子ども大学グローバル
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「第5回講義終了」しました。~雲が教えてくれること

第5回講義は、「雲が教えてくれること~楽しみながら学ぶ気象と防災〜」というテーマのもと、合同会社てんコロ.代表・気象予報士佐々木 恭子 先生にご登壇頂きました。年が明けてから初めての子ども大学水戸の講義であったので、HRは元旦とはいつを指すのか等の「年明け」に関わる話からスタート!実行委員の大津が担当しました。

講義では、実際にペットボトルやアルコールを用いて雲を作る実験が行われ、学生たちが楽しそうに取り組みながら学ぶ姿が見られました。学生が実際に雲を作ることで、雲のメカニズムの理解度がより一層深められ、とても魅力のある講義でした。

佐々木先生は、講義の始めに雲についての学びから開始。
雲は水や氷の粒の集まりであり、水蒸気が上空で冷やされ、目に見えないほど小さい塵を芯にし、水や氷の粒になり、それが集まって雲を形成します。日常生活で例を挙げると、お風呂やお味噌汁などの温かいものから出てくる湯気や寒いときに出る白い息などが雲です。佐々木先生はここで、雲ができる様子を2通り見せてくれました。

1つ目は、味噌汁を用いた実験を動画で確認。お味噌汁の上にある水蒸気に線香の煙を近づけると白い煙が出ましたが、これは線香の煙が塵の役割をし、お味噌汁の上にある水蒸気と合わさってできた雲です。2つ目はペットボトルを用いて実際に実験をしました。ペットボトルの中に除菌スプレーをいれ、ペットボトルをひねって圧力をかけ、手を離すと白い煙が出ました。学生が実験を体験することで、とても盛り上がっていました。

次に、雲の種類の学びへ!雲の種類は高さと形を元に10種類に分類され、その10種類は「十種雲形」と言います。


まず大気を上層、中層、下層に分けます。上層には巻雲、巻層雲、巻積雲があり、中層には高層雲、高積雲、乱層雲があり、下層には積雲、層積雲、層雲、積乱雲があります。入道雲は積乱雲の仲間と思われがちですが、実は積雲の仲間だそうです。また、佐々木先生は巻積雲と層積雲の見分け方について教えてくださいました。地平線から約30度上に見上げたとき、指を1本指して雲が見えなくなってしまったら巻積雲で、指を3本くらい指して見えなくなると層積雲だそうです。

そして、佐々木先生は雲の名前や形を知るとお得なことがあるとおっしゃっていました。たとえ雲の名前や形を知らなくても、生物の行動から天気を予想することができるという観天望気というものがありますが、天気ではなく生物を見ているのでやはり信頼度は低いそうです。しかし、雲は風などで形を変えるので天気を予測しやすいそうです。

ここで佐々木先生は3つの例を挙げ、学びを深めます。1つ目は巻層雲。巻層雲は氷の粒でできています。巻層雲は上層にあり、これは西から天気が下り坂になるというサインだそうです。西から天気が下り坂とは、西側に温帯低気圧があり冷たい空気が上昇し巻層雲を発生させるそうです。また、巻層雲はハロを作り、ハロはこれから雲が厚くなるというサインだそうです。

2つ目は飛行機雲。飛行機雲は大気が乾燥していると見えなかったりすぐ消えるそうです。大気が湿っていると飛行機雲は残るそうです。空気が湿っているということは天気が崩れる可能性があるそうです。

3つ目は積乱雲。積乱雲の上側に薄く突き出た部分がありますが、この部分は「かなとこ雲」と呼ばれ、乳房雲などがかなとこ雲に分類されます。乳房雲は積乱雲の進行方向の少し先にできるため、このあと積乱雲がくる可能性があるというサインになります。他にも頭巾雲という雲があります。この雲は上昇している、つまり雲が上に発達し、積乱雲になる可能性があるというサインになります。また、これからの天気を知る方法として雨雲レーダーがあるとのこと。雨雲レーダーは約5分間隔で雲の動きを知ることができるため、このあとの行動を決めるときに役立ちます。

そして後半講義は、彩雲の話から再開です。
彩雲という雲が虹色になって見える現象があります。昔から見ることができたら幸運であると言われていますが、実はよく頻繁に見ることができます。太陽の光が雲のつぶ、つまり水に当たり、回折(進行する波動が障害物の影の部分に回り込んで伝わる現象)して虹色に見ることができるわけです。彩雲は巻積雲、例えばうろこ雲やひつじ雲などで見れます。太陽から自分の拳1個程度の位置に現れます。そして、太陽を直接見るのは目に悪いため、太陽を建物で隠して彩雲を見るのが良いと仰っていました。

雲は風が流れ、大気の状態に身を任せて、私たちに可視化させて、素直に雲は出来ています。そして、雲は地震の前触れになりえません。全ての雲は気象学で説明することが出来ます。仮に、何らかの影響があったとしても雲科学で説明できる現象と地下の影響を区別することはできません。サイエンスをしていないと「科学」よりも風評やウワサ話を小言を信じてしまう、と佐々木先生は講義の最後に締めくくりました。

普段特に意識をせずに眺める雲ですが、学校で学んだことだけではなく、改めてその仕組みを知ろうとするとまだまだ奥深いことばかりでした。今回受講した学生達はこれから天気について学習することがあるので、「子ども大学水戸で学んだ内容だ!」と、思い出して欲しいです。雲や気象、嘘か真実かを見極めるためのレクチャー等、とても魅力的な第5回講義でした。佐々木先生、ありがとうございました。

第6回講義は、3月4日(土)に実施します。最終講義は、ソニーグループ株式会社・リサーチャーの鈴木 志朗先生による「音ってなんだろう?~音の「伝わり」と「聞こえ」の仕組み、音の「楽しみ方」~」です。修了式も行いますので、リアルタイムでの参加をお待ちしております!お楽しみに♪