子ども大学グローバル
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第12期「第1回講義+入学式」終了しました!~熱帯林のふしぎな生き物と私たちの暮らし

6月21日(土)に、子ども大学グローバル第12期の入学式+第1回講義を実施しました。

子ども大学グローバルは今期も引き続き、水戸・つくば・東京の配信会場にて学生の現地受講を受け入れる「移動型キャンパス」を展開し講義を実施します!どこでも受講できる「オンラインキャンパス」も実施し、様々な受講形態に対応しています。
子ども大学グローバルは更に大きな学びの場となっており、北海道から沖縄といった日本全国からだけでなく、イギリスや「子ども大学」発祥の地であるドイツなど世界各国からも学生が参加!約300名の学生とその保護者と共に学びを深めて行きます。

入学式では、子ども大学グローバルの学長、お茶の水女子大学名誉教授・内田伸子学長より動画による祝辞をいただきました。子ども大学グローバルで1年間学んでいくにあたって大切な心がまえや学ぶ事の重要性、親子で共に学んで欲しいというメッセージをいただきました。

岡本弘毅理事長からは、「子ども大学グローバル」について改めてご説明いただき、学生たちに対して、講義を受講する上での学ぶ姿勢についてお話しいただきました。また、昨年度たくさんの方々にご支援いただきました、カンボジアに学校を建設する「子ども大学グローバル カンボジア学校プロジェクト」についてもお話頂きました。
さあ、いよいよ第12期のスタートです!

第12期最初の講義では、「熱帯林のふしぎな生き物と私たちの暮らし〜遠い国の森とどうつながっているの?~」というテーマで、国立環境研究所生物多様性領域主任研究員・大阪公立大学理学研究科教授の竹内やよい先生にご登壇いただきました。

竹内先生の主なフィールドは、マレーシア・ボルネオ島のサラワク州です。東南アジアに位置するこの島には、豊かな熱帯雨林が広がっています。

前半講義では、熱帯雨林とそこに生息する生き物たちについて教えていただきました。

「熱帯雨林」とは、1年中温暖で雨が多い地域に広がる森林で、赤道付近に多く見られます。高さ50〜60mのまっすぐな木が立ち並び、地球上の生き物の50%が生息するともいわれる、とても豊かな森です。

熱帯雨林の植物のひとつに、ラフレシアがあります。世界最大級の花として知られていますが、実はこの花、つぼみができてから開花するまでに1年もかかるそうです!そして驚くべきことに、開花してからたった3日で枯れてしまいます。森の中でちょうど咲いている姿を見ることができたら、とてもラッキーですね。

また、森の中にカメラトラップ(動物が前を通ると自動で撮影するカメラ)を仕掛けると…マレーグマやヒゲイノシシ、ヤマアラシやセンザンコウなど30種類もの哺乳類が映りました。中には絶滅が心配されている動物も多く、ボルネオの森が貴重なすみかであることがわかります。

そんな熱帯雨林から、人々は様々な形で恩恵を受けています。食べ物となる動物や木の実だけでなく、木材や竹、燃料としての樹脂、薬としての木の根や樹皮など。研究によって、現地の人々は、全部で200種以上の植物を見分けながら、それぞれに合った使い方をしていることがわかりました。

では、私たち日本人は熱帯雨林と関係があるのでしょうか?実は、私たちが口にするチョコレートやポテトチップスに含まれる植物性油脂、果物、スパイス、さらにはゴム製品や洗剤など、多くのものが東南アジアの森から輸入されているのです。

しかしいま、東南アジアでは大規模な森林伐採が行われています。その原因のひとつが、私たちに身近なお菓子や洗剤の原料となる、パーム油の生産です。竹内先生が研究なさっているサラワク州でも、伐採された土地に、木材として使われるアカシアや、パーム油をとるアブラヤシの木が次々と植えられ、プランテーション(大規模農園)として広がっています。重要なのは、そこで作られた製品の多くが現地ではなく、私たちを含む他の国々で消費されているということ。私たちがおいしい、便利だと思って使っているものが、知らず知らずのうちに熱帯雨林を破壊しているかもしれないのです。

では、熱帯の森やそこに住む動物たちを守るために、私たちにできることは何でしょうか。先生は世界で行われている取り組みを教えてくださいました。

まず、環境認証制度です。先生が認証ラベルの例を見せてくださると、学生たちからは「見たことある!」の声が。トイレットペーパーや紙パック、コーヒー豆の袋などについている、木やカエルが描かれたラベルで、自然を守りながら作られた木材や農産物につけられています。こうしたラベルがついた商品を買うことで、私たちは日本にいながら、東南アジアの森を守る手助けができるのです。

また先生は、「ネイチャーポジティブ」という言葉を教えてくださいました。環境保全・再生や気候変動対策、持続可能な生産・消費を組み合わせて、これ以上地球の生き物たちを減らさないようにしようという考え方です。この実現には、私たち一人ひとりが環境や日々の生活を見つめ直すことが大切です。講義の最後、先生は学生たちにこう問いかけました。

「ネイチャーポジティブに向けて、皆さんはどんなことができると思いますか?」

私たちから遠いようで、実は意外と身近な東南アジアの森。そしてそこから見える、いま人類が直面している様々な問題。ニュースを見たり、家族や友達と話したりするなかで、ぜひ考えてみてほしいと思います。

竹内先生、第1回講義をありがとうございました!