8月8日(土)、子ども大学グローバル第13期の入学式と第1回講義を実施しました。
今期も、つくばと東京の配信会場で学生が現地受講できる「移動型キャンパス」と、全国どこからでも参加できる「オンラインキャンパス」を展開します。さまざまな受講形態を通して、子どもたちが学びを深めていきます。
今期も北海道から沖縄、さらにイギリスや、子ども大学発祥の地であるドイツなど、国内外のさまざまな地域から学生が参加し、約200名の学生とその保護者とともに第13期がスタートしました。
入学式では、お茶の水女子大学名誉教授で、子ども大学グローバル学長の内田伸子学長から祝辞をいただきました。学生たちには、講義をただ聞くだけでなく、積極的に参加し、「なぜだろう?」という疑問を持ちながら、学んだことを知識と結びつけて考えてほしいというメッセージがありました。また、親子で対話しながら、一緒に学ぶ時間を楽しんでほしいとのお話もありました。
続いて、岡本弘毅理事長から「子ども大学グローバル」の活動について改めて紹介があり、講義を受ける際の学びの姿勢についてお話しいただきました。
いよいよ、第13期の学びが始まります!

第1回講義のテーマは、「宇宙の世界と地上の社会~謎に満ちた世界と向かい合う~」。国立天文台の平松正顕先生を講師にお迎えし、宇宙にはどのような謎があるのか、そして、その謎をどのように解き明かしていくのかについて学びました。
平松先生の専門は電波天文学です。星がどのように生まれるのか、特に小さな星がどのように誕生し、なぜ大きくならなかったのかなどについて研究されています。

義の始めに、先生から学生たちへ「宇宙にはどのような謎があるでしょうか?」という問いかけがありました。学生からは、「宇宙人はいるのか?」「ダークマターはあるのか?」「宇宙はどこまで広がっているのか?」など、さまざまな疑問が出ました。
では、こうした宇宙の謎を、私たちはどのように解き明かしていけばよいのでしょうか。平松先生が紹介した方法は、「宇宙に行くこと」「地球上で調べること」「コンピューターシミュレーションで宇宙を再現すること」の3つです。
地球上から宇宙を調べる方法の一つが、望遠鏡による観測です。望遠鏡の歴史は17世紀にさかのぼります。ガリレオ・ガリレイは望遠鏡を使って、月の模様や土星の輪、天の川などを観察しました。その後も望遠鏡は進化を続け、より遠く、より暗い天体を観測できるようになりました。多くの研究者が観測技術を発展させてきたことで、これまで知られていなかった天体や宇宙の姿が次々と明らかになってきたのです。
本講義では、国立天文台が作成した「Mitaka」を使って、8月8日の夜の星空を観察しました。「Mitaka」を使うと、地球から宇宙へ飛び出し、宇宙空間から地球を見たり、月や太陽系、さらにその外側へと視点を移したりすることができます。学生たちも、まるで宇宙を旅しているような感覚で、楽しみながら講義を聞いていました。

講義の後半では、「電波望遠鏡」についてのお話を伺いました。電波望遠鏡は、天体が発する電波を観測するための望遠鏡です。望遠鏡は口径が大きいほど、より暗い天体を捉えやすくなります。
世界最大の単一口径電波望遠鏡は、中国にある「FAST(500メートル球面電波望遠鏡)」です。その直径はなんと500メートル。巨大な観測装置をつくるには、地形などさまざまな条件を考える必要があります。
そこで紹介されたのが「アルマ望遠鏡」です。アルマ望遠鏡は、複数のアンテナを組み合わせて観測する電波望遠鏡です。それぞれのアンテナで受信した電波を組み合わせることで、非常に高い解像度で宇宙の細かな構造を捉えることができます。
続いて、先生からアルマ望遠鏡による研究成果を紹介していただきました。その一つが、若い星「おうし座HL星」の観測です。周囲には、惑星の材料となる塵が集まった円盤が確認されています。また、同じように若い星である「オリオン座V883星」の観測からは、水や一酸化炭素などの存在も確認されています。こうした観測から、地球や惑星がどのような環境で生まれたのかを知ろうとしています。
さらに、アルマ望遠鏡はブラックホールの観測にも活躍しています。ブラックホールは光さえ脱出できないため、ブラックホールそのものを直接見ることはできません。しかし、世界各地の電波望遠鏡を組み合わせて観測することで、ブラックホール周辺の光る物質を捉え、ブラックホールの影を画像として捉えることに成功しました。

このように研究が進められている一方で、宇宙にはまだ多くの謎が残されています。「地球外生命は存在するのか?」「ダークマターとは何なのか?」など、未解明の謎はたくさんあります。
こうした謎を解き明かしていくには、多くの人の力が必要です。一方で、街の明かりや人工衛星、人工的な電波などが天文学の観測に影響を与えることもあります。そのため、天文学の発展だけでなく、私たちの暮らしも大切にしながら、両者が共存できる方法を考えていくことが重要です。講義では、天文学の観測技術を社会に役立てることや、天文学の研究をこれからも続けられる環境を整えることについても考えました。
講義の最後に、平松先生は「わからない」は発見の始まりだとお話しくださいました。
どのような研究でも、「わからないこと」を見つけ、それを解き明かす方法を考えることで、新しい発見につながります。今回の講義を通して、学生たちは宇宙の壮大さだけでなく、「なぜ?」「どうして?」という疑問を持つことの大切さについても学びました。

身の回りにある「わからない」を大切にすること。それが、新しい発見の第一歩なのかもしれません。
第13期は、まだ始まったばかりです。これから学生たちは、さまざまな分野の先生との出会いを通して、新しい「なぜ?」を見つけていきます。
平松先生、宇宙の奥深さと、探究することの楽しさを教えていただき、ありがとうございました!
