★質問8. もうすぐ夏休みに入りますが温暖化がすすんで今年の夏も暑いので外へ出て調べたりするのも大変だと思います。川や海に住んでいる微生物は暑過ぎて死んでしまったりするかもしれないと思いますが、環境の事などどう思われますか?
化石化しづらくなるなど、この先の考古学の研究に影響を与えたりはしないのでしょうか。

ここ最近は、特に夏は本当に暑いですね。私が学生の頃と比べても、今の夏はとんでもなく暑いと感じます。その意味では、夏のフィールドワークは昔よりも今の方が危険かもしれません。
昔は8月など真夏のシーズンもしょっちゅうフィールドワークに出かけておりましたが、今、同じことを同じようにやると、本当に倒れてしまいかねません。
その意味では、古生物学の研究も確実に環境変化の影響を受けていると言えるかもしれません。

★質問9. 少し前にジュラシックパークの1作目をみたのですが、技術が進化していけばそれのように恐竜を蘇らせることができるようになると思いますか?
恐竜を復活させることは絶対にできないでしょうか。

実は私、古生物学に本格的に携わって15年ほどが経つのですが、ジュラシック・パークもジュラシック・ワールドも観たことがないのです…。。大変申し訳ございません。。

★質問10. 難しいことばかり考えているときの、気分転換などはどう工夫していますか。私はつらくて、投げ出したくなってしまうこともよくあるので、とても知りたいです。

気分転換は、今であれば子どもと遊ぶことや好きなマンガやアニメを見ることです。昔(大学院生の頃など)であれば、気分転換としては、大学のキャンパス内を散歩したり筋トレのためにジムに行ったり行きつけの居酒屋などに飲みに行ったりすることでした。

いかがでしたか?
泉先生、お忙しい中丁寧にご回答いただき、ありがとうございました!!!!!