第2回講義は、千葉大学教育学部准教授の泉賢太郎先生をお招きし、「恐竜が化石になるというミラクル~古生物学の土台を深堀りしよう〜」というテーマで実施しました。
今回の講義の目標は、「これまで地球上に生息してきた全ての生物のうち、化石として今現在まで残っている割合はどれくらいか?」という問いを考えることです。学生たちからは、「数億分の1!」や「6割!」と、様々な予想が飛び出しました。

本題に移る前に、先生の研究分野である「古生物学」とはどういうものなのか学びました。
生き物は、約40億年前から地球上に存在しているといわれています。そして、それらのうちいくらかが、「化石」として現在まで残っています。化石の研究と聞くと、大きな恐竜の研究や、発掘など、ロマンあふれるイメージを持つ人が多いかもしれません。それらは古生物学の重要な側面ですが、その裏には知られざる一面が隠されています。その一つが、「糞」の化石です。化石と聞くと動物の骨や殻を真っ先に思い浮かべますが、なんと糞も化石として残ることがあります。
例えば、ティラノサウルスの糞の化石は、20cm×60cmもあります。ウンチの中からは、嚙み砕かれた骨や筋組織の痕跡が見つかったことから、ティラノサウルスが他の動物を骨ごと食べていたことがわかります。また、他の恐竜の糞の中からは、生物の巣穴も見つかりました。一言に糞の化石といっても、その動物の食生活や周囲にいる生物のことまで知ることができます。

糞の化石について学んだあとは、本講義の本題である、「これまで地球上に生息してきた全ての生物のうち、化石として今現在まで残っている割合はどれくらいだろうか?」という問いを考えました。
この問いを考えるためには、これまで地球上に生息してきた全ての生物と、化石として残っている生物の量をそれぞれ調べる必要があります。
まず、これまで生息してきた生物の量を推定しました。現在の生物の年間存在量は、約1兆トンといわれています。そして、これまで生物の存在量が右肩上がりで増加してきたと考えると、これまで地球上に生息してきた生物の量は2×1024kgと計算されます。
続いて化石として残っている生物の量を推定しました。堆積岩中の平均的な化石含有率を0.01%と仮定して計算すると、現在残っている化石の量は2×1017kgと計算されます。
これらの数値を使って、化石として残っている割合を計算すると、0.00001%です。つまり、これまで地球上に生息してきた全ての生物のうち、99.99999%は化石として残されていないということになります。いかに「化石になる」ことが奇跡的な出来事であるかがわかりますね。

しかし、これほど少ない化石の中で、人間が見つけたのはほんの一部です。それゆえ、未だ見つかっていない化石や、化石として残っていないものの中に、古代の秘密が詰まっています。他方、1つの化石によって、それまで知られていなかった大発見ができる可能性もあります。
先生は、古生物を調べるために、化石だけでなく遺伝子研究や数理モデルなども使っています。これまで使われてこなかった方法だからこそ、新たな発見が待っているかもしれません。

先生からは最後に、「自分が面白いと思ったことを大切にしてほしい」というメッセージをいただきました。学生の皆さんも、興味があることは人それぞれだと思いますが、ぜひその好奇心を忘れずに生活していってほしいと思います。泉先生、ありがとうございました!
