8月5日(月)に、子ども大学グローバル第11期の夏の特別講義を実施しました!
夏の特別講義では、「最新恐竜学〜中生代の恐竜から、現代の地球と私たちのことを考えてみよう〜」というテーマのもと、国立科学博物館副館長真鍋真先生にご登壇いただきました。
今回の講義は東京キャンパスとして、麹町学園女子中学校高等学校様に会場をお借りし実施しました。東京キャンパスでは、これまでの講義に比べ遥かに多い人数である、計340名以上の学生と保護者様が現地で講義を受講しました。また、岩手県立博物館では講義のパブリックビューイングを実施し、従来通りオンラインキャンパスからも多くの学生が受講しました。
講義の冒頭では、ティラノサウルスの前足の秘密に迫りました。ティラノサウルスは後ろ足に比べて前足がとても短く、後ろ脚を軽く引っ掛けられるだけで転んでしまいます。真鍋先生は、今回、講義のアシスタントとして来ていたアルバータ大学2年生の小林海貴さんと共に、推奨図書『きょうりゅうレントゲン病院』を用いながら、ティラノサウルスの前足の短さが体のバランスや重心に大きく影響していることを分かりやすくお話ししてくださいました。
それではこの短い前足にはどんな役割があるのでしょうか?
現時点では、「ティラノサウルスの前足が短い」ということは分かっているものの、その理由は未だにわかっていません。真鍋先生の推奨図書『恐竜のわかっていること・わかっていないこと』では、「走るときに手をぶつけないため、顔を大きく見せてこわがらせるため、長い時間をかけてなくなるはずだった」など様々な仮説が紹介されています。
続いて、学生らは恐竜の特徴や進化について理解を深めるためにクイズに挑戦しました。例えば、爬虫類の中でも恐竜かどうかを判断するための見極め方についてです。ポイントは、腰の骨の構造です。恐竜は腰の骨に穴が空いており、爬虫類とは異なる構造を持っているため、後ろ足で安定して立つことができます。他にも、恐竜の年齢の測定方法や、鳥が恐竜の子孫であること、恐竜の色や模様の調べ方などについても学びました。
また、中国の四川省で約1億2500万年前の恐竜の足跡の化石が発見されましたが、この足跡の名前にはドラえもんの「のび太」に由来した「ノビタイ」という名前が付けられています。学生らは良く聞いたことのある名前が恐竜の名前になっていることを知り、とてもワクワクした様子でした。また、中国と日本は元々陸続きだったため、真鍋先生は、「この恐竜も行き来していたかもしれない。ノビタイが二国間の架け橋になるかもしれない。」と仰いました。
講義の最後には、恐竜の絶滅について詳しくお話いただきました。
恐竜が絶滅した原因は隕石と思われがちですが、実際には絶滅の1,000万年前から気温が低下し、多くの種が減少していたことがわかっています。また、現代では、人間の影響で動物が絶滅する例が増えており、過去1,000万年の絶滅率に比べ、現代の絶滅率は10倍から100倍も速く、第6回目の大量絶滅とも言われています。絶滅がゆっくりと少しずつ進行しているため、多くの人間が絶滅が進んでいる事に気づいていませんが、恐竜を、そしてその絶滅した過去について研究することを通じて、私たちはこの事実に気づくことができるだと教えて頂きました。
しかし、真鍋先生は、もしもドードーがモーリシャス島にしかいない珍しい種だと言うことを当時の人々が知っていれば、こんなことはしなかったのではないかと考えているそうです。「このように、知っているか知っていないかによって結果というのは大きく変わる可能性があるのですよ。」と真鍋先生は仰い、講義を締めくくりました。
現在発掘されている恐竜は約1,300種に限られており、まだまだ未知の恐竜が地球には眠っています。学生の皆さんには、これまでの常識に捉われず自由に研究してほしい、そして現代において動物が面している問題にも目を向けて知ろうとする姿勢を続けてほしいと思います。
真鍋先生、夏の特別講義ありがとうございました!
本日の司会進行の担当者は、学生部実行委員の大津弦将でした。